2017
07.02

精神神経学会に行ってきました

 学会は行く気がなく、のっぴきならない事情がない限りは極力避けて人生を過ごしてきたのではありますが、今回は本当に残念ながらそののっぴきならない事情に至ってしまい、本当に本当に意に反して行かざるを得なくなってしまったのであり、これは誠に遺憾としか言いようがなく、慚愧に堪えないとはまさにこのことなのであります。しかも最近は身体の調子が良くないし、泣きっ面にスズメバチです。

 2017年6月22-24日に渡って精神神経学会が名古屋の国際会議場で行なわれました。こちらがその場所。

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 エスカレーターを降りると、受付っぽい感じの空間が見えます。

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 そして、こちらはイベントホールのポスターセッション会場。ちらりと。人がそんなに多くないですね。

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 ちょっと施設内をお散歩していたら、シャチホコさん発見。

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 おやまぁ、外には大きな像が。何でしょうね、ホントに大きいですよ。

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 自分は行かねばならない時間帯だけ行くという方針を打ち出し、24日のその時間だけ行ってすぐに帰るという、滞在時間が学会に参加した人の中で一番短いのではないかと思うくらいの感じで、ピューッと逃げました。帰りはコメダ珈琲店で癒されたのです。

 幸いにも地元が名古屋なので交通などは手軽で帰るのも簡単ではありますが、地元が名古屋だからこそ不幸にも学会に顔を出さねばならなくなったというのも事実であります。何と言って良いのやら。

 もう当分学会には出ないでおこうと固く決心。専門医なんて面倒くさいから取る気がなく、学会に行ってポイントを貯めないと…という強迫観念からも自由なのです(学会に出てポイントを貯めないと専門医の資格が失われるのです)。取るように! というプレッシャーが色々、特に上の方からかかっておりますが、取らずに済むところまではそのままで行きたいという、生来の面倒くさがりがここに結実しております。去年は一度も学会に出てないし、2年前はこれもまたのっぴきならない事情でうつ病学会にチラリと行っただけだし。行くんだったら楽しもうよと思うのが健全かもしれませんが、全体的に意欲が低下しているのもあって、外に出るのすら面倒くさい。仕事は仕方ないから行ってますけど、働かなくて良いんならいつだって引きこもる準備はできてるんです、こっちは。今年も年末ジャンボ買うんだ。

 自分の興味にバシッとハマるコアな学会があれば、ちょろりと行ってみたいんですけどね。でも出席する先生がたの人数が少ないとそれはそれで緊張するし。日本東洋心身医学研究会っていうのに昔一度行ったことがあるんですけど、あんまりパッとしなかったので、それ以来は出ていないのであります。これだけインターネットが盛んになっているので、学会の役割というのも変わってきているのかもしれませんね。学会は人と人とのつながりをつくるところなんだよと教えてくれる先生もいるんですが、自分はその人とのつながりが嫌いで…。もはやどうしようもない。でもなぁ、専門医取得が免れない状況になったら、必然的に学会参加も定期的にせねばならないか…。そうなったら覚悟を決めるか。
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2017
06.19

絶賛復習中

Category: ★精神科生活
 まだまだ先ではありますが、四国での看護師さん用講義に向けて、ちょっと復習しています。昔読んだ本を引っ張り出したり、新しく入門用の本を買ったり。この講義では、1日(5時間)を使って一般病棟で出会う精神疾患についてお話する予定。その中でも、間主観性を絡めて関わることのリスクとベネフィットをきちんと知ることをお伝えしようと考えております。

 さて、そんな本では読んでて「やっぱりためになるなぁ」とじんわり感じるのが、医学書院さんから出ている中井久夫先生の『看護のための精神医学』です。持っていたんですけど、まさかこういう講義をするとは思っておらず、新しく入った看護師さんにあげた記憶があります(3年くらい前?)。今回買い直して読んでみたのですが、さすがの名著でございます。ビシビシと伝わってくるものがありますね。

 初っ端から名文があり、以下に引用。


看護という職業は、医師よりもはるかに古く、はるかにしっかりとした基盤の上に立っている。医師が治せる患者は少ない。しかし看護できない患者はいない。息を引き取るまで、看護だけはできるのだ。


