2012
02.04

救急外来で使用する検査項目~肺炎球菌とレジオネラの尿中抗原

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 尿中抗原には肺炎球菌とレジオネラの2種類があります。いずれも肺炎ではルーチンで測られることがあり、皆さんも救急外来で肺炎を見たらオーダーしているかもしれません。

 まずは肺炎球菌から。肺炎球菌性肺炎は市中肺炎の半数近くを占めます。尿中抗原は、特に良質な喀痰が得られない患者さんや、抗菌薬が投与されても排泄される特性があるため、既に抗菌薬投与が成された患者さんで有効とされます。ただし抗菌薬の感受性は得られないので、検出された肺炎球菌がどんな耐性を持つかなどは分からないことに注意。

 この検査は肺炎球菌性肺炎に対する感度80%、特異度95%です。LR+16、LR-0.21なので、陽性の場合は一気にRule inに。しかし、陰性の際は除外しきれません!2010年のArchives of Internal Medicineでも「陽性なら有用」としています(1)。更に、以下に示す事実を考慮しましょう。

 小児では偽陽性があり、これは上咽頭のバリア未熟、IgAが低いこと、潜在的な中耳炎などが関連していると言われます。また、この抗原は一度陽性になると数週間は排泄されます。2008年のJournal of the American Geriatrics Societyによると、中には数か月間も排泄される患者さんもいるみたいで。肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)を接種後1週間ほどは陽性になるらしいです(2)。既感染か新規発症かきちんと判断しましょう。

 次にレジオネラ。日本では温泉や24時間風呂が発症の患者背景として多いです。市中肺炎での占める割合は数%ですが、50 歳以上の男性が圧倒的に多く発症します(男性は女性の3-8倍の罹患率)。突然の高熱、全身倦怠感で発症することが特徴で、2-3日してから咳や痰が出るようになり、消化器症状の合併もあります。症状の進行は異様に速く、検査値では低Na血症やLDH・AST・ALTなどの上昇が見られることが多いとされます。レジオネラには血清型が複数あり、日本におけるレジオネラ肺炎の半数が1型によるものです。

 尿中抗原はその1型を基本的に調べるもの。1型の診断率は95%以上の感度とされますが、それ以外の血清型では約78.6%、L. pneumophila以外の菌種では13.6%という惨憺たる結果。異なる血清型や、異なる菌種によるレジオネラ感染症を完全には否定することはできません。すべてのレジオネラを含めると感度特異度ともに肺炎球菌尿中抗原と大体同じ値。ただし、2009年のCHESTに掲載された論文では、対象とした論文の質がどれも低く、出版バイアスの可能性もあるとのことで、更なる検討が必要としています(3)。

 肺炎球菌尿中抗原と同様に、レジオネラ肺炎でも尿中抗原が発症後数週間は排泄されてしまいます。レジオネラ肺炎患者には再燃が多々認められるので、検査結果に振り回されないようにしましょう。


☆参考文献
1) Current and Potential Usefulness of Pneumococcal Urinary Antigen Detection in Hospitalized Patients With Community-Acquired Pneumonia to Guide Antimicrobial Therapy; Arch Intern Med. Published online September 27, 2010.
2) Might Streptococcus pneumoniae urinary antigen test be positive because of pneumococcal vaccine?; J Am Geriatr Soc. 2008 Jan;56(1):170-1.
3) Systematic Review and Metaanalysis:Urinary Antigen Tests for Legionellosis; Chest. 2009 Dec;136(6):1576-85. Epub 2009 Mar 24.
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