2017
03.17

概念の違い

 先日、漢方の講演会で少しお話をしてきました。不眠症や慢性疼痛に対して頻用される方剤の説明をしてきたのであります。1時間以上声を出していると喉が痛くなりますね…。もともとどもり気味で、かつ鼻炎でずっと調子が悪いものだから、お話向きの声では決してありません。家族と話をしていても「雑踏と周波数が同じだ」「ノイジーボイス(noisy voice)」と言われまして、道行く人々の音や声、そして電車の音があると本当に聞き取れなくなります。雑踏に溶け込む感じでして、自分でも何言ってるか分からない時すらあるという…。

 さて、漢方はミステリアスなところがうさんくさい部分でもあり魅力的でもあります。個人的には、ハマりすぎずにあくまでサポートとしてちらりと考える、くらいがいいバランスかなと思います。漢方に陶酔している人って、細菌性肺炎すら漢方で治そうとしかねません。それはやっぱりね、よろしくない。何時代の治療だよってことになります。抗菌薬が必要であるならしっかりと抗菌薬を使う。現代医学の恩恵があるものはそれにあずかりましょう(感染症でも、単純性膀胱炎なら漢方で良いでしょうけどね)。サポートとして考える時は、例えば高血圧で降圧薬を服用していてもちょっと朝起きた時に頭痛がする場合に釣藤散を寝る前に1-2包使用する、とか。PTSDの抗うつ薬治療でだいぶ改善したけど悪夢がまだ少し残る時に桂枝加竜骨牡蛎湯を使ってみる、とか。そんな感じ。

 その漢方で困るのが、各概念の定義です。これがですね、人によって異なることがありまして、話が噛み合わない時がたまーにあるのです。よく自分が例として話題にしますが、虚証と実証というのがその1つで、日本漢方の中でも多くは体格や体力でそれを判断します。しかし中医学では病邪が盛んであればそれを実証と言います。瘀血の概念や陰と陽の考え方もかなり流派によって異なりますよねぇ。だから講演会でお話をする時、自分は必ず基本的な概念の説明を最初にします。「ここではこういう意味でこの用語を用いますよ」と先手を打ってしまうのでございます。そうでないとそれぞれの人がそれぞれの考える意味で解釈してしまい、小さな行き違いが生まれ、その積み重ねが大きな食い違いに進展してしまうリスクもあります。こういうところはきちんと注意せんといかんですね。専門用語はそういう行き違いを少なくするために定義がしっかりなされる傾向にありますが、それでもちょこちょことあるのは難しいところ。
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