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2018
07.05

てんかんフェア開催

Category: ★本のお話
 以前、腎臓フェアを開催したという記事 (コチラ) を書きました。初見のかたは「???」と思うでしょうけれども、自分はたまに「〇〇フェア」と銘打って、その領域の入門的な教科書などを買って読むということをしています。要するに期間中はその領域の勉強に集中するよということでございます。

 腎臓フェア以外も英語論文の書き方フェアとか北山修フェアとか山口誓子フェアとか、種々の範囲のものを繰り広げていました。残念なのは、ここ5年くらいでめっきり記憶力が落ちてしまい、フェアで覚えた知識が期間後はどんどん失われていっているという点。以前は自分の部屋の中のどこにどんな本があるかほぼ把握していたのですが、今は見る影もなく…。本が足の踏み場もないくらい床に置かれていても大丈夫だったのに。本の二度買いも増えました。「お!」と思って買って読むと、後半あたりで「あれ? これってどこかで読んだような…?」と気付き、自分の部屋の本棚や床をくまなく探すと、その本が出てきます…。しかも同じ部分に線を引いているし。いよいよもって認知機能を心配する時が否応なくやって来て、家族からも心配される日々。果たして大丈夫なのか。この前アップした "withです" というタイトルの記事も、以前に同じような内容の記事を書いていたことが後で発覚し、だいぶピンチ。

 色々と嘆いても仕方がないので、今回は「てんかんフェア」を開催したのであります。去年からはてんかん学会にも所属し、そして今年からは勉強会にも参加するようにしています。その勉強会ではビデオ脳波モニタリングの映像も見せてくれるので、いい経験になっています。ただ、やはり新米ぺーぺーでして、難しい本は理解するのに時間がかかる。しかも脳波が苦手で読めないし…。だから症状の聞き取りにステータスを全振りするくらいのつもりで勉強。精神科でてんかんそのものの治療って今はあまりしないのですが、精神症状の中にはてんかん発作によるものもあり、誤診は避けたいものです。

 てんかんの本では、メディカ出版さんから出ている中里信和先生の『ねころんで読めるてんかん診療』が初学者向けには良く、そしてどのような科の医者でもマストなのが、医学書院さんから出ている兼本浩祐先生の『てんかん学ハンドブック』でしょう。これはやはりベースに置きたい。

 そのうえで、今回買ったのは

金方堂さんから出ている川崎淳先生の『トコトンわかる てんかん発作の聞き出し方と薬の使い方』
医学書院さんから出ている吉野相英先生監訳の『てんかんとその境界領域』
南山堂さんから出ている池田昭夫先生・松本理器先生監修の『症例から学ぶ戦略的てんかん診断・治療』

 の3冊。

 『トコトンわかる~』はとっても分かりやすくて、それもそのはず、若手精神科医を対象にした勉強会の内容が基になっているのでした。「てんかん、よう分からんわぁ」という精神科医のアナタ!にお勧めできる内容なのです。もちろん精神科医でなくとも初心者にはピッタリ。

 『てんかんとその境界領域』はガチの内容。これは一定以上勉強した人向けだと思いますが、読んで損は全くありません。鑑別診断を熟知するために必須の本とも言えるでしょう。精神科領域でも外せないものがたくさんあります。鑑別診断でここまで詳しいものって珍しいのではないでしょうか。

 『症例から学ぶ~』はシリーズ化しており、片頭痛や認知症や慢性疼痛などがあります。このてんかんも症例ベースで、今まで勉強したことを組み立てて想像しながら読めるので、とても面白いですよ。

 そして、大事なのが発作を目で見て覚えるということ。文章だけだとやっぱりイメージが湧きにくいのです。製薬会社との癒着か!と怒られてしまいそうですが、大塚製薬さんから発作をまとめたDVDを (ねだって) もらいまして、それがとても役に立っています。『てんかん発作症状Library』というものでして、発作といっても患者さんの発作そのものを録画したわけではなく、役者さんが演技をしたもの。とはいえ、自分のようなレベルでは本当の発作と違いを見抜けないくらいにすごく良く出来ています。上記の中里先生監修であり、手に入るのであればGETしたい代物。