 こういうグッと来る文がどんどん出てくるのです。 精神科に関わる医療者には読んでもらいたい一冊。”看護のための”とありますが、レジデントの方々にもオススメなのです。あとは、春日武彦先生の『はじめての精神科』を合わせて読みましょう。春日先生の本はとっても現実的な視線で、ちょっとばかし読んでいて苦しくなることもあります。中井先生の上品さ?とは異なり、自分が診たイヤな患者さん(こういう言い方はとっても失礼ですが…)が思い出されるので、「あー、臨床はやっぱ苦しいよなぁ…」という感じになってきます。でもその中でも春日先生が1つの回答を与えてくれるので、「苦しいけどやるしかないなぁ」と踏ん張れる内容。この2冊はどちらも読んでおくとバランス的に良いでしょう。

 うーん、この講義は引き受けて良かったなぁと思います。こういうのがないと復習ってあんまりしないですし、以前読んだ本って、知識がついてからまた読むと違った角度からの理解も出来ますし。難しいことを砕いて言う練習にもなりますし。難しいことを易しく言うことについては賛否があり、否定的な見解の方々は、易しく言うことで深みが全く無くなってしまうというご意見をお持ちのことがあります。確かにごもっとも。でも自分としては、易しく表現することには並々ならぬ努力を要すということや、特に日常語にまで落とし込むことでその日常語の曖昧性を利用できることを重視したいのです。曖昧になるなんて良くないかもしれませんが、難しいことって専門用語を使っていても結構みなさん理解が異なります。哲学なんて良い例ですよね。であれば、日常語で意味を広く持たせて、そこからみなさん自身で考えていくきっかけとするのも悪くない、なんて思っちゃいます。

 ちなみに、ありがたいことに8月にも講演会(こっちは漢方!)の依頼をいただき、そっちのスライドもつくってます。結構忙しいけど、本業の臨床が疎かにならないように気を引き締めないといけませんな。5月の本業の講演会は無事に終了しました。東京は疲れますね。
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2017
06.10

Google、精神科を掌握す

Category: ★精神科生活
 統合失調症急性期のある患者さん。外来で強い不安と妄想があったため、入院での治療を行なうことになりました(今ではなく前の出来事です)。

 統合失調症の妄想は時代に影響を受けることが強く、昔は「みんな、僕のことを無線で連絡を取り合ってる」なんてのがあったようです。”無線”っていうのが古さを感じますね。他には「僕の情報が回覧板で知れ渡ってる」とか。怪奇現象が流行っていた頃は「UFOが」とか「FBIの捜査官が」とかも。しかし現代は無線が出てくることはほとんどなく、上記の患者さんでは



Google Earthで位置が分かって狙われてる



 ついにGoogle先生が妄想に登場するご時世になりました。しかもEarthですよ。ちょっとびっくりしちゃって

自分「Googleですか!?」

 って聞きなおしてしまいました。

患者さん「そうですよ! それで僕の位置が!」
自分「そ、そうか。すごいですねGoogleは…」

 妙に感心もしてしまい…。ネット社会だけでなく患者さんの妄想内容までも支配するのか、Googleは。むむむ。他にも「LINEでずっと見張られてるんです」とか、YouTubeやSNSが出てくることもポツポツ。インターネット関連は実に多くなりましたね。ネット掲示板でも「自分のことが書きこまれてるんじゃないか、暗号じゃないか」など。ネット以外では電磁波や放射能なんてのも話題に挙がり「電磁波が来るから帽子を被って守るんですよ」「放射能が身体に入ってしまって、僕がみんなに撒き散らしているんです…」というようなことも。そういえば監視カメラや盗聴器はまだまだ現役です。FBIやCIAというのは若年患者さんから出てるくことはほとんどなくなりました。

 統合失調症患者さんの思考は微分回路的認知とも言われ、細かな変化を察知する能力に長けています。ただ、それを元に行動してしまうところもあり、長期的にじっくり構えてというのがなかなか難しい。対して古典的なうつ病患者さんは積分回路的であり、過去のデータ蓄積で行動します。これは堅実ではありますが、過去へのとらわれで初動が遅れることをも意味します。両者を”世直し”と”立て直し”で比較することもありますね。

