2016
11.03

大丈夫は大丈夫?

Category: ★精神科生活
 今回はありきたりで医療者はみんな気をつけていることですが、診察で患者さんから発せられる「大丈夫です」という言葉。

医者「どうですか? お腹の痛みのほどは」
患者さん「大丈夫です」
医者「そうでしたか、分かりました。じゃあお薬は変えずにこのまま出しておきますね」

 このような流れはありがちですがあんまり好ましいものではないのでございます。「大丈夫です」というセリフは、果たしてどんな「大丈夫です」なのか? と考えてみましょう。それは


1. 「(痛みはないから)大丈夫です」
2. 「(痛みはあるけど何とか我慢できるから)大丈夫です」
3. 「(痛いことは痛いけど何か言い出しにくいから)大丈夫です」


 などがあり、結構この「大丈夫です」は曖昧なのです。「大丈夫です」という言葉だけ聞くとつい1番をイメージしてしまって「じゃあこのままで」という流れになりがち。特に高齢患者さんや、医者が高圧的な(と患者さんが感じる)時だと言い出しにくくて2番や3番になってしまうことがあります。そこはきちんと意識すると良いかと。

医者「大丈夫っていうのは、痛みがないから大丈夫? それとも痛いけど我慢できるから大丈夫?」
患者さん「んー、痛いけど我慢できる、かな」
医者「あら。お薬を少し調節するともうちょい楽になるかもしれんけど、どうでしょう。お任せしますけど」
患者さん「あ、そうなんですか。じゃあちょっとお願いします」
医者「わかりました。じゃあまずその痛みについてもうちょっと聞きますね」

 という流れになるかもしれません! ただ、このように追撃しても「痛くないです。大丈夫です」と言う患者さんがいる可能性も。その時は、その患者さんと挨拶や話をする看護師さんや他の医療者にちょっと情報収集をお願いすると良いでしょう。”医者”というのは医者が思うよりも”権威”を患者さんが感じるもので、それは良い面も悪い面も含みます。悪い面を減じるために、医者よりも親身で距離が近い(と患者さんが感じる)看護師さんや他の医療者との協力がポイントになります。医者であっても、若手と上級医がタッグを組んで診ていた場合、上級医には言いにくいから若手に言う(若手が権威的でない)、逆に若手に言いにくいから上級医に言う(若手が頼りない)、ということもありえます。

 言葉は関係性の中で産まれたり産まれなかったり。関係性を見つめなおしたり他の関係性を織り交ぜたり、そうすると色合いが豊かになって産まれる言葉も実りあるものになると思います。ちょっとそんなことを意識してみると言葉を気にする感覚が磨かれるかもしれません。 
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コメント
管理人用閲覧コメントをくださったかた、ありがとうございます。

こちらが焦ったり急いだりすると、つい話の聞き方も「あっ、しまった…」と思うようなことになってしまいますね。
医療者側のこころのゆとりがやっぱり大事なのかしらん、と感じています。
m03a076ddot 2016.11.06 13:16 | 編集
ぼちぼちと先生の過去のブログも拝読させていただいております。言葉って難しいですね。言葉一つで患者様の気持ちが少しでも楽になれば、と思って心がけておりますが、実際のところはどういう風に言葉をかけていいものやら、言葉が出てこないことが多々あります。「こころのゆとり」って私には更に難しいです。私はすぐに人の話に感情移入しすぎてしまって一緒にテンパってしまいます…。とほほ。
象虎dot 2016.11.07 00:36 | 編集
>象虎さん

ありがとうございます。
本当に言葉は難しいと思います。
ただ、言葉が出てこない時は無理に出そうとしなくても良いのかもしれません。
もちろん言葉を過小評価してはいけませんが、過信することも大きな落とし穴にはまる可能性があるとも思っています。
m03a076ddot 2016.11.10 22:51 | 編集
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