2015
11.13

シンプルさを追求したブロナンセリン

*今回の記事はまったくもって真面目ではありません*

 大日本住友製薬が開発したブロナンセリン(ロナセン®)という非定型抗精神病薬があります。これは、D2受容体と5-HT2A受容体をほぼ狙い撃ち(D3受容体も阻害しますが)にした、ものすごくシンプルな非定型。

 D2受容体を遮断することは統合失調症の幻覚妄想をやわらげることにつながります。現在市場に出ている抗精神病薬は、定型非定型問わずこのD2受容体遮断が基本型。5-HT2A受容体の遮断はD2受容体遮断による錐体外路症状などの副作用を軽減するとされ、非定型抗精神病薬はここへの配慮が強い特性を持っています。他にも様々な受容体を攻めることで患者さんの種々の症状に対応していますが、攻めるところが多いとそれだけ副作用(特に耐糖能異常、脂質異常、体重増加などの代謝系副作用)が出てしまうというのが難しいところ。

 その中でブロナンセリンは上述のように非定型抗精神病薬になるための必要最低限に絞ったという、これまでの抗精神病薬とはかなり異なる特性を持ちます。「たくさんの受容体を攻めろ!」からの脱却。代謝系の副作用は非定型抗精神病薬の中で最も来たしにくいのであります。そこで思ったのが


ブロナンセリンは和菓子


 という、なかなかどーしょもない発想(というか空想)。決して真面目な記事ではないのでご了承ください。。。

 ステレオタイプとしての洋菓子は数多くのデコレーションを施し、様々な味をうまくまとめ上げて提供されます。対して和菓子は、みたらし団子やくず餅など、やわらかな原料の風味を活かすような、サントリー山崎の「何も足さない 何も引かない」というキャッチフレーズが表すような、そんなつくり方をします。もちろん、その中でもお砂糖を黒糖や和三盆にする、お塩を少し入れるなどして深みを出すことがありますが、基本型はあまり加工をしないというところでしょう。

 オランザピン(ジプレキサ®)やクエチアピン(セロクエル®)は外国の企業がつくったもので、極めて洋菓子的なお薬だなぁという印象。アリピプラゾール(エビリファイ®)も日本の大塚製薬が開発した抗精神病薬ですが、これも様々な受容体に結合するものの、D2受容体、D3受容体、5-HT1A受容体に対するパーシャルアゴニスト作用、そして抗ヒスタミン作用や抗コリン作用などが少ないというところは、上述したような、和菓子の中でも少し材料に変化をつけて深みを出したような立ち位置になるかと感じています。

 「いやいや、スルピリドは外国産だけどほぼD2受容体のみの阻害じゃないか。そっちの方がシンプルだろ」という突っ込みもあろうかと思いますが、非定型で様々な受容体に親和性を持たせようという流れの中でブロナンセリンが登場したという、このタイミングがまた興味深いなと。いかんせん真面目な記事ではないのでご了承をば…。

 ブロナンセリンはシンプルさゆえに、高齢患者さんや受容体がナイーブな初発の患者さん、症状もシンプルで重くない患者さん、抗精神病薬で副作用の出やすい患者さんにフィットしやすい印象。しかし、患者さんが様々な症状を持っている時はちょっと力不足な時があります。抗不安作用はあまりなく、単剤でしのげない時もままありますし、やはり鎮静(静穏)が必要な時は向かないのです。やはり患者さんによって使い分けをするべきかと。お菓子も和菓子が好きな人もいれば洋菓子が好きな人も。年をとって「やっぱり和菓子が良いのう」と好みが変わる人もいるでしょう。ちなみに自分はあんまり使わないんですけどね、ブロナンセリン…。

 なぜこんなくだらないことを思い立ったかというと、いただきものの栗きんとんを食べていた時にロナセン®のボールペンが視界に入ったからなのでした。しかもその栗きんとんの原材料は”栗・砂糖”のみというシンプルさ。それでいてとても美味しい。”すや”という岐阜県の和菓子屋さんのであり、ここの栗きんとんがしっとり感と栗のほくほく感とがうまく混在してくれている、ベストなものだと感じています。

 という、最終的には栗きんとんを誉めるという内容の記事でした。
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コメント
栗きんとんと同時に山崎もほめてますね。

先生の洋菓子和菓子理論で考えると
先生の召し上がったその「すや」さんのシンプル奥深い味を感じ取れるかが
洋菓子派には難しいのではないかと思うんですよね。
和菓子さんは洋菓子さんよりも素材の善し悪しがはっきりする。シンプルな分だけ。
変な言い方ですが、素材の善し悪しの味わい方は患者さんの状態(善し悪しではなくあくまでタイプ的なもの)にひっかかってくるのかな…とお遊びで考えました。
洋菓子タイプでも和菓子タイプでも大変なことには変わりませんけど、タイプの見極めって先生方にもあるのでしょうね。

で、コメダのマメ次回チャレンジしてみます。
さくらdot 2015.11.15 11:02 | 編集
>さくらさん

ありがとうございます。
以前の記事ではオランザピンやクエチアピンを”重い”と評しましたが、重いお薬が合うかどうか、患者さんの状態を観察することも大事ですね。
抗精神病薬は統合失調症の症状への有効性でどれも同じと言われますが、細かく1人1人見ると会う合わないがあり、精神科医もどこか「これはこのお薬で行こうかなぁ」と考えて処方します。
m03a076ddot 2015.11.16 00:47 | 編集
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