 そういった認知メカニズムを考えると、統合失調症患者さんの妄想が時代とともに変遷するのはとても納得が行きます。流れを察知して、それが妄想にも反映されます。対してうつ病患者さんの妄想は時代が変わってもあまり変化がありません。衣食住やそれにまつわるお金など、不変な生活に根差した内容になります。躁状態も基本的に生活から抜け出ませんね。

 一言に”妄想”と表現しても、疾患によって内容は異なります。精神病理学という分野は、そういったところを掘り下げていくもので、精神疾患の病態をとらえたり治療に応用したりすることに一定の役割を果たしてくれます。ただ、行き過ぎると”精神病理学・学”の様になってしまうことも。。。やはり臨床に根差したものであるべきだと個人的には思っていますし、病理学ばかり勉強するよりは薬理学やその治療学をしっかりと頭に入れた方が若手にとっては良いんじゃないかなと。モーズレイ処方ガイドライン読みましょうね。薬剤をしっかり勉強した後に、”たしなみ” として病理学や分析を、という順番が適切なのではと考えております。
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2017
06.06

レビュー:ベンゾジアゼピン依存の治療

 今回は、NEJMの以下のレビュー論文を見てみました。

Soyka M. Treatment of Benzodiazepine Dependence. N Engl J Med. 2017 Mar 23;376(12):1147-1157. PMID: 28328330

 ベンゾジアゼピン依存の治療はなかなか難しいことも多く、やり方なんて全然知らん、という医者もおります。レビューにはどんなことが書かれてあるでしょうか。全部ではないのですが、少しまとめてみました。自分のコメントは適宜 (←) で入れています。

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 ベンゾジアゼピン受容体作動薬(←ここではベンゾジアゼピン系薬剤といわゆるz-drugを合わせてそのように呼ぶこととします)はGABA-A受容体への直接的なアゴニスト作用を持つわけではなく、受容体に結合し、そのGABA親和性を高めます。それによって、Clチャネルがより開口し、GABAの抑制効果をCNSで高めます。GABA-A受容体は様々なサブユニットで構成され、例えば睡眠薬として用いられるベンゾジアゼピン受容体作動薬はα1サブユニットに主に結合します。ただし、薬理学的には抗不安と催眠とにはっきりとは分けられません。多くのベンゾジアゼピン受容体作動薬は半減期が長く、徐々に蓄積されていく傾向にあります。そして、代謝産物も薬理学的に活性を持ちます。半減期の短い方が依存のハイリスクとされ、ベンゾジアゼピン受容体作動薬そのものはオピオイドの鎮静効果を増強します(←また、ベンゾジアゼピン受容体作動薬のほとんどはCYP3A4で代謝されるので、CYP3A4阻害作用を持つ薬剤と併用するのは好ましくありません。高齢者や肝腎機能障害や低栄養であれば血漿蛋白も減少しているため、高い血漿蛋白結合率を有するベンゾジアゼピン受容体作動薬は投与量に注意します。もちろん、他剤との血漿蛋白の競合もあります)

 臨床効果の強さによって、ベンゾジアゼピン受容体作動薬は抗不安薬と睡眠薬に分けられます。しかし、原則として全てのベンゾジアゼピン受容体作動薬は抗不安作用、催眠作用、筋弛緩作用、抗てんかん作用、健忘作用を持ちます。2-4週間程度の使用であれば相対的に安全ではありますが、その期間を越えての使用では安全性が確立されていません。1ヶ月を超えての使用によって、約半数が依存を来たします(←これは多すぎないか? という印象。8ヶ月で半数という報告もありますね)。1種類の使用であれば致死的な中毒となることは少ないとされます。

 用量依存的な副作用は眠気、過鎮静、疲労、脱力、翌日への持ち越し、集中力低下、依存形成、中断によるリバウンド症状などなど。運転能力を著しく削いでしまうため交通事故のリスクになり、骨折や転倒の危険性も増します。高齢者では奇異反応が珍しくなく、精神運動抑制や認知機能障害 -記憶力の低下、集中力低下、注意の欠落- が起こることもあります。よって、高齢者の不眠や焦燥やせん妄に使用するのは好ましくなく、処方するのであれば短期間にとどめるべきです。健忘作用は特に高用量において記憶のつながりが途切れる形で生じます。長期使用と脳萎縮や認知症との関連性は議論のさなかです(←肯定する文献もあれば否定する文献もあります。交絡因子がありすぎて正確な評価は難しいのでしょうね。以前ほど強調しなくても良いのかなという感じ)

