2015
02.03

臨床のワンフレーズ(7):回復の芽を摘まない

Category: ★精神科生活
 ”回復の芽”というのは、中井久夫先生の本で見て「良い表現だなぁ」と思ったフレーズ。自分もたびたび使わせてもらってます。

 どんな疾患でも、回復の芽がぴょこっと出てくると、患者さんはついそれを伸ばそう伸ばそうと焦ってしまいます。そうではなく、大事に慈しんでまなざすこと。これが回復を育てる秘訣。

自分「ちょっとした例えですが、これからは土地を耕すようなものだと思ってください」
患者さん「耕すんですか」
自分「○○さんは、水をまいて肥糧をあげて、回復の下地をつくってください。そうすると、回復の芽っていうのが出てきます」
患者さん「はい」
自分「そこからが大事で、出てきたばかりの芽は弱いんです。焦ってその芽を伸ばそうとして引っ張ると…」(引っ張って抜くような仕草)
患者さん「抜けちゃう…」
自分「ですね。なので、出てきた芽をやさしく育てていくイメージを持ってみましょう」
患者さん「分かりました」
自分「焦った時ほどこのことを思い出して下さいね」

 焦るなとは言いません。誰だって焦ることはあります。でも、焦った時に少しでもゆとりを象徴するイメージが出てくると、焦っている自分を少し冷静に見ることができましょう。 

 先日、外来のうつ病患者さんで、この様に言ってくれたかたがいました。

患者さん「先生が前に回復の芽を大事に育てていきましょうって言ったのがすごくこころに残っていて。それを意識して今は苗にまで成長してくれました」
自分「お~、苗ですか。素晴らしいですね。大事に育ててくれてるっていうのが伝わってきました。根もしっかりと伸びている感じですね」
患者さん「はい」
自分「そのイメージを大事に持って、柔らかく包んで育てていくようにしていきましょう」

 苗という表現をしてくれたのはこの患者さんが初めて。良い回復の過程にあるなと実感しました。自分もそれを受けて”容易には抜けない根”というのを連想したので返してみました。

 病気の芽ではなく、回復の芽をそっと育てる。そんな感覚を持つようにすると良いですし、たまに「回復の芽はどんな感じで育ってますか?」と聞いてみても新鮮に響くかもしれませんね。
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コメント
おはようございます!
レキソタンの断薬で何度かアドバイスを頂いていた者です。
『回復の芽』素敵な例えですね!
私は苗→無事に米まで育って食べて元気モリモリまで想像してしまう食いしん坊です。
偶然にもお米の質問なのですが
先日玄米に含まれるγ-オリザノールが糖尿病やダイエットに有効と発表されました。
私は断薬後、両足の痺れ&左耳鳴りが残ったのですがダイエット目的で糖質制限をしたのです。
すると一週間したら症状が楽になりました。
しかし炭水化物依存が激しくケトン体を作る能力が落ちていたのか
「機能性低血糖症」が発覚しました。
完全な糖質制限をすると低血糖になるので
発芽玄米を食べるようになったのですが
調子良くいましたがしばらくすると不調が
ベンゾジアゼピンの離脱症状に似てるような
もしくは再服用した時のような体調不良、、
困惑していたら玄米の情報があり
調べましたらγ-オリザノールは向精神薬と似た効果があるのですか?
自律神経失調症や更年期障害、心身症に有効とありました、、、
断薬後にγ-オリザノールを摂取することは
どういうことを意味しますか
再び離脱症状が出始めたみたいで不安になりました。
断薬からは1年2ヶ月経過していて
脳がふらついたりボーっとする事はすでに無くなっていたのですが、、、
お忙しい中すみませんが
アドバイスお願いします(*^_^*)
ときたまごdot 2015.02.04 06:56 | 編集
とてもステキな言葉ですね。
あたたかくてココロに留まりやすい。

でも、精神疾患を治すことは本当に難しい。

きっと、もなかの先生はその難しさを何百倍も臨床で感じてらっしゃるのでしょうね。
ノラdot 2015.02.04 21:41 | 編集
昨日外来の受診日でした。待ち時間が長く、周囲の患者さん達のイライラがピリピリ感じられる中、診察室の中から患者さんの罵声。先生が琴線に触れる言葉を言ったようなのですが、なかなか凄くて聞いているこちらの方が目眩したくらいでした。私事情があり、主治医の他に担当医がいるのですが(ダブル診療体制)担当医の方はまだ若いのかな。確かに頼りなげな所はあるのですが、別に変な言葉は使わないのですけどね。本当に精神科の難しさを感じた一件でした。

