2015
08.12

改変版があったとは

Category: ★精神科生活
 DSM-IV-TRではGAF(Global Assessment of Functioning)という、”機能の全体的評定”を100点満点で付けていました。”全体的”というのは、重症度と社会機能障害の2つを指します。ずっと前にちょろっとGAFの付け方の記事を出したことがありました、そういえば(コチラ)。しかし、このGAFはDSM-5で用いられず、代わりに WHODAS 2.0(WHO Disability Assessment Schedule 2.0)というのを採用しています。このWHODASは色んなバージョンがあるようですが、広く紹介されているのは自記式の36項目のもの。同じWHOのICF (International Classification of Functioning, Disability and Health)とつながりを持たせるためにつくられたようです。GAFからWHODASに移行したことで、日常生活や社会生活をより重視するようになったと言えましょう。

 ただ、全国規模の実臨床でこれが使われるのはまだ先みたいでして、また実はGAFでの評価が診療報酬制度において重症度判定に用いられていることもあり、当分GAFで行くのかなと思っています。

 とはいえこのGAF、評価者間であまり一致した数字が出てこないのが悩みの種でした。結構大雑把な評価項目でして、それを少しでも解決に向かわせるために改変版が出されています(Hall RC. Global assessment of functioning. A modified scale. Psychosomatics. 1995 May-Jun;36(3):267-75.)。

 アンカーポイントを増やすことで客観性を高めようとしたもの。この改変版であるmGAF(modified GAF scale)について、恥ずかしながら自分は医局の教授から送られてきたメールでその存在を知るに至ったのであります(先日…)。不勉強で怒られそうです、むむむ。。。

 注目すべき項目がきちんと記載されていて、オリジナルのGAFよりも正確に再現性をもって評価できます。例えば、改変版のGAF-S(症状基準)における31-50点の範囲を見てみると、以下の6項目があります。

判断能力に重度の障害がある(なかなか決められない、困惑、見当識障害、を含む)
思考に重度の障害がある(持続的に考えに没入する、歪んだボディイメージ、パラノイア)
気分に重度の障害がある(持続的な抑うつ気分に加え無力感や絶望感を持つ、焦燥感、爽快気分があること、を含む)
不安のために重度の機能障害がある(パニック発作、重篤な不安)
ほかの精神症状:幻覚、妄想、重度の強迫的儀式
尋ねると希死念慮を認める 

 そして31-50点の分類は、以下。

31-35:上記基準の4項目を満たす
36-40:上記基準の3項目を満たす
41-45:上記基準の2項目を満たす
46-50:上記基準の1項目を満たす

 となっています。迷い少なく点数を付けることが出来そうですね。

 これは個人的に思ったことですが、「項目が細かくなったということはたくさん症状を聞かなきゃ!」と焦って患者さんを質問攻めにしないように注意を。ゆとりを失って苦しい思いをしている患者さんに根掘り葉掘り症状を聞くのは侵襲的になることがあるのです。観察の仕方、聞き方、時間の置き方、まとめて”関わり方”としちゃいますが、それを常に配慮しながら評価するようにしましょう。この関わり方は、言ってみれば”診察室の空気の響きを感じることでもある”と思うのです。その響きで患者さんが今どのような”あわい”にいるのか、”ゆとり”があるのか、その肌理を知るためにこちらの心身を研ぎ澄ませておくことが大切。

 ということで、このmGAFについて研究で使用してみたいというかたは、東大精神科にご連絡を(コチラ)。日本語版はここでつくられています。
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