 腹側被蓋野と側坐核は辺縁系の一部であり、この部位でドパミン放出をもたらす薬剤は概して依存の可能性を持っています。前頭前野への神経投射は”依存のネットワーク addiction network”において重要です。ベンゾジアゼピン受容体作動薬は介在ニューロンのGABA-A受容体、特にα1サブユニットを含む受容体を調節することで腹側被蓋野のドパミンニューロンを活性化させます。

 アメリカでは、1996年から2013年にかけてベンゾジアゼピン受容体作動薬の処方は増えています。大量服薬による死亡も増えていますが、ほとんどすべての死亡が他の物質との併用でした(←ベンゾだけの大量服薬で死ぬのはとても困難です)。特にオピオイドとの合わせ技は呼吸抑制が強くなるため、FDAも2016年8月に安全情報 drug-safety communication で注意を促しています。ヨーロッパではここ数年ベンゾジアゼピン系薬剤の処方が減っているようですが、ドイツではz-drugの処方が増えており、それが説明の一部となるようです。相変わらずベンゾジアゼピン受容体作動薬は世界中で最も広く使用される向精神薬となっています。依存のリスクは精神疾患を持っていること、そして服用量の多さです。そして、ヨーロッパでもアメリカでも、長期使用などの不適切な使用はコモンなようです(←ベンゾ依存は日本だけの問題ではありません)

 依存は大量でなくとも生じます(←常用量依存は過日のPMDA勧告でも触れられています)。長期使用は、高齢者、精神科医による処方、定期的な使用、高用量、他の向精神薬の同時処方で見られるようです(←精神科医による処方については、病態が複雑なので使用せざるを得ないという場合も多いでしょうか)。長期使用後の離脱症状が生じるまでの時間は、短時間作用型で2-3日、長時間作用型で5-10日くらいとされています。殆どの離脱症状は脳の過剰な興奮と関係しており、身体的、精神的、感覚的な症状に分類されます。最も軽い症状は、睡眠障害に用いられている時に特に生じやすいもので、疾患の持つ症状のリバウンドです。最も多い身体症状は筋緊張、脱力、筋スパズム、疼痛、インフルエンザ様症状、皮膚のそわそわ・チクチクとした感じ pins and needles です。精神症状で最も多いものは、不安やパニック発作、落ち着かなさ、抑うつや気分の波、自律神経症状、集中力低下、不眠や悪夢などです。食欲不振、頻脈、複視、口渇、眠気、現実感喪失 derealization なども生じることがあります。聴覚過敏、羞明、皮膚の感覚異常などは割と多く、離脱症状に特徴的です(←聴覚過敏や皮膚の感覚異常は日本で俗に”シャンビリ”とも表現されます)。けいれん発作は多く見られ、特に突然中断された場合に見られます(←安易に”てんかん”と誤診しないように!)。深刻な症状には、妄想的な思考、幻覚、離人、離脱せん妄などが見られます。table 3に代表的な症状、table 4に鑑別疾患が掲載されています。

