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2017
11.28

少しは読めるようになった、かな?

Category: ★本のお話
 医学書院さんから2017年10月に出たばかりである小林弘明先生の『誰も教えてくれなかった胸部画像の見かた・考えかた』を読みました。『誰も教えてくれなかった○○』というタイトルの本は結構多くなりましたね。最初は野口善令先生の『誰も教えてくれなかった診断学』でしょうか??

 自分は胸部レントゲンと言えば中外医学社さんから出ている大場覚先生の『胸部X線写真の読み方』をうんうん唸りながら読んでいたことがありまして。学生から研修医の頃でしたが、何回か読んでもあれは難しかったなぁ。良い本で名著と言っても過言ではないのですが、難しくて唸ってました。今は精神科におりますが、この科でもレントゲンは大事でございます。抗精神病薬やベンゾジアゼピン受容体作動薬を服用している患者さんは肺炎を来たしやすい傾向があり、また統合失調症という疾患自体もおそらくはそうなのだと思っています。かつ、今の精神科病院は入院患者さんの高齢化も進み、認知症患者さんも多く入院しています。肺炎とは切っても切れない! 身体診察とレントゲンのみで診断するのは難しいと言われますが、だからと言って「難しいんなら勉強しなくて良いや」なんてことにはなりません。限界を知るためにもきちんと学ぶことが欠かせないのです。と言っておきながら、胸部レントゲンは主に大場先生の本で得た知識の遺産で食いつないでおりました。今回しっかりと見直してみようということでございますね。

 この本の特徴は、著者が呼吸器外科であるため手術写真が豊富な点、そして病理までご自身でされるので病理写真も多いという点が特色。それらと画像との対比がなんと ”単著” でなされるという稀有さ。これは大きなポイントです。かつ、あとがきでは放射線科医である娘さんにも目を通してもらったそうで、もはや隙がない…。

 そして他書との大きな違いは ”辺縁” へのこだわり。辺縁が見える/見えない仕組みをこれでもかとばかりに理論的に語ってくれます。そのつながりでminor fissureとmajor fissureを解説してくれますが、fissureを意識することでこんなことが分かるのか!と考えを改めさせられました。自分は読影で過小評価してました、完全に。1枚のレントゲン写真でも、自分の眼に映るものと著者の小林先生の眼に映るものは全く違うんでしょうね。この本を読んで、とても得るものが多かったです。そして、”見える/見えない” と書きましたが、この本は「どうして見える?」だけでなく「どうして見えない?」の方にも重きをおいて、きちんと説明しているのが重要。「あ、だからこれは見えないんだ」というのが納得できるのです。最近はエビデンスで重戦車のようにどどどっと攻める本が多くなりましたが、やっぱり今回のような本はスジが通っており、読んでいて楽しいのです。

 著者が呼吸器外科なので肺癌にまつわる画像や解説が多め・詳しめになっています。欲を言えばもうちょっと肺炎の画像と解説が欲しかったかな?と思いました。でも、最初の1冊にも良いですし、改めて勉強する時の1冊にも向いています。説明もわかり易くて読みやすいので、うんうん唸らなくても大丈夫。「うーんなるほど」と唸るかもしれませんが。

 他にはコラムで「本書で用いた画像に関しても、実は異常例の選択以上に、さまざまな所見が揃った正常例の選択に苦労した」とあり、なるほどなぁと思いました。全てが整っている正常例というのは少数なのかもしれませんね。みんなどこか凸凹しているという理解は精神科で広く親しまれていますが、画像もそうだとは。そういや自分も側弯があるのでレントゲンでよく指摘されます。あと気になったのは、例えで出てくるミニトマトの写真。いやにミニトマトの色が良くておいしそうでした。まさか撮影用に良いのを買ったのでは…と勘ぐってしまうくらい。また、紙質も良いですよ。その分ややページ数のわりに重量がありますが、画像診断で紙をケチると良いことは全くありません。
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コメント
最中先生

いつも楽しくブログ拝見しております。
今後、身体合併症の多い老年精神病患者を治療する上で、画像が多少でも読めるようになることは我々精神科医にとっても大事なことですよね。先生の仰るようにレントゲン読影は大事ですし、さらに認知症をやるなら頭部CT、MRIが読めるようになると良いですよね。ただアンシュタルトではMRIは出来ないので専らCTがメインとなりますが(汗)
私も実は中部地域で診療をしておりますので、どこかで先生とはすれ違っているかもしれませんね(笑)
今後も先生のブログ楽しみにしています。
通りすがりの精神科医dot 2017.12.01 14:41 | 編集
>通りすがりの精神科医先生

ありがとうございます。
MRIを持っている精神科病院はなかなかないですね。
以前勤めていた精神科病院も、数年前にようやくCTが入ったと聞きました。
それだけしっかりと精神科医も読影しなければならないのではありますが、撮るからにはきちんと見たいものです。
先生も中部地方なのですね。本当に奇遇です。
ブログも弱々しく更新していこうと思っております。
m03a076ddot 2017.12.02 09:26 | 編集
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