2016
08.31

起立性調節障害には?

Category: ★精神科生活
 起立性調節障害のある患者さんがいました。ミドドリン(メトリジン®)が近医で処方されて効果がなく、漢方薬の苓桂朮甘湯を飲んでもあとひと押し…、とのこと。こっちの外来には違う理由で来ていたんですが、せっかくだから(?)治療してみることに。

 起立性調節障害は基本的に苓桂朮甘湯が良く効きます。”立ちくらみには苓桂朮甘湯”と言われるくらいに切れ味の良い漢方。自分もこれを最も使い、随伴症状を考えて追加処方を組み立てます。

 その随伴症状でとりわけ多いのが、朝起きられなくて疲れやすくて身体が重い…というもの。そんな時は、苓桂朮甘湯に補中益気湯を合わせます。気虚があるなら苓桂朮甘湯と補中益気湯を合わせるんじゃなくて半夏白朮天麻湯のみで良いんじゃないかと思うかもしれませんしそれもよく効きますが、身体の重さがあるのであれば、補中益気湯の升提作用をやっぱり期待して苓桂朮甘湯合補中益気湯にします。上の患者さんも、この合方で改善しました。良かった良かった。

 他には、陰虚がありそうならやっぱり六味丸を合わせるべきだと思うんです。日本漢方は副作用の報告も多いくらいに八味丸を頻用していますが、その副作用の原因になる附子は対象患者さんを選ぶべき。いっぽうで八味丸から桂枝と附子を除いた六味丸をあまり使う発想がないですね。陰虚を想定するのであれば、六味丸は外せないと自分は考えています。陰虚は症状的に甲状腺機能亢進症をイメージすると分かりやすいでしょうか。それっぽさのある起立性調節障害なら苓桂朮甘湯合六味丸はとても有効。

 あとは、腹痛があるのなら桂枝加芍薬湯(もしくは小建中湯)を合わせますし、ストレスが多そうなら四逆散なんかを合わせますし。主訴以外も方剤選択に重要な情報を持っています。

 ちなみに、苓桂朮甘湯は10社以上の製薬会社が販売していますが、最も効果のあるのは東洋薬行のだと思います。ここだけが生薬の”桂枝”を使っていましてね。他の会社は桂枝の代わりに桂皮を使用しているのです。身体の表面や上部に気を巡らせたいのであれば、やはり桂枝が適切なのです。原典でも”桂枝”になっていますね。
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コメント
こんにちは。最中先生。

起立性調節障害・・・わたしが中学生のとき、学校にいくのがとてもつらくて、午前中から保健室へ行ってしまっていたのは、もしかしたらこれかもしれないと気づかされました(いまさらですが)。

朝起きられず・・・めまいと立ちくらみ(ひどくなると気持ち悪くなる)・・・腹痛、頭痛、顔色がわるいといわれるなど。極度に血圧が低いみたいで、ふらっふらになるんです。学校をやすむことは親からは絶対に許されなかったので、必死になって通っていましたが、いじめもありましたしとてもつらかったです。。毎日まいにちつらくて・・・そして保健室に行くと年子の姉が同じ症状で寝ている、と(笑)。遺伝ですかね?;

いまでも血圧はとても低いですが、高いよりましだと考えて生活しています。むしろ血圧が低いのに(?)動悸がすることがあってそれがつらくていまは小健中湯を毎食後のんでます。効きはとてもいいです。

季節の変わり目ですので、最中先生もお体ご自愛ください。
雛瀬 なな。dot 2016.08.31 17:59 | 編集
>雛瀬 なな。さん

ありがとうございます。
起立性調節障害は気づかれないと「なまけ」「不登校」と言われることがあり、そこから周囲の態度や言葉に傷ついて本当に学校に行けなくなる子たちもいます。
遺伝は決定的な証拠はないようですが、きょうだいで似たような傾向を示すことはままあるようです。
小建中湯は水飴が入っているので甘くて穏やかな感じになる漢方薬ですね。
私は仕事やら何やらでちょっと負荷が強くなっており、補中益気湯を飲みながら疲労と戦っております…。
m03a076ddot 2016.09.03 12:08 | 編集
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