2016
04.01

おうちでねよう!

Maltese F, et al. Night shift decreases cognitive performance of ICU physicians. Intensive Care Med. 2016 Mar;42(3):393-400.

 夜勤明けのICU医師は、どれだけ寝ても翌日の認知機能が落ちてしまう。そんな臨床感覚にフィットした論文です。関係者界隈では、少し前に話題になりましたね。

 睡眠は、量(睡眠時間)も大事です。例えば、徹夜をしてしまうとほろ酔い期~酩酊初期の注意力ほどしかないということも示唆されているんですよ(Dawson D, et al. Fatigue, alcohol and performance impairment. Nature. 1997 Jul 17;388(6639):235.)。そして、睡眠時間が短いとこころにゆとりがなくなってしまいます。些細な事にイライラしたり、そんな自分に嫌気が差したり。疲れやすくなり、さらには抑うつにも関係してきます。統計的に日本人は睡眠時間が他の国と比べて短いようですし、みんながあと1-2時間長く寝られたら、日本社会も今ほどはギスギスしなくなるのかなぁと考えています(甘い?)。最近は揚げ足取りや自分と意見が異なる人への攻撃が強いように思います。みんなもっと寝よう! 人間は人生の1/3を睡眠に使っているのだ! それだけ大切なんですよ!

 しかも悪いことに、日本社会は「睡眠時間が短い=よく働いている」というような風潮。普通の勤務時間よりも残業した時間が重視されるのは何なんでしょうね…。そういう人って、2時間の残業と4時間の残業を比べて後者が2倍働いたと勘違いしております。勤務時間を8時間とすると、2時間残業すると合計10時間。4時間残業で合計12時間。10時間と12時間を比べたってアナタ



たかだか1.2倍じゃあないか



 1.2倍程度でそんな偉そうな顔をしてもらっても、ちゃんちゃらおかしいですな。時間の無駄としか言いようのない会議なんて早く終わらせて、普通の勤務時間である8時間を最大限に使って怒涛のごとく働いて、終わったらパッと帰って家族との時間をつくって寝るのが本来だと思うのです。そうでないと、ゆとりのなさや焦りがどんどん膨れ上がってしまいますし、それが今の社会の閉塞感でもあると思うんですよねぇ。残業しないと終わらない仕事量を持っている人も多いことは存じておりますが、仕事中の時間と帰宅後の時間の両者をうまく使って、睡眠時間をひねり出すのも養生の1つですよ。

 こちらから見て明らかに睡眠不足でぐったりしている人でも「いや、私は睡眠時間が短くても大丈夫なんです! 若い時からずっとこうでした!」とおっしゃるかたがいますが


若い時とは違うんやで…


 10代や20代前半ならまだ頑張れたかもしれませんけど、もう、ね。そうじゃないんだから…。と言いたくなるようなことが多い。睡眠の重要性を自覚せねばなりません。もちろん若くってもしっかり寝ること。よく寝ると勉強も結局は身に付くのです。

 そんな睡眠ですが、やはり質も重要でございます。一番上に掲載した論文がそれを表していますね。自分は研修医の時、当直で運良く起こされずに6時間くらい寝られても、翌日はどことなく疲れが残っていました。やっぱり、寝ていても何か落ち着かないんです…。そばにPHSがあるというだけでアカン。起こされるんだろうなぁという思いで寝るというのもアカン。それ以外でも、例えばホテルの宿泊なんかがそうかもしれません。しっかり寝てもどことなく家で寝るのと違って「よく寝たなぁ」という感じが薄い。やっぱり慣れたところでぐっすりと寝るのが良いんだなという、当然といえば当然ですが、とっても大事なこと。それを示してくれたのが今回の論文なのでしょう。こういう研究って良いですね。お金を使って生物学的マーカーを調べるのも素敵ですが、身近なところを調べるのがクールだと思います。

 当直明けは頭が働かず、ミスを起こしそうになってヒヤリとした医療関係者も多いと思います。自分が研修医の頃は直明けでも1日働くことが当然でしたが、病院によっては仕事をさせなかったり半日で帰らせたり。それが適切であり、安全のためにもしっかり休んでもらうことが大事でしょう。そんな時に「オレが研修医の頃は休まず働いたもんだ。最近の若い奴らは…」と言うような上級医はダメダメです。患者さんに何かあったら大変ですし、貴重な研修医をヘロヘロにしてしまってもいけません。上級医が自ら「オレ直明けだから帰るわー」「有休使って休むわー」と示してくれると、後輩はありがたいですよ。「あ、休んでも良いんだ、休ませてくれるんだ」という気分になれます。

 ということで、今日から新年度、新学期になりましたが、学生のみなさん、社会人のみなさん、家で十分寝ましょう! 身体にゆとりを、こころにゆとりを。これが生活を乗り切る術でございますよ。
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コメント
お財布にゆとりがあると、もっと生活をのりきれますよね(笑)

今日、久しぶりに家の布団で眠りますが、確かにホテル旅館は
眠りが悪いですね。
温泉に自分の布団持ち込みたいな。
いや、うちに温泉があればいいのか??
さくらdot 2016.04.03 21:27 | 編集
>さくらさん

ありがとうございます。
本当に、お財布のゆとりも大事ですね。
お札が入っていなくて空間的なゆとりがあるのは困り者ですが…。
お布団はこだわる人もいて、ポータブルのものを外出先に持っていくこともあるそうです(エアウィーヴなど)。
睡眠にはお金をかけても良いのかもしれませんね。
温泉もほしい。
m03a076ddot 2016.04.04 16:34 | 編集
睡眠ってたいせつですよね。。
「いつ起こされるか」と思いながら寝る・・・
それは確かに眠りも浅くなるってものです(>-<)

ちょうどこの間東京へ行ったのですが、
ひさしぶりのホテルのベッドで、眠りが浅く、
朝方に目覚めてしまって、その後疲れがすごかったです;
6時間というと・・・わたしにはとても足りない睡眠時間です!
先生は普段何時間睡眠をとってらっしゃるんですか?
わたしはへたすると10時間くらい寝てしまいます。。
そうしないと疲れがとれません。
雛瀬なな。dot 2016.04.13 19:49 | 編集
>雛瀬なな。さん

ありがとうございます。
睡眠は生物の活動にとって無くてならないものと考えています。
自分は6時間睡眠で何とかなっていたのですが、最近は疲れが取れなくなってきました…。
欲を言えば8時間くらいは欲しいなぁと思っています。
必要な睡眠時間は人それぞれなようで、長時間のかたも結構多いようです。
大事なのは、自分がパフォーマンスを落とさないための睡眠時間はどれくらいなのか? を自覚していることなのかもしれませんね。
m03a076ddot 2016.04.16 22:12 | 編集
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