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2019
04.12

神経心理学はすぐに忘れる

Category: ★本のお話
 最近、ブログの更新自体も1か月に3回とか4回とか、往年に比べて随分とペースが落ちました。それに合わせて、読んだ本の紹介も全くしなくなったなぁと思い出したのです。忙しかったり、体調がよくなかったり、疲れていたり、そんなのでついつい。でも忙しさのピークは何となく過ぎたような気もするし(気がするだけ)、そろそろ趣味のことでも始めてみようかな、なんて考えることも出てきました。

 今回は、そんな反省も踏まえて、久々に本のご紹介を。

 読んだのは『認知症の心理アセスメントはじめの一歩』(医学書院)です。読んだ、と言っても実は発売当初に買って読んだので1年前なのですが…。

 心理アセスメントと聞くと心理士の先生がするものと思うかもしれませんし、大体そうなのですが、HDS-RとかMMSEはさすがに医者も行ないますし、患者さんに取り組んでもらっている間の様子も知りたいので、外来初診の患者さんのHDS-RやMMSEを心理士の先生にお任せすることはありません。しかし、数分で終わるもの以外は心理士の先生、つまりは専門家にお願いをします。

 その中で、神経心理学的検査はもちろん神経心理学を理解しておく必要があり、これがどういうものかは、本書の "神経心理学は、言語、認識、行為、記憶などの心身の働きが脳のどの部位で、またどのような機序によって営まれているかを明らかにする研究分野" という説明が的を射ているでしょう。例えば「遂行機能は脳のどこの部位が担当して…」というもの。

 この神経心理学は自分の苦手なところで、山鳥重先生の本や武田克彦先生の本を何冊か読んだのですが、残念ながら「読むたびに忘れる」ということを繰り返していまして…。まさに「読む回数=忘れる回数」となっています。もはや永遠の初学者?

 この本は、まさに "はじめの一歩" であるため、言葉もわかりやすく説明されていますし、フルカラーでイラストも多め。「読んでみようかな?」という動機づけを可能にしてくれるのが高ポイント。しかも薄すぎず厚すぎず、かつ安いんですよね(2800円+税)。

 自分は、心理アセスメントそのものを学ぶというよりも、第2章の「部位別にみた脳の機能とその検査」と第3章の「認知症の病型別にみた認知機能障害の特徴とアセスメントの実際」を勉強したという感じです。初学者にもわかりやすく示してくれているので、導入、そしてすっかり忘れた頭には最適。そこからもう一回武田克彦先生の本を読み直そうかな…。疾患そのものの理解はこの本の主眼ではないため、他書でしっかりと学ぶ必要があります。

 第3章ではHDS-RとMMSEなどの下位項目の比較が病型別に載っているものの、これは参考程度にしておいたほうが良いかもしれません。元文献を読んでいないので分からないのですが、検定方法がどんなものか気になりますし、多重検定にもなっており、αエラーの可能性が高いと思います。きちんと補正をかけているのなら良いのですが。

 自分は "認知症の" というよりも神経心理学の大まかな理解のためにこの本を読んだので、全体的に浅い理解にとどまっていると思います。本来なら第4章を最重視すべきでしょう。心理アセスメントをどう活かすかというのが最も大事であり、それをしないと「WAISでばらつきがあるから発達障害ね」という愚の骨頂をしでかす恐れがあるのです。ラベリングのために用いてはなりません。「何のための検査か?」を考えながら、医者であれば依頼をかけましょう。言ってしまえば、患者さんの幸せにどう結びつけるか、というのが心理アセスメントの、そして医療の根本だと思います。診断やアセスメントというのは、そして医療というのは、患者さんがより良く生きるための侍従であるはずです。
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