2014
11.15

メタアナリシス様のお通りじゃ!

 ちょっとした講演会を聞きに行ってきたことをこの前お話ししましたが、そこでは演者の一人がメタアナリシス(メタ解析/メタ分析)をいくつか出して「ほーらこのお薬良いでしょ」とおっしゃっておりました。

 講演会で発表される講演は、演者の臨床経験とちょっとした論文を併せたようなタイプ(”○○の使用経験”なんていう題がつく)のものと、論文をたくさん出して科学的に見せるタイプのものに大雑把に分かれます。前者はバックアップの製薬会社が出しているお薬をつかって効果があったよというようなもので、後者も基本的にはそのお薬に関する論文を引っ張りだして「こういった特徴がありますよ」と述べるもの。聞く医者は、後者の方が客観的やなとそこはかとなく思います。しかもその中でメタアナリシス(かつ有名誌のもの)がどんどん出てくると「おーすごいんやな」と会場を思わせることが出来ます。このメタアナリシスは複数のRCTを集めてより科学的根拠を高めたものとされ、エビデンスレベルが最上であります。これを見つけると「お! メタ解析や!」と有難がって読んで(それもabstractのみ)何となく納得して最先端に触れた気になっちゃう。

 しかし、このメタアナリシスにも問題があり、特に出版バイアスを考えていないものが多すぎるのであります。さらに多くが個別の被験者データを入手しておらず、かつ検討のlimitationにも触れていないものあるようです(Ahmed I, et al. Assessment of publication bias, selection bias, and unavailable data in meta-analyses using individual participant data: a database survey. BMJ. 2012 Jan 3;344:d7762.)。

 RCTはお金がかかりますから、製薬会社が資金提供をすることが多いです。となると「カネ出すんだから結果はひいきにしろよ」となりがち。すなわち、製薬会社に不利な結果になった場合は…

・それを公表せず闇に葬る
・色々と統計のやり方を変えて何とか誤魔化す

 そんなことをする傾向になってしまいます。実際、公表されなかった大規模RCTのうち、製薬会社が資金提供をしているのが88%を占めていたなんてことも言われています(Jones CW, et al. Non-publication of large randomized clinical trials: cross sectional analysis. BMJ. 2013 Oct 29;347:f6104.)。

 最近流行りのネットワークメタアナリシスもバイアスがかなり多く、どんな風に解析したかというのもブラックボックスになっていることがほとんどです(Bafeta A, et al. Analysis of the systematic reviews process in reports of network meta-analyses: methodological systematic review. BMJ. 2013 Jul 1;347:f3675.  Bafeta A, et al. Reporting of results from network meta-analyses: methodological systematic review. BMJ. 2014 Mar 11;348:g1741.)。突っ込みどころの多すぎるMANGA studyもネットワークメタアナリシスですね(Cipriani A, et al. Comparative efficacy and acceptability of 12 new-generation antidepressants: a multiple-treatments meta-analysis. Lancet. 2009 Feb 28;373(9665):746-58.)。

 つまりは、エビデンスレベルが最も高いとされるメタアナリシスも、レビュアーの裁量によって結果を捻じ曲げることが出来る、ということ。ここをしっかりと認識しておきましょう。盲目的にありがたがると、それはもう1つのEBM -Evidence "Biased" Medicine- となってしまいますよ。同じお薬でも、メタアナリシス同士で結果が異なるなんてことが起こってる世の中ですから。
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コメント
11/6のエントリに書かれてあった「医療は不確実なもの」ということを再認識しました。
でも少しでも確実なものを求めたい気持ちもあるし、かと言って『おかげさまで生きる』のような境地に達することもできず。難しいです。
そんな不確実な中でもよりよいものを求めて治療にたずさわる先生はほんとうにすごいと思います。
ハーネスdot 2014.11.18 13:57 | 編集
>ハーネスさん

ありがとうございます。
確かに患者さん側としては確実性を求めたくなるのも無理はないかと思います。
医者側も出来るだけそうしたいところもありますが、そうなると検査にお金をかけすぎたり不必要なお薬を両者の安心のために処方したり、ということにもなってしまいます。
お互いの考えのすり合わせというのが本当に大事になってきますね。
m03a076ddot 2014.11.19 07:02 | 編集
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