2016
07.31

地に足つけて考える

Category: ★本のお話
 宋美玄先生や松本俊彦先生や菊池誠先生などなど、様々な分野の専門家が集結した『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』を読みました。

 いわゆるニセ医学やデマに対して正しい知識を得てもらおうという考えのもとに書かれています。結論から言うと


とても良い本


 です。子どもを育てている親御さん、そして教育に関わる教師のみなさんにぜひとも読んで欲しい本だと思いました。項目によっては少し浅いところもありますが、おそらくはページの都合なのでしょうね。

 ニセ医学やデマというのは難敵です。流布する人たちはそれがビジネスになっているので、あの手この手で信者を獲得しようとします。そして彼らは不確実なことをあまり言わず、極端な妄言(極論という言葉すら当てはまらない)で多くの人を騙します。そして、いくら真っ当な内容で指摘しても「陰謀だ!」「利権だ!」と言って聞こうとしません。そして信者さんは「この人は隠された真実を暴こうとしている! 権力に立ち向かっている! 素敵!」と信じこみ、一緒になって聞こうとせず…。特に子どものことに関しては、我が子を少しでも危険な目にあわせたくない、健康に育って欲しいと思うその親のこころに付け込んでくるのです。卑劣極まりない。そして、SNSなどではニセ医学の一派と真実を教えようとする一派とが激しい罵り合いをしてしまっています。これではお互いの距離が遠のくことはあれ、縮まることはないでしょう。この本は感情的にならず、優しく、そして正しい知識を伝えたいという思いに溢れています。そういうスタンスが一番平和的なのかなぁと感じる今日このごろ。

 今の時代は様々な情報が氾濫しており、その中から適切な情報を選びとるのは難しくなっています。そういった教育を受けていない人たちも多いはず。そして、極端で明快な意見(妄言)を見ると「分かりやすい!」と思い込んでしまう。そして国や製薬会社との結びつきを誇張すると、妄言をばらまく人は正義に見えてしまいます。いったんそこに入ると、後はその意見に沿った情報ばかりを集め、気がつけばすっかり頭は絡め取られています。この本は騙されてしまっている人たちにも読んで欲しいのですが、重要な点は、騙されているということはこの本を手に取る可能性が低いということ…。当の本人たちは”騙されている”なんて思っていないわけですから。仮にパラパラとめくっても「また医者が自分の利権を守るために書いている」「政府とつながってるんだろ」という感想くらいしか出てこないのかもしれません。そして、この本に対する攻撃も増してくるでしょう。でも、1人でも目が覚めてくれれば、と祈っています。

 そういえば、抗菌薬の適正利用も、聞く耳を持たない医者には何を言っても通用しませんね…。こういった事態に共通する戦略で最も重要なのは、まだ騙されていない人たちを救うこと、要は未然に防ぐことなのです。ニセ医学やデマに関しては、色んな情報を目にして困っている段階にある人々への正しい方向付けとしてこの本が役立つでしょう。抗菌薬については、知識がまっさらな学生さんや研修医の段階でしっかり教えこむこととして啓発運動が役立つでしょう。

 一人でも多くのかたがこの本を手にとって、冷静に物事を考えてみるようになってもらえたらと感じます。自分の考えとは違うことが書いてあるかもしれません。でもそれを切って捨てるのではなく、そっちの立場の論拠を見てみようかなと思ってみてください。きちんと情報の源に当たり、判断することが大事なのです。そんな練習も欠かせませんね。
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コメント
菊池誠先生ということなので内容はあらかた察しができますが(苦笑)
菊池先生だと、放射能問題ですかね。
御用学者だの政府の利権だの色々と言葉もでてきましたし
間違いとは言いきれない表現もありましたが、
あの時福島のど真ん中にいた私の感想は
「根拠の無い情報を信じる事で安心する人タイプの人は
それを他人にも強要する傾向がある」

最近の「飲んではいけない薬」とか「受けてはいけない手術」とか
もなんとかして欲しいと思いますけど、出版は自由なんですよね。
困ったものです。



さくらdot 2016.08.01 18:03 | 編集
『ほぼ日刊イトイ新聞』でも8月2日付けで紹介されてますね!
シンクロ!
毎度ながら本の紹介はためになります。
象虎dot 2016.08.02 16:41 | 編集
>さくらさん

ありがとうございます。
放射能問題やEM(EM菌)などのお話をされています。
「安心したい」「権力は信用ならない」という思いが強い方々はどんどん騙されて取り返しがつかなくなりますね…。
おっしゃるとおり、それを他者に広める。
「みんなに真実を教えてあげなくちゃ!」という気持ちや反権力の思いなどがそうさせているのかもしれませんね。
”○○してはいけない”系もほんとうに困ったものです。ちょっと前は『買ってはいけない』なんてのもありました。
m03a076ddot 2016.08.03 07:20 | 編集
管理人用閲覧コメントをくださったかた、ありがとうございます。

読ませていただきました。
「ほんとはね…」という情報、しかも根拠がなく偏ったものがじわじわと広まることには危機すら覚えます。
情報を取捨選択する賢さが必要ですね。
m03a076ddot 2016.08.03 07:24 | 編集
>象虎さん

ありがとうございます。
まさにシンクロしてしまいましたね。
この本は一人でも多くの人に読んでもらいたいなぁと感じる内容でした。
もちろんこの内容を鵜呑みにせよというわけではなく、「それって本当?」と思ったら、ご自身でしっかりと調べるクセをつけるのも重要ですね。
m03a076ddot 2016.08.03 07:28 | 編集
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