 しかしながら、こうやって勉強したこともすぐに忘れてしまうので、フェアが終わった後もちらちらと再読しないと大変な目に遭ってしまいます。年をとるのは怖いですねぇ。読んだ内容をまとめるのも良いかもしれませんが、改めて読み直すと以前は気にしなかったところに「おっ」と思うことも多々あります。まとめてしまうと、以降はそれしか見なくなるかもしれず、新たな発見の機会を失うのかも、と感じてもいるのです。でも読み直すのも結構しんどいのですが。

 あ、今回は小児のてんかんを除いています。一般精神科外来で小児のてんかんを診るのはかなり稀な出来事なので。
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コメント
もなか先生

私は”もなか先生フェア”です。

精神疾患のことも漢方薬のことも全くと言ってよいほど知りませんでしたが「精神科は、実は身近な診療科だったのだ」と分かりました。
このブログのコメント欄のやり取りも少しですが、分かってきた気がします。

ゆっくり、じっくり読んでいるので、しばらく楽しみな時間が続きます。




しらたきdot 2018.07.05 20:20 | 編集
>しらたきさん

ありがとうございます。
ブログは記事の数が多めなので、お暇なときにゆっくりと見ていただければと思います。
時期によっては言っていることが違っていることもあるでしょうが、考えの変遷と受け止めていただければ。
m03a076ddot 2018.07.11 13:09 | 編集
もなか先生

先日、病院全職員対象の医療安全管理研修「睡眠薬の適正な選択」に参加してきました。
転倒防止対策の視点から90分間をかけて不眠症治療を学びました。「昔は気軽に配薬してたな~」と、薬物治療について無知だったことを顧みました。(こういうことは、他にもよくあることです)

このブログの「ベンゾジアセピン離脱用の記事」のコメントの多いことが気になっていましたが、内容の理解に及んでいませんでした。
でも、研修を受けてからこの記事を改めて拝見してみて、急速に理解が深まりました。

転ばない不眠治療薬があればよいのに。

もなか先生フェアは続きま~す。

しらたきdot 2018.07.21 08:05 | 編集
>しらたきさん

ありがとうございます。
ベンゾも絶対的な悪ではなく、使い方なのだと思っています。
そこの価値判断をしっかりと患者さんと組み立てていくことが医療者にとって大事なのでしょうね。
m03a076ddot 2018.07.21 09:33 | 編集
このコメントは管理人のみ閲覧できます
dot 2018.07.22 08:56 | 編集
管理人用閲覧コメントをくださったかた、ありがとうございます。

ひとつ大事なのは、どんな薬剤でも急にやめると身体がびっくりすることが多いという点です。
血圧を下げる薬でもそのような作用があり、胃酸を止める薬もそうです。
私は依存性のある薬剤で生じるそのような症状を離脱症状と呼んで、依存性のないものでは中断症状として区別しています。
レグナイトについては中断症状が生じることはあるかもしれません。
かもしれない、というのは、ハッキリとしか根拠がないのでそのような言い方をしています。
一般的に、長期に服用していくのであれば、ある日からパタッとやめた場合、中断症状が出る人もいると思われます。
ただし、全員そのようなことになると言っているわけではありません。
この辺りは今の症状と服薬の必要性などを合わせて考えて判断すべきことでしょう。
m03a076ddot 2018.07.24 09:52 | 編集
このコメントは管理人のみ閲覧できます
dot 2018.07.28 00:44 | 編集
管理人用閲覧コメントをくださったかた、ありがとうございます。

依存性については広島県医師会のページを見ていただくと良いかもしれません(http://www.hiroshima.med.or.jp/pamphlet/276/-iii.html)。
レグナイトにはそのような確たる論文が挙がっていないことから、おそらく問題ないであろうという推論になります (医療に100%は無いというのはご了承ください)。
m03a076ddot 2018.07.28 11:37 | 編集
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