2017
05.17

臨床のワンフレーズ(19):何もないのは平和のしるし

Category: ★精神科生活
 色んな精神疾患がありますが、寛解をキープしていると診察で特に話題にすることが無くなってきます。

自分「いかがですか?」
患者さん「特に変わったことはないですねぇ」
自分「お元気に暮らしてらっしゃる」
患者さん「はい。もうすっかり」

 こちらが「この患者さんは元気にやってるなぁ」と想像できるような時は、基本的に患者さんはとても元気です。「変わりありません」と言われても何となく診察の場が淀むというか停滞するような感じが繰り返される時、患者さんは良い材料が見つからず低空飛行が続いているのでしょう。その時は以前のワンフレーズにあった”こころのお天気”などの比喩で変化球を投げてみると良いかもしれません。

 で、寛解で元気な場合、患者さんが「変わりないって毎回言うのも悪いなぁ…。何かないかなぁ」と考えることがあります。そうなると診察の場も緩やかではなくなるので、こちらから


自分「何もないっていうのがいちばん平和ですね」
患者さん「あ、そうかもしれませんね」
自分「お元気だったら、自信を持って、何もないって言ってください。平和のしるし」
患者さん「はい、分かりました」
自分「何かあったら、それはすぐに言ってくださいね」
患者さん「はい」


 こんな感じでお伝えします。「何かつくらなきゃ…」と焦ると、患者さんにとって診察が苦しく感じられます。「何もないことも大切な情報なのだ」と理解してもらうことが大事でしょう。もちろん、お薬を減らせる状況なら減らすので、診察ではその具合もお聞きすることになります(その果にはお薬ゼロ→終診もあります)。
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コメント
佐藤と申します。
以前、母のせん妄について質問させていただきました。当時はデパスが原因で幻覚を見ていたのですが、いまだに幻覚、夜間異常行動、すり足などの症状が続いていたので認知症検査をしました。先週母の検査結果が出てレビーと診断され、明日からアリセプトを服用させるのですが、正直不安でいっぱいです。ネットで体験談を見ていてレビー患者にはドグマチールはいけないと書いてあるものが多かったのです。母は長期にわたり朝、夕とドグマチール50mgを服用しています。
アリセプトは認知症検査をした先生からかかりつけの内科の先生に指示があったものですが、ドグマチールは内科の先生が出されているものです。実際に飲ませてみないとわかりませんが、今母は表情もなくなり、歩くのもやっとの状態なので、とても怖いです。
先生、ドグマチールはレビーに対してどうなのでしょうか。
お忙しいところ申し訳こざいませんが、ご回答いただけると嬉しいです。
佐藤美幸dot 2017.05.22 20:58 | 編集
>佐藤美幸さん

ありがとうございます。
レビーと言ってもかなり病態が様々あり、特に強調されている薬剤過敏性というのも実は全員ではなく半数くらいの患者さんが有しているものです。
よって、ドグマチールが良いか悪いかと簡単には言えないのが実情です。
副作用が出ているのであればもちろん減量もしくは中止でしょうし、副作用なくある程度病状の悪化が抑えられているのなら悪いものではないと思います。
繰り返しですが、レビーは一つの疾患というよりも幅のあるものと考えられます。
よって、幅のあるものに対してこのお薬が合うか合わないかは残念ながらお答えはできないのです。
合う! いや合わない! と断定する方が魅力的に映るでしょうけれども、不確実なものという認識はお持ちいただければと思います。
m03a076ddot 2017.05.31 00:07 | 編集
管理人用閲覧コメントをくださったかた、ありがとうございます。

何もないということの大切さ、を知るのも患者さんにとって発見になりますね。
憧れや好きという感情は、特に否定するものではないと思います。
「ははぁ、自分はこんな感情を持っているんだな」と気づいておく、そのことが大切なのだと考えています。
「なぜこんな気持ちを、こんなに考えたらダメだ」と悩みだすと深みにハマることがあるので、その感情に対する”気づき”を得るということ自体が重要です。
m03a076ddot 2017.05.31 00:10 | 編集
先生、いつも丁寧に教えていただき感謝しております。
レビー患者への投薬の難しさ、改めて感じました。
母の状態をよく観察しながら見守っていきたいと思います。ありがとうございました。
佐藤dot 2017.05.31 08:30 | 編集
>佐藤さん

