2015
07.08

鵜呑みにしない、自分で考える

Category: ★研修医生活
 7月某日に行なわれたシオ○ギさんのwebカンファレンスは、呼吸器感染症でカルバペネム系を使う時についてのお話。もはやタイトルからして不安な香りが漂うという素敵なカンファです。

 研修医の時にこの会社のwebカンファを観て、随分と偏った内容で演者の先生がドリペネム(フィニバックス®)をぐいぐい推しておりました。その時も肺炎の治療でしたが、色々と前半はグラム染色とか培養とかの話をしておきながら、後半は


演者「ま、肺炎の治療はペネムで良いと思います」


 と、前半をぶっ壊すような発言。何とか製薬会社の宣伝を入れなければならないため、ヘアピンカーブ的な話の展開で苦しさが伝わり、研修医とICTの先生方で失笑した記憶が強烈に残っています。その時の演者の先生の名前も覚えており、それ以来うかつに信用できなくなってしまいました…。

 他のは分かりませんが、この製薬会社が提供する抗菌薬のwebカンファレンスはいつも「ちょっといかがなものか…」思います。某日の内容もご多分に漏れないものだったようで、シオ○ギさんはもうちょっとうまくやった方が良いんでないかい?と他人事ながら心配してしまいます。

 こういうのってむしろ製薬会社と演者の先生に悪いイメージしか与えないのでは…。昔ならいざしらず、今の時代こんなひどい宣伝で騙される研修医もいないでしょうし(と思いたい)…。これで信じてしまう研修医はよっぽど人が良いのか勉強不足なのかどっちかでしょう。

 後輩曰く、某日のwebカンファでは”研修医は肺炎球菌性肺炎をペニシリンで治療するのがスマートだと洗脳されている”とか”誤嚥性肺炎ににはアンピシリン・スルバクタム(ユナシン®)のみならずカルバペネムも十分に考慮されるべき”とか、ここまで言ってしまって大丈夫かしら…というちょっと悲しい内容。

 いやいや、肺炎球菌性肺炎ならペニシリンが最も合理的ですし、むしろ演者の先生が製薬会社に洗脳されているんじゃない? とも皮肉の1つでも言ってやりたい気分。ペニシリンという最も古くて狭域の抗菌薬で肺炎球菌性肺炎の患者さんが治っていくという経験をすることが、研修医のこれからの感染症治療にとってかけがえない事柄になると思うのですが。というか肺炎球菌と分かっているならペネムなんかよりもペニシリンの方がシャープに効くでしょう。誤嚥性肺炎にもなぜペネムがどんどん出るのか…。もちろん全てにおいてペネムを絶対使わないということはないでしょうけれども、ドリペネムはその中でも使わない部類になります(Kollef MH, et al. A randomized trial of 7-day doripenem versus 10-day imipenem-cilastatin for ventilator-associated pneumonia. Crit Care. 2012 Nov 13;16(6):R218.)。ドリペネムの講演をするのなら、FDAが適応としている複雑性腹腔内感染症・複雑性尿路感染症にとどめておくのが製薬会社も演者の先生も痛手を受けずに済むのかもしれません。もういい加減、肺炎にドリペネムという宣伝はやめましょうや。

 しかしながら、確かに製薬会社はお薬が売れないと会社が傾いてしまい、新たなお薬の開発も出来なくなり、そうなると医者側も困ってしまいます。最悪は倒産して社員の皆さんやご家族が路頭に迷う。だから宣伝するのは無理もないことなのです(”会社”ですし利益をあげないと)。ということは、「製薬会社が提供するものは基本的に宣伝が入っているかも?」という当然の認識を医者側がすべきでしょう。なので、あんまり「webカンファで勉強しよう!」とは思わない方がむしろ良いのです。少し予防線を張っておいて、一歩退いて眺めておくべき。宣伝を見つけられたら、「よしよし、自分は勉強してるな」と確認するようなテスト感覚でいましょう。

 製薬会社を叩くよりも、自分たちが正しい勉強をして惑わされないようにするのが大切なことでしょう。それを今回のwebカンファは若い先生がたに示してくれたのだと思います。シオ○ギさんと演者の先生は自ら身体を張ってそのことを教えてくれたんや。
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コメント
昔の露骨な接待が減った分、各社大変なんですかね。お薬屋さん主催の講演会でも頼まれる方が気の毒な
こと言ってるよなーーっていうのは昔もありましたが、今はネットなんですね。
ただ、潰れられては困るんです。
製薬会社の株は安心なんですよ。
意味が違うか??
うたdot 2015.07.08 21:11 | 編集
>うたさん

ありがとうございます。
今回のwebカンファは、製薬会社というよりも演者の先生に問題があったような気がしないでもありません。。。
あまりにもちょっと…な内容でしたので。
講演会もまだ足を運んで聞くのが主流ですが、webで行なわれることもままあります。
ただ、製薬会社も中枢神経領域は創薬が難しくて博打になっていますから、開発から撤退気味なところも多いですね。GSKはその代表でしょうか。
潰れないように安全牌でいくと、精神科的には良いお薬が開発されずにちょっと困ってしまうかもです。
m03a076ddot 2015.07.11 09:44 | 編集
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