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 ベンゾジアゼピン受容体作動薬を中止する時は、離脱症状を防ぐために少しずつ減らしていくのが大切です。しかし、中止に持ち込めるかどうかはその人のキャパシティによるところが大きいようです。4-6週もしくは4-8週が中止完了の目安であり、期間をきちんと決めて一定したスケジュールで減量を行うことが勧められます(←ここは自分と違うスタンスですね)。患者さんが減らすことへのとらわれ morbid focus になるのを防ぐために、何ヶ月にも渡る減量は可能ならば避けるべきです(←確かにこのとらわれはとても難しく、それが病状を複雑にしていることもあります。減量を開始する時からしっかりとそこへの注意を患者さんに伝えるべきでしょう。であれば”じっくりゆっくりあせらずのんびり”も悪手ではないと自分は思っています)。また、ジアゼパムなど長時間作用型への切り替えは有効なのか不明であり、入院して患者さんに具体的な量を知らせず減量していく方法 blind reduction の有効性についても同様です(←長時間作用型への切り替え自体が結構難しく、自分はそのまま少しずつ減らす作戦が多いです)。複数種類のベンゾジアゼピン受容体作動薬を使用されていた場合は1種類にすべきであり、特にジアゼパムが好まれます(←この1種類にするのも厳しい時が多いですね…)。外来でもうまくいくことがあるものの、ジアゼパム換算で100 mg/day以上の大量投与の場合なら入院下で行うべきです(←普通の処方ではそんな大量にはなりません。ドクターショッピングや違法入手によって泥沼にハマった人だと思います)。オピオイドを同時に使用している際は、大量投与や中毒症状の出現などの場合を除き、原則としてオピオイドの投与量はそのままとしておくべきです。

 離脱症状に対する治療は、症状に合わせて行なわれます。ある程度のエビデンスを持つものに、抑うつや不眠に対する抗うつ薬や気分安定薬があり、気分安定薬では特にカルバマゼピン400mg/dayが使用されます(←ただ、カルバマゼピンはCYP誘導も持つのでちょっと使用しづらいなぁと感じています)。他には、抗不安効果を持つプレガバリンやガバペンチンやβ遮断薬、睡眠効果を持つ他の薬剤などが候補(←自分は過覚醒のような状態になったらクロニジンを使っています)。ただし、プレガバリンなどGABAに作用する薬剤の乱用リスクには注意が必要です。例えば、睡眠障害の場合はトラゾドン25-150mg/day、ミルタザピン7.5-30mg/day、トリミプラミン10-150mg/dayなどが用いられ、これらは就寝の1-3時間前に投与します(←自分はトラゾドンとミルタザピンを頻用します)。これらは主にヒスタミンH1受容体アンタゴニスト作用と一部に抗コリン作用が関わり、明らかな乱用可能性を持ちません。他には抗ヒスタミン薬があり、ジフェンヒドラミン25-50mg/day、ドキシラミン25-50mg/day、ヒドロキシジン37.5-75mg/day、プロメタジン25-200mg/dayなどである(←確かにヒドロキシジンはたまに使います)。不安症状がある場合は、SSRIなどの抗うつ薬がより適しています。メラトニンが離脱中の睡眠を改善するかもしれませんが、エビデンス的には弱く、フルマゼニルの皮下注は確固たるエビデンスを有しません(←メラトニン受容体作動薬のラメルテオンを用いることもあります。最近はスボレキサントを使う場合も)

 簡単な助言や心理教育も大切ですが、他の心理社会的な介入も同時に行なっていく必要があります。長期使用に対する心理療法は ”離脱そのものを促進すること、使用したいという欲求を断つよう促すこと、基礎疾患を治療すること” の3つをゴールとし、そのために動機づけ面接法や認知行動療法などが用いられます。多くの場合は折衷的であり、様々なアプローチの一部を組み合わせたものです。睡眠障害に対しては、睡眠制限法や刺激調節法などの治療法が有効なようです。

 依存を避けるため、2-3ヶ月以上の処方を行なったり、どんどん増量したりすることは避けるべきです。治療の評価を適切に行い、アドヒアランスを保ち、多くの種類を処方せず、良いタイミングで治療を終了することが肝要。依存のハイリスクはアルコールや薬剤の依存、慢性的な症状-特に慢性疼痛、慢性的な睡眠障害、パーソナリティ障害、気分変調症などで、高齢者対し目標となる明確な症状がないにもかかわらず長期に処方するようなことは避けなければなりません。table 5に治療がまとめられています。

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 臨床的には、全員にベンゾ中止を試みる必要はありません。中止する気が全くない場合や深刻な精神障害を持っている場合は、待った方が良いようです。長期使用や少量の睡眠薬で依存となっている高齢者も、中止に持っていくまでが難しいです。ゼロにすることが難しければ、まずは半減を目指すところから始めても良いでしょう。

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 という内容でした。コンパクトにまとまっていて、注意すべきところを強調した論文だと思います。オピオイドの話が出てくるのはアメリカンな感じ。
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2017
05.31

