2014
12.09

抗核抗体はいたずらに測らないこと

研修医「不明熱の患者さんなんですけど、膠原病も考えて抗核抗体測りました! 陽性かくにん! よかった」

 こんなことを言う研修医がいます。

自分「確かに不明熱だとそれは考えるけど、膠原病って言ってもたくさんあるよねぇ…。どんな膠原病を狙って測ったん?」
研修医「うーん…。何となく測ったんですけど。でも陽性だし、膠原病はありまぁす!」
自分「ほ、ほー。それは本当にそう言えるかしらね。甲状腺疾患でも陽性になるよねぇ。悪性腫瘍でも陽性になるよねぇ」
研修医「うぅ…。そうなんですか」
自分「そうよー。測るのは検査特性ってのを知ってからだねぇ。振り回されずに済むよ」
研修医「はーい…」

 いじめているわけじゃありませんよ。。。本音を言うと「調べもせずに測るんじゃねぇよ」と小突きたくなりますが…。自分も若い時は血気盛んでございました。

 で、この抗核抗体ですが、基本的にはSLE(全身性エリテマトーデス)を除外するためのもの、と考えましょう。SLEでは95-100%陽性になり、裏を返すと陰性の場合は著しくその可能性が低くなります。他の膠原病では、全身性強皮症が60-80%で陽性になるので、陰性であればまずまずでしょうか。

 他の疾患については残念ながら微妙です。結果次第でそんなに検査後確率が変動するわけでもなく…。大した働きはしません。しかも健常人でも最大で30%ほどは陽性になってしまう。以下の図を見てもらうと話が早い(引用文献は古いですが)。

抗核抗体

 膠原病は様々な症状を呈します。やっぱり年齢や性差を加味した上での病歴と診察が大事で、これらでベーチェット病にせよ成人still病にせよ検査前確率をどのくらい見積もれるか。所見そのものも軽微なものが多いため、疑ってかからないとスルーしてしまうことが多々あります。膠原病が得意な医者は、非常に精緻な思考をする優れた医者だと思いますよ。ちなみに精神科領域では「若い女性の精神症状ではSLEを疑え」という格言が昔々からあり、この除外のために抗核抗体を測定するのは非常に合理的でしょう(SLEは精神症状で発症することもあるのです)。今なら他に抗NMDA受容体脳炎も鑑別に挙がりますね。

 ということで、抗核抗体の見かたでした。自分はSLEを除外する時以外は測らないようにしてます。陽性になると変に気になっちゃう。
トラックバックURL
http://m03a076d.blog.fc2.com/tb.php/1805-5f772e6c
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top