2016
12.28

学生さんが鑑別診断を挙げる時

Category: ★本のお話
 研修医は救急外来で様々な患者さんを診ます。手早く診なければどんどん患者さんの数も増えていきますし、緊急的な介入をしなければならない患者さんへの対処が遅れてしまいます。これはなかなかに忙しいもので、もう自分はその世界には戻れないなぁ…と遠い目になってしまいます。。。

 手早く診るには、主な鑑別を素早く想起し、それぞれをRule in/outする問診・診察・検査へとつなげます。もちろんそういった時はマニュアル(アンチョコ)に頼っても良いでしょう。マニュアルはとっても大事で、研修医の抗不安薬?的な立場。自分は当直の時、何冊も持ってきていました。「これだけあるから大丈夫だ!」と言い聞かせるようなものだったのかもしれません。『診察エッセンシャルズ』と『問題解決型救急初期診療(当時は初版でした)』が特に心強い存在でございましたよ。

 いっぽう学生さんには、こういった手早さがちょっと縁遠いでしょう。早ければそれだけ勉強して覚えていることなのでそれはすごいこと。でも早くなくたって別に良いかなぁとも思います。鑑別を挙げることを例にすると、研修医はパブロフの犬のごとくペラペラペラっと口から出て来るのですが、学生さんはそれを目指す必要はありません。というか丸暗記は決してしないようにしましょう。

 ポイントは、鑑別診断が出て来るに至るまでのプロセス。それには解剖と生理を理解しておく必要があるのです。それについて有名な方法でかつオススメできるのが、VINDICATEで学ぶ、というもの。これは解剖・生理の両面からのアプローチが出来る優秀な語呂だと思います。各主訴につき、Vascularの疾患では…、 Infectionの疾患では…、 Neoplasmの疾患では…と言う風に整理していきます。それを紹介しているのが『コリンズのVINDICATE鑑別診断法』という本。これくらいなら原著でも良いかなと思いますが、そんなに値段も変わらないので訳書でも構いません。この本の秀逸なところは、VINDICATEなどの語呂で鑑別をシステマティックに理解していくのと同時に、解剖図を載せているところです。鑑別を挙げる時に解剖図をイメージすると思い出しやすいものでして、胸痛であれば皮膚から入っていって筋肉、そして神経や骨、もっと内部に行くと胸膜、肺、心膜などなど・・・と臓器が浮かんでそれぞれの疾患が出てきます。この本に載っている解剖図はなかなか特徴的でして、視覚的にも分かりやすいように配慮がなされています。こうやって学生のうちに解剖や生理としっかり結びつけて鑑別診断を理解していく練習をしていると、応用力が付いて研修医になってからも役に立ちます、たぶん。

 研修医が救急外来で「えーっと、VはVascularだから…」と考えながらいちいち患者さんを診ていたら、それはとても時間がかかって大変。学生の時にそういう訓練をしておくのが大事で、そうすると自然と疾患名が出て来るようになるのでございます。それは解剖・生理と視覚的なイメージとから成っているので、忘れにくく覚える側の負担も少ない。救急外来以外でも、ちょっと鑑別を考える時に時間がある場合、VINDICATE(!!!+P)によって疾患の推測が広がってくれます。

 VINDICATEなんて学生の時にやらなかったよ…という研修医だったら、救急外来では緊急度で大まかな鑑別を分類して、その上で主訴周辺の臓器をイメージしてそれらの疾患を挙げて、解剖で覚えられない疾患は別枠で覚えておく、という方法になるかと。ぶっちゃけマニュアルに書いてあるのをチラ見するのが無難かもしれませんね(まさに現実路線)。
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