2016
09.23

なんで? はあまり使わない

Category: ★精神科生活
 精神科の診察をしていると、ちょっとした言葉を「あんまり使わないほうがええんちゃうかな」と感じることがあります。

 自分は使わないように気をつけているものの1つが「なんで?」というフレーズ。


「なんで~したの?」
「なんで~と思ったの?」


 などなど。普段よく口にされている言葉だと思います。これは、もちろん語調や発話者の態度にもよりますが


詰問


 ととらえられることがあるのです。

患者さん「1ヶ月前から眠れなくなって、会社に行こうとしても気持ちが悪くなって吐いちゃいそうな気がして」
医者「そうでしたか。1ヶ月前からですね。何で今日来ようと思ったんですか?」

 これは、状況によっては「今日じゃなくてもいいじゃないか」「もっと早く来ることができたんじゃない?」「これだけ待てたんなら軽いんでしょ?」というような裏のメッセージと読まれてしまうかも。


何で~したの?→しなければ良かったのに
何で~しなかったの?→すれば良かったのに


 もちろんそうではなく純粋な疑問として質問者は呈しているわけで、多くの場合は受け取り手もそのように感じるでしょう。ただ、裏メッセージととられた時にはそこから挽回するのが難しくなるのです。ひょっとしたら裏のメッセージととらえるのは、小さい頃お母さんから言われた「何でこんなことしたの!」という叱責がベースになっているのかも?(ちょっと精神科っぽい)

 よって、「何で~?」と口にしたい時、質問の言い換えをすると良いでしょう。


「~したのは何か”こうしたいなぁ”と思ううところがあったのかしら」
「どんな思いで~したのでしょうか」


 などなど。気持ちとしては、”Why?”というよりむしろ”For what?”でいたいものです。原因を聞くとさらにその原因、そしてまた…とどんどん後ろの方を向いていきます。後ろを振り向くのは決して悪いことではなく、現在地点を確認するためには必要なことでしょう。後ろを向くことがあって初めて前を向けるという人も多いと思います。しかし、それだけでは終わらせないようにするのがコツで「こういう思いがあったから、そしてこうしたいと考えたから」というのを引き出すことで


今後どうしていけば良いか


 が見えてくるかもしれません。抱えている問題を患者さんが主体的に取り組むことが大切であり、解決を医療者が行なってしまっては、患者さんは患者さんのままでいてしまう可能性があります。

 ぜひですね、「何で?」と言いたくなった時こそ解決を頭に置いて聞いてみてください。
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コメント
確かに「なんできたの?」と聞かれたら「徒歩で」とかお馬鹿解答する人はいかないですからね。
精神科で使用する単語のニュアンスって英語表記の方が理解しやすいような。日本語の曖昧な所を英語では表現しやすいのかな?
哲学的な事も英語やドイツ語の方がしっくりくる事もあるし
良くはわからないけど言語学的な事も精神科は大事なのでしょうね。
掘り下げは適度にしないと過去の不幸な自分に責任転嫁してしまうから適度に「まあそんな事もふくめて今だから」と思えると楽になるのでしょうね。
さくらdot 2016.09.23 21:47 | 編集
>さくらさん

ありがとうございます。
ぼんやりとした曖昧表現だと理解の不一致も多くなりそうですね。
ただ、最近はその曖昧さを活かそうとも考えています。
診察でピースの揃っていないパズルを渡すような感覚でしょうか。
患者さんに自宅で考えて解いてもらうように意識しています。
だから日本語の日常語って大事なんだなとも感じています。
m03a076ddot 2016.09.27 00:17 | 編集
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