ありがとうございます。
画一的な回答がないため消化不良だったかもしれませんが、ご了承ください。
おっしゃるとおり、状態をしっかりと見ていくということがとても大切になるかと思います。
レビーですと、ご存知かもしれませんが『レビー小体型認知症の介護がわかるガイドブック』という本は介護の仕方がコンパクトにまとまっているので、導入として優れていると思います。
もし読まれていないようでしたら、本屋さんで立ち読みしてみても良いかもしれません。
m03a076ddot 2017.06.06 11:33 | 編集
はじめまして、yukoと申します。(相談事ではないです)

私は去年、神田橋先生が現場を辞める直前に診察を受けた者です。先生今どうなさってるのかな~と検索していて、こちらのブログにたどり着きました。

食べることが大好きで、福岡在住です。食べ物に関する記事、とても面白く拝読しました。

私も焼肉はラム、たれはベルが大好きなんですが、ソラチのたれというのは知りませんでした。今度北海道に行ったら買ってこようと思います。

それから、学生時代を過ごした神楽坂に高級肉まんがあるとは知りませんでした。近年、中華街の肉まんがやたらと皮が厚くなってガッカリしていたのですが、画像を拝見するとこちらはあんも充分な感じですね。次に上京したら試してみたいです。

すみません、つい食べ物の話ばかりしてしまって・・・

神田橋先生には去年の3月に診てもらいました。診断は双極性2型、合う気分安定剤(西洋薬)は「ん~・・・無いねえ」と言われました。

でも、「薬無しでもやっていけるから。賢く生きなさい」と言っていただき、その言葉を信じて、認知を歪ませないように心がけて何とか日常生活を送っています。

私は、脳が、体調や気分を左右するだけでなく、事実までも歪める事があることを知って、とても面白い(興味深い)と思っています。

先生の病気に関する記事もいくつか拝読いたしました。扱いにくい脳でサバイバルするために参考になります。これから少しずつ読ませていただきますね。

yukodot 2017.06.12 12:44 | 編集
>yukoさん

ありがとうございます。
福岡も美味しいものがたくさんある土地ですね。
双極性障害II型は、特に睡眠覚醒のリズムがとても大事になってきます。
そのリズムを大切に生きていくことこそが、治療で最も大事な要因になるのではないかと考えています。
脳のゆとりがなくなると考え方や記憶すらも悪い方に向いてしまいます。
まずは今の生活をどうゆとりあるものとするか、というのが地味ですが大切になる、と思います。
m03a076ddot 2017.06.19 21:46 | 編集

先生、お忙しい中お返事ありがとうございます。


福岡では出来立て明太子も食べられます。(一度も冷凍してない明太子です)
もしまだ召し上がった事がなければ、機会があればぜひお試し下さいませ。


双極性Ⅱ型に関するアドバイス、大変ありがたいです。
おっしゃること、本当にその通りだと痛感することばかりです。

睡眠のリズムを保つことは幼少時から苦手でした。
そして、以前は若さで睡眠不足も心身の無理も踏み倒せていました。

でも、近年親の介護で5年間無理を続けたら、鬱状態になってしまいました。
早く治してまた無理をしようと思っていたところに、双極性Ⅱ型の診断です。

今は自分の脳を大事にする方法を模索し、トライ&エラーの日々です。

脳をちゃんと休ませない → 睡眠の質が悪くなる
充分睡眠がとれない   → 嫌な気分や考えがわいてくる
ということを体感して、今は「ちゃんと眠る事」を最優先にしています。

時間や体力のギリギリまでやりたい事を詰め込むタイプなので辛いですが、
気分や思考に比べると行動はコントロールし易いので、何とかできてます。

ゆとりある生活、ゆとりある脳・・・私もこれはキーワードだと思います。


短くまとめるのが苦手でして、今回も長文になってしまいすみませんでした。



yukodot 2017.06.20 10:23 | 編集
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