2012
02.04

人間は”あいだ”で成り立つ

 ”赤の他人”という言葉があります。それは、隣人を何とも非常に遠い存在に思わせます。私たちは「そんな奴ら関係ないよ、所詮は他人でしょ」と考える傾向がありますが、意外にも人っていうのは近くでつながっているんです。初めて知り合った人とお話をしているうちに、共通の友人がいて、、、なんてことがありますが、好例ですね。

 それについて「本当にそうなの??」と色々と実験がされていまして、ミルグラムという先生が元祖。大規模なものはコロンビア大学のワッツ先生が行い、電子メールを利用したもの。その方法はインターネットで実験への参加者を募り、世界の何処か遠くにいる一般人の目標人物まで電子メールの鎖をつなぐというもの。彼らの実験では何とですね、


赤の他人との距離は6人程度


という結果が出たんです。すなわち、私たちは6人くらいで世界の人とつながってるんです!これを『6次の隔たり』といい、ネットワークの原理の1つ。それは、大人数がいて枝が複雑に絡み合ったネットワークの中に、私たちがいることを示してくれます。複雑だからこそ、どんな人とも少ない人数を辿れば接点があるんですね。雑踏ですれ違うあまたの人とも、6人位つないでいけば知り合えるかもしれません。そう考えると、他人も身近に感じてしまいます。

 勿論それだけで人間関係を語ることは出来ず、もう1つの原理に『コミュニティ(クラスター)』というものがあります。換言すると「集団」とも表現できます。家族であったり、部活であったり、飲み友達など…。みんな、複数のコミュニティに属しています。6次の隔たりと違って、こっちは自分でもすんなり理解できそう。コミュニティは、それに属することで人に安心感・帰属感を与えてくれる機能を持っています。これ大事。

 その2つの原理を結びつけるのが『ショートカット(近道)』という存在。例えば、あなたが北海道にいるとしましょう。そこから会ったことのない三重の人まで知人を介して会おうとする時、北海道から青森、そして青森から岩手、そして岩手から宮城、、、と地理的に段々と近づくことはしないと思います。三重出身で今北海道にいる人や、三重に勤めたことのある人などなど、何か三重に縁のある人を身近にまず探します。その人が、北海道と三重を直接つないでくれます。それが、近道。

 コミュニティの多いネットワークに、近道をプラスしてあげる。すると、6次の隔たりが出来上がるとともに、そのコミュニティも崩れません。「友達の友達はまた友達」の構図ができ、巡り巡って人類みな友達に。私たちのいるこのようなネットワークを


スモールワールド・ネットワーク


っていいます。このスモールワールドでは、全ての人はつながっていて、コミュニティによって守られています。

 人間関係にはこれ以外にもスケールフリーやハブといった理論があり複雑ですが、基本はこの2つの原理。

 コミュニティに関して、子どもについて付け加えておきます。子どもに色んなお稽古事や塾を押し付ける親が多いですが、それだと子どもが精神的に参ってしまいます。毎日異なるコミュニティに少しづつ接することとなり、どのコミュニティにも深く入っていけません。そして家族との時間も少なくなり、結果的に、どのコミュニティの中にもいられなくなります。これが精神的な傷となってしまうのでは、と危惧されています。子どもの帰れる、安心を得られるコミュニティをまず親に作ってもらいたいと思います。勿論、1つのコミュニティへの囲い過ぎは良くありません。コミュニティを奪い過ぎない程度に家族や学校以外の世界もあることを伝えると、子どもにとって良いのでは。

 私たちの中には、組織に埋もれて日々を何となく過ごしたり、義務的に送ったりという人も多いかもしれません。コミュニティも希薄化し、心の拠り所が寂しいものとなり、兎角に人の世は住みにくいという言葉がぴったり。でも、私たちは誰かと結びついています。その結びつくネットワークでは欠けてはならない存在。自分に自信を持って、そして自分を大切に。そしてコミュニティを無下に扱ってはいけません。帰るところがある、という意識は人に安心感をもたらしてくれます。

 こういったことは忘れがちですが、社会を生きていく上で意味のある、暖かい考えだと思います。
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