芽と苗は力が上に出て行く感じで素敵ですね。根というのも強さの源です。
苗まで表現出来るようになったという事は、その患者さんもかなり前向きに取り組んでいらっしゃるのでしょう。
もなかせんせいは一緒に肥料あげたり、雑草むしったりしているのでしょうね。
いつか、患者さんが一人で大きく育てた実を実感出来ると一段落ですね。

焦らない。焦らない。

自分に言い聞かせています。
だって、焦ると結果が何倍にも悪い方に回ってくるんですもの(経験論)
うたdot 2015.02.05 11:21 | 編集
>ときたまごさん

ありがとうございます。
γ-オリザノールは脳の視床下部という部分に働きかけて摂食行動を改善するということが示唆されており、何らかの作用を脳にもたらすのだとは思います。ただそれがベンゾと類似だとは言えないと感じます。
また、玄米とはいえ糖質が多く含まれているので、食べれば糖質を摂取することになります。
おそらくときたまごさんの状況としては、糖質制限でしびれや耳鳴りが軽くなったところから玄米食を開始して糖質が多くなったのかもしれないと類推します。
糖質制限は、一気に始めると身体が追いつかない状態になることがある(低血糖を繰り返す)ため、いわゆる”プチ制限”から徐々に馴らしていくものと考えます。
m03a076ddot 2015.02.06 13:20 | 編集
>ノラさん

ありがとうございます。
精神疾患においては、医者は回復の促進や疲れた時の止まり木くらいの立ち位置と思っています。
疾患を抱えているのは患者さんご本人ですから、その方々が最も苦しくつらいのでしょうね。
m03a076ddot 2015.02.06 13:34 | 編集
>うたさん

ありがとうございます。
イライラ含め、感情というのは人と人の間で出てきますね。容易に周囲に響き渡る気がします。
診察していても、こちらの調子の良さ/悪さや患者さんの調子の良さ/悪さが相互作用する印象です。
m03a076ddot 2015.02.06 13:38 | 編集
管理人用閲覧コメント下さったかた、ありがとうございます。

比喩をベースにしたワンフレーズは、こころに残りやすいかなと思っています。診察室の外でも覚えていてもらいたいなと思いながら使用しています(使うタイミングも重要ですが)。
終診になったとのこと、おめでとうございます。ご自身で養生のコツをつかまれたのですね。
m03a076ddot 2015.02.06 13:43 | 編集
もなかの先生
こんにちは。
私も、お米についての質問ですが、まずは食事を見治そうと考え、マクロビ的な食事に興味をもち、玄米を食したのですが、どうも胃がもたれ、体がだるくなり、その日なんだか夜中に眠れずといったことがありました。玄米が100%原因かは分かりませんが、そのようなことが続けばやはり合わない、止めた方が良いのでしょうか?玄米の炊きようによってはもっと工夫もしてみるつもりですが・・・。
ノラdot 2015.02.08 13:31 | 編集
>ノラさん

ありがとうございます。
玄米は消化が悪いこともあるので、炊き方や実際に良く噛むなどの工夫はされた方が良いかと思います。
それでも何となく調子が悪いなぁということが続くのであれば、やめた方が良いでしょう。
玄米が最高に優れているわけでもないので、何が何でも玄米と考えると苦しくなってしまうかもしれません。
食事は色々とちょっと宗教的で他を排除する様な方法が多々あるので、それに流されずに自分自身できちんと比較してみることが大事です。
m03a076ddot 2015.02.09 08:24 | 編集
管理人用閲覧コメントを下さったかた、ありがとうございます。

内緒はあまり良くないでしょう。
認知行動療法の効果はお薬とほぼ同等と言われます。ただし、もちろん患者さんによって効果はバラつきます。やってみなければ分からないというところでしょう。
m03a076ddot 2015.02.11 19:07 | 編集
管理人用閲覧コメントを下さったかた、ありがとうございます。

まずはクリニックの受診をしてみてはいかがでしょうか。
実際に診察をしてみないと、そして外来診療を続けないと、症状の把握や治療というのははっきりしないと思います。
m03a076ddot 2015.02.11 19:27 | 編集
管理人用閲覧コメントを下さったかた、ありがとうございます。

