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2019
09.03

何様のつもり?

Category: ★精神科生活
 製薬会社のMRさんとは、(しゃあなしに)お話しすることがあります。自分の病院ではアポイント制ではないので、帰り際に話しかけられるのですが「無下に扱うのもアレだしなぁ」という思いもあってお話をします。もちろん薬剤のパンフレットには目を通しませんし、講演会の案内も断ってますし、渡される文献も基本的には話半分どころか話ミジンコくらいに扱います。製薬会社が渡す文献という時点で、バイアスが入りすぎ。必ず自分でそれに反するエビデンスがないか調べておきます。

 MRさんも自分自身より若い医者を相手にヘコヘコしなきゃいけないので、何だかとてもストレスフルだろうなぁ、と思ってしまいます。だから話しかけられたら丁寧に応じることをこころがけていまして。人に接する時にいい加減な気持ちではいけません。研修医やレジデントで、MRさんに対してタメ口の人もいますが、アレはダメですよ。他職種にはきちんと敬意を持って接することが肝要ですし、それがひいては人を大事にすることにもつながるでしょう。自分たち医者も薬剤がなければやっていけないのだし。「薬を使ってやる」という気持ちではダメ。そこを疎かにする医者はお薬そのものも疎かに扱うことになるのです。

 ただ、カチンとくるMRさんもいます。別に自分のことをどう思っていようが構わないですし、自分も薬剤勉強会ではあえて意地悪な質問をすることがあります。ま、これは研修医やレジデントがいる時に、臨床試験のどこに注意するかを意識しての質問ではありますが。中でも本当にカチンとくるMRさんは、いちおう今まで一人だけ。こんな感じのお話。

MRさん「先生、どうですか、●●は最近お使いになっていますか?」
自分「いやぁ、●●ってこの辺りが使いづらいなぁというのがあって。まだなかなかですね」
MRさん「一例からでも良いので、ぜひ」
自分「そうですね。適応になるような患者さんがいたら検討しときます」
MRさん「先生、適応は待つんじゃなくてつくるもんですよ」



ハァ?



 なにそれ。「適応はつくるもの」って、本気で言ってんの? そもそも”一例”って言い方が好きじゃないけど、その”適応をつくる”ってのは、患者さんを何だと思ってんの?

 これを機に、そのMRさんの信用は失墜しました。ほとんどのMRさん対話術に長けていて、それはブスッとした医者をはるかにしのぐもの。でもその人はダメでしたね…。もちろん対応そのものはそれまでとは変えずに丁寧にしますが、こころの中では「アンタんとこの薬剤は死んでも使わんぞ」くらいの気持ちです(あくまでも気持ち。その薬剤が合うような患者さんなら検討しますよ)。

 医者や薬剤っていうのは、患者さんの生活をちょっと支えるような存在です。ある時期は車椅子にもなり、またある時期は松葉杖にもなり、ある時期はちょっとした絆創膏にもなります。でも、それ以上では決してありません。なのに、「適応はつくるもの」っていうのは、薬剤ありきで、患者さんをそこに押し込めているような気がしてならないのです。患者さんは、薬剤治療のためにいるのではありません。医者は、患者さんがこの先の人生を少しでも幸せに過ごしてもらえるように、薬剤を使うのです。先のMRさんの発言は、それを無視したものに思えてなりませんでした。

 まぁ、ちょっと気にし過ぎじゃない?と言われたらそれまでですが、言葉の端々にその人の態度って何となく出てくるような。
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コメント
もなか先生。

> 「適応はつくるもの」
とても恐ろしい言葉だと思いました。製薬会社さんの本音とでも言えるのでしょうか。もしも製薬会社さんの働きかけで、保険適用となる症状(疾患?)が無理に広げられ、無駄な投薬がされていたりしたら……
元メイラックス減量中dot 2019.10.01 22:18 | 編集
>元メイラックス減量中さん

ありがとうございます。
製薬会社のMRさんもそこまで深い意図はなく、私の狭い適応範囲を広げたかったのだと思います。
でも言い方は好ましくなく、やはり良識を疑ってしまいますね。
m03a076ddot 2019.10.07 14:20 | 編集
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