本業なのか副業なのか

 先日、東京方面で講演会をしてきました(日帰り)。少し前に記事にしてお知らせしていましたが、なんと漢方薬以外での依頼なのです。自分は本業が精神科医で、副業で漢方屋さんという立場です。でも最近は副業の方での依頼ばかりで、特に去年や一昨年は漢方だけでして、どっちが本業なのやら自分でも分からなくなっていました。ちなみに8月も漢方の講演会をするのであります。ホントに漢方尽くしになってきました…。

 だから漢方ではないお話の依頼をもらった時は「これは何かの間違いではないか…」と不安にもなり。依頼をしてくださった先生の意図を汲んで、お話の内容は、精神科と他科・患者さん・ご家族との ”つながり” に重点を置いたものにしました。私たちの ”あわい(あいだ)” を意識してみると普段の臨床はどう見えるかという、ちょっと観念的なもの。自分は木村敏先生の ”あいだ” に強く影響を受けており、特に垂直の”あいだ”は最近実感することが多くなりました。だから講演の内容も西田幾多郎(『私と汝』)を入れてみたり、でも木村敏先生をそのまま紹介するだけでは意味が無いので最近の精神分析の流れ(ミッチェルやストロロウ)とかウィニコットの ”抱っこ” の意味とか、そこから家族面接の下坂先生の紹介をしてみたり、もちろん薬剤の精神療法的な面をどう活かしていくかとか…。とにかく、自分たちの日常臨床を ”あわい” という視点でとらえ直してみましょう、という話題にしました。

 当日はかなりバタバタしていて、ゆっくりご飯を食べることが出来ず。翌日も仕事なので、宿泊なんて出来なかったのです。残念。最近は抑うつ状態になっているのが自分でも分かっていて倦怠感が著しいので、移動そのものが精神的・肉体的にきついものでした…。

 当日の流れは、行きの新幹線の中でリハーサル。

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 このスライドは薬剤の持つプラセボ効果を臨床で最大限発揮させようというもの。臨床試験ではプラセボ効果は嫌なものですが、リアルワールドでは大いなるサポーターであり、それを存分に引き出すために患者さんとの ”あわい” を大切にしていこうというものです。服薬に対する思いはとても複雑で、いくら医者が ”正しい意見” を言っても虚しく空を切る、むしろ ”あわい” が硬直化してしまう恐れがあります。実際に飲んでくれるのは患者さんなので、その人がどう感じているかを丹念に追うことが ”あわい” をゆとりあるものとし、優しさというプラセボ効果を発揮させるのです。

 そして、東京駅に着いたらちゃちゃっとお昼ごはんを食べたのであります。たぶん食事に使った時間は5分もない。おむすびは ”鯛めし” なんです。美味しかった。

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 東京駅で迷いながらも急いで電車に乗って会場に。講演の30分前に何とか到着。そして講演を済ませてまたすぐ東京駅に。帰りの新幹線まで少し時間があったので、キャラクターストリートのTBSストアにて ”ぐでたま” 先生のコーナーを覗いてみる。

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 他にはリラックマストアも眺めてみたり、お土産を見てみたり。そうしていたら時間がなくなってお夕飯を食べられず、帰りの新幹線では別の講演会のスライドを直していたら酔ってしまって具合が悪くなり、ヘロヘロになって名古屋に戻ったという何だか大変な日でした。そして今日も身体が本調子でない。

 いちおうお土産として、神楽坂の五十番というお店の ”五目まん” を駅で買ったのであります。とっても大きい。

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 手のひらいっぱいのサイズで、これ1つでお腹いっぱい。600円ちょっとの値段なので、結構なもんですよね。パカっと割ると

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 タケノコの食感が良かったです。一緒に肉まんも買ったのですが、味自体は肉まんのほうが良いかな?

 今回の旅の癒やしとしては、TBSストアで買った ”ぐでたま” 先生のトミカ。かわいい。

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 ”ぐでたま” 先生、サンリオキャラクター大賞のほうも応援しています(1日1票 投票中)。

 ということで、とても大変な日でしたが本業での講演会は久しぶりだったので新鮮でした。
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