認知行動療法ももちろん合う合わないということがあるので、例えば大野裕先生の『こころが晴れるノート』や『はじめての認知療法』などを読んでみるとどんなものか大まかに掴めるかもしれません。
m03a076ddot 2015.02.14 09:27 | 編集
管理人用閲覧コメントを下さったかた、ありがとうございます。

アロマオイルですか。確かに香りって大事ですね。
スイートオレンジや、寝る時にマスクをされるかたならラベンダーあたりが良いかもしれませんね。
m03a076ddot 2015.02.18 07:39 | 編集
こんばんは。

相変わらずベンゾの減量を細々と続けております。

最近体調が思わしくなく、そういう時に限って焦り、減量のペースを上げたくなるのですが、こちらの記事を見て、「いかんいかん、ゆとりをもたねば」と思えました。
ありがとうございます。
折角ここまで手間暇かけて減量してきたのですから、最後まで大切に減量し続けていきたいと思います。
匿名dot 2015.02.19 20:08 | 編集
>匿名さん

ありがとうございます。
減量のペースはゆっくりじっくりが大原則です。体調の良くない時こそ、慎重にするサインだと思います。
ゆとりというのも「ゆとりを持たねばならない」と考えると”とらわれ”になりがちです。「焦っても良いんだ」と思えて、かつその自分をどこか冷静に見つめられることがゆとりなのかもしれません。
m03a076ddot 2015.02.21 10:45 | 編集
先日のレキソタン、発芽玄米、糖質制限などの質問をしたきり1ヶ月寝込んでしまい
お礼のコメントもせず失礼しました。
あれからさらに状況が悪化し頭のふらつきの低血糖っぽい症状から明らかに頭鳴り、全身の痺れがMAXになりこれは離脱症状の1番辛かった時に匹敵します(T ^ T)
思い当たるのはインフルエンザに罹患しました。レキソタンの他にパキシルも20mgから断薬しており船酔い様の酷い目眩は2ヶ月で消失したのでてっきりパキシルの離脱症状ではないと思っていたのですが、、、
いわゆるシャンビリかもです。
昨夜我慢出来なく試す気持ちもあり
約2年ぶりにパキシルをほんの少しかじりました。するとしばらくしてアルコールを飲んだ様に脳に作用したことがわかり
毎日悩まされている耳鳴り痺れがかなり楽に、、、。しかし2時間で効果は切れてまた離脱症状MAXに苦しむことになりました。
この1年8か月、なんとか断薬を継続し時には離脱症状を忘れて動けるまで改善されていたのにこれからどうすれば良いか、、
昨夜みたいに少量舐めて改善→悪化を繰り返しいつか良くなる可能性はあるのでしょうか
過去には歯科の麻酔で離脱症状が楽になりその後悪化復活も経験しています。
耳鳴り頭鳴りや全身の痺れをこれからも我慢しても脳や身体に悪影響がないのなら耐えていこうとも考えますが
体感としては影響が無いとは言えない酷さです。本当に悩ましいです。
またとりとめのない愚痴になってしまいました。
ときたまごdot 2015.03.06 07:20 | 編集
>ときたまごさん

ありがとうございます。
インフルエンザに罹ったとのこと、お大事にしてください。
身体の調子が優れない時はお薬の効き方もだいぶ異なってくるようにも思います。
まずは身体を整えることが先決かもしれません。
お薬の量と身体の調子の2つが揺れたら、どちらがどう作用しているのか分からなくなります。変数は少ない方がシンプルで理解しやすいので、頭の中でそのようにイメージしてみることが良いかと思います。
m03a076ddot 2015.03.09 19:22 | 編集
振り返したかに見えた離脱症状も
また普段のレベルに落ち着いてきました。
渦中は切迫つまってしまいすみません。
なんとか再服用せず進めそうです。
あれもこれもと不安を呼び寄せ過ぎですね
お忙しい中ありがとうございました!
ときたまごdot 2015.03.09 20:29 | 編集
>ときたまごさん

ありがとうございます。
少し長期的な視野に立って考えることがこれからも大事になってきますね。
ゆっくりじっくりと取り組んでみてください。
m03a076ddot 2015.03.13 07:49 | 編集
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