2016
04.27

臨床のワンフレーズ(15):失敗も大事

Category: ★精神科生活
 患者さんはとても失敗を恐れます。以前に記事にしたように、症状がありながらも行動することの大切さをお話していきますが、そこで大きな障壁となるのが「失敗したらどうしよう」という考え。

 患者さんは萎縮してしまっています。これまでの生活を踏まえると確かにご尤もなことであり、否定すべきではありません。しかし、失敗せずに出来るようになる物事なんてないのです。そこは叱責や強制にならないように強調していくことが求められましょう。

 例えば、キーボードのタッチタイピングだってそうでしょう、補助輪なしの自転車に乗れるようになったのもそうでしょう、算数の問題を解くのもそうでしょう、立って歩けるようになったのだってそうですよ。『スぺランカー』を最初からノーミスでクリアできる人なんていません。何かしらワンランクアップするためには、失敗が積み重なって成功に届くようになっているものです。

自分「○○さん、自転車って乗りますか?」
患者さん「乗りますよ」
自分「ちょっと思い出して欲しいんですけど、補助輪なしの自転車って一発で乗れるようになりました?」
患者さん「いや、そんなことはなかったです。練習して」
自分「ふらふらして転びながらを繰り返して乗れるようになりましたよね」
患者さん「はい」
自分「今やろうとしている行動も同じですよ。最初は失敗します。それは予め言っときます」
患者さん「そうなんですか。ちょっと怖いです…」
自分「失敗したって良いんですよ。最初からうまく出来るような人はいませんから。練習や失敗なしに自転車乗れる人なんて逆に怖いですわ」
患者さん「そうですよね(笑)」
自分「で、失敗も大事です。失敗って貴重なデータの宝庫なんですよ。そこから次に活かすような姿勢が大事。言い方はアレですけど、実験するようなこころがけで取り組みましょう」
患者さん「分かりました」
自分「せっかく失敗するんですから、それを活かさない手はないですよ」

 失敗して、そこから軌道修正をかけて…。それを繰り返したその果てに上手くいくようになります。なかなか最初は難しいので、患者さんの動機が下がらないように、医療者は支援し続けていきます。

 かつ、失敗を活かすためには、患者さんにデータとして分析してもらい、自ら修正するのをお願いすることでもあります。患者さん自身が最大の治療者であるという意識を持ってもらうことで、主体性が芽生える。そうなることで、自身で調節が出来るようになって治療の終結が近づきます。仮に医療者が転勤になったり病気になったりで担当医が変更になっても、患者さんの動揺は少なくなるように思ってもいます。
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コメント
こんにちは。最中先生。

わたしはいまお仕事を探しているのですが
なかなかうまくゆきません。
面接の直前になって、通院への配慮をしてもらえないとわかり、
そこはやめることにしました。
この場合、失敗といったらいいのかわかりませんが、
とにかく障害者雇用の求人なのに配慮なし?えぇ!
という感じもして・・・。
たしかにわたしは毎週平日に通院なので、
それが無理というのもわかるのですが、
なんのための障害者専用求人なのかな、と・・・
思ってしまいました。
ハローワークの方に「土曜日通院に変えれば」と
言われましたが、過去そうやって無理をして、
早退→病院にかけこみ、を繰り返したのでそれもいやなのです。

患者さんのお仕事探しや、職場復帰、社会復帰などについての記事はありますか?
あれば読んでみたいです。

愚痴を書いてしまいましたが;
失敗から学ぶことはたいせつですよね。
わたしも自転車は補助輪がなかなかとれなくて、
苦労しましたねぇ・・・;
カウンセリングというこころの補助輪も、まだなくてはならない状態です。
雛瀬なな。dot 2016.04.27 17:10 | 編集
>雛瀬なな。さん

ありがとうございます。
障害者雇用に関しては疾患によって、地域によってかなり注意点が異なるようです。
じんわりと発展してきていますが、なかなか柔軟性に乏しい企業もありますよね…。
このブログに具体的な記事はないのですが、基本は日常生活のリズムが保てて、ゆとりをもって「あぁ、お仕事でもしてみようかな」と思える時がそのタイミングだと考えています。
焦りの中で一点突破を狙って仕事を始めても長続きせず、失敗することで自信を失ってしまう患者さんが多いので。
本であれば、『精神障害者枠で働く―雇用のカギ・就労のコツ・支援のツボ』というのがありますが、それよりも通院先の作業療法士や精神保健福祉士の方々が地域性をより理解してくれているような気がします。
一つ一つ、自分自身の足元を確かめながら進んでいくことが大切かもしれませんね。
m03a076ddot 2016.05.01 18:32 | 編集
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