2017
12.05

臨床のワンフレーズ(21):揺らぎは自然

Category: ★精神科生活
 精神疾患は、回復の過程で良くなったり悪くなったりを繰り返します。その波を経て寛解へと向かっていく、このことを予め患者さんにしっかりと伝えておき、日々の診察の中でも話題にします。

患者さん「ここに来てお薬を飲み始めてから楽になってきました。でもこの前は何故かがくーってきちゃって…。ホントに良くなってきたのか分からなくなっちゃって…」
自分「そうでしたか。確かに良くなったり悪くなったりというのがあると、この先どうなるのかなっていうのは不安になりますね」
患者さん「はい」
自分「実はですね、最初の診察の時もお話しはしたんですが、こういう良くなったり悪くなったりっていうのは、回復の経過なんですよ」
患者さん「あ、そうなんですか!?」
自分「この症状の揺れ動きが大事でしてね。人間だれだって調子のいい時や何となく気合いの入らんなぁという時がありますよね」
患者さん「はい」
自分「そういう揺らぎは自然なんですよ。良くなったり悪くなったりっていう揺らぎがあって、段々と改善していくんです」

 と話しながら、こんな図を書いて患者さんに見せます。

ゆらぎ

患者さん「こういう感じなんですか」
自分「これって矢印だけ見ると一直線で良くなってますでしょ。でも細かく見ると、揺らいでますよね」
患者さん「はい」
自分「揺らぎがあるのが大事で、自然な治り方なんです。良くなるだけだったらぴゅーって一直線過ぎて人工的。かえって医者としては違和感がありますよ」
患者さん「はー、そうなんですね。良かったです」
自分「飛行機もそうですね。安定飛行に入ったらあんまり揺れませんけど、上昇中って結構揺れる。あれと同じですよ」

 初診時にもお話しはするんですが、患者さんは緊張していたり他にも色んな事を聞かれていたりするので、全部を覚えてはいません。繰り返しの説明が大事ですね。

 揺らぎは自然なもので、それがなくトントントンってスピーディに良くなると何となく「あれ?」って感じがします。ワンフレーズの18番目でもお話ししましたが、笠原嘉先生は「タマネギの薄皮を剥くように良くなる」という風に仰っていたように記憶しています。ちょっとずつ、ちょっとずつ。自分は揺らぎを前面に出してお話しをしますが、イメージとしては”薄皮を剥くように”というのはとても大事だと思います。その過程は、これまでの生活に無理があったところを見つめてこれからに活かしていくという時間でもあります。
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