2014
07.12

いにしえに原点あり

 お休みの日に、名古屋大学医学部図書館に行って”千年の医書 - 平安時代から江戸時代までの古医書の世界 -”というミニ展示会を見てきました。昔々の書物を展示してくれています。

 入り口付近にちょろっとある、実にこじんまりした感じのものです。

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 日本に現存する最古の医学書である『医心方』の復刻版もありました。

 こちらは貝原益軒の『養生訓』。1713年のもの。身体とこころの健康をどうやって維持していくか、というのを説いております。

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 これは『傷寒論』です。漢方を使う人間にとっては古典中の古典ですね。張仲景が編集しております。今回のは1816年に写されたもの。

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 吉益東洞の『古方便覧』。吉益東洞は梅毒に対して水銀を使って強烈な治療をしたことで有名です。病気が治るか水銀中毒で患者さんが死ぬかというような壮絶な治療だったそうですよ。万病一毒説なんていうのを唱えました。展示されていたのは1850年に版を重ねたもの。

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 最後は歴史でみんな学んだ、杉田玄白の『解体新書』。ドイツで出版された『Anatomische Tabellen』のオランダ語訳である『ターヘルアナトミア』をさらに日本語訳したものです。翻訳に臨んだ杉田玄白たちはあんまりオランダ語が分からず、暗号を解読するような気合だったとのこと。 

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 図を見ると、肉眼的な解剖というのは随分と昔にほぼ完成されていたのだなと感じます。ヴェサリウス先生の『ファブリカ』なんてもう芸術品。

 ちなみに最初に紹介した『養生訓』には、こんなことが書かれています。

「病を早く治せんとして、いそげば、かへつて、あやまりて病をます。保養はおこたりなくつとめて、いゆる亊は、いそがず、その自然にまかすべし。万の亊、あまりよくせんとすれば、返つてあしくなる」
「薬をのまずして、おのずからいゆる病多し。是をしらで、みだりに薬をも用て、薬にあてられて病をまし、食をさまたげ、久しくゑずして、死にいたるも亦多し。薬を用ることつつしむべし」

 300年ほど前の書物ですが、現代の患者さんにも医者にも通用する事実ですね。治そう治そうとして焦れば焦るほど、調子は崩れてしまいます。お薬も使いすぎには注意。頼るのではなく、支えてもらうというスタンスがベストでございます。

 こうやって昔の書物を目にして思うことは、先人たちの作ってきた道の上に私たちはいるんだなぁということ。それを積み重ねて次代に続いていくのでしょうね。そんな歴史のリレーを感じました。
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コメント
養生訓、参考にさせていただきます!
そうなんですよね、焦るとかえって調子を崩すということは身を持って体験しております…。

しかし、大切なことは昔も今もなにも変わらないのですね。
もなか先生からは色々と教わりました。
ACTの考えも日常生活に根付いてきており、症状があってもしたいことやしなければいけないことは出来るものだと日々実感しております。
以前から比べれば行動の幅がとても広がりました。

急ぎすぎに自分のペースで治療を進めていきたいと思います。
いつもありがとうございます。
匿名dot 2014.07.12 21:26 | 編集
ほんとそうですね

昔の人は すごいと思います

次世代へのリレーは 途切れることなく
誤った方向へ行くことなく
繋いでいってほしいとおもいます
あさがおdot 2014.07.13 13:14 | 編集
(なんとなく)骨董好きには 写真が鮮明なのがうれしい。
パイナップルdot 2014.07.13 19:42 | 編集
>匿名さん

ありがとうございます。
こうやってみると、精神科の考え方というのは、お薬の登場こそあれ根本は数百年と変わっていないんだなと実感しますね。ACTも初期仏教と通じるところがありますから、人間の悩みやとらわれというのは古来からずっと続いているものだと感じます。
m03a076ddot 2014.07.15 07:49 | 編集
>あさがおさん

ありがとうございます。
そうですね、古来から連綿と続くものは大事に守っていかねばいけませんね。
m03a076ddot 2014.07.15 07:53 | 編集
>パイナップルさん

ありがとうございます。
昔の書物は何かロマンが溢れていて、かつ謎めいていて興味を惹かれます。
最近は、8年前に買ったデジカメを引っ張り出して多用しています。やっぱり携帯電話のカメラ(これも8年前のものですが…)よりも格段に鮮やかですね。
m03a076ddot 2014.07.15 08:07 | 編集
解体新書。懐かしいですね。
しかし梅毒の治療に水銀。こえーーー、とは思いますが薬として効けばなんでもありですからね。
そういえば、最近「大麻」がアメリカなどでは認証されてきているとか。
精神科疾患に適応も多いようなので、日本でもなんとかならないかなと患者は思いますです。すくなくとも某細胞の再現性よりも未来性高いと思うのですが。
うたdot 2014.07.18 18:50 | 編集
>うたさん

ありがとうございます。
水銀治療はかなり壮絶だったもようです。薬と毒は表裏一体でしょうか。催奇形性のあるサリドマイドも多発性骨髄腫の治療薬として見直されましたし。
大麻もそうですが、最近は”ケタミン”という麻酔薬兼麻薬がうつ病に劇的な効果を示すことが指摘されています。
某細胞は何か混迷を極めておりますね…。
m03a076ddot 2014.07.18 23:03 | 編集
そうなんですか??サインバルタ最高量でも躁転どころか日常生活に復帰出来ない私としては、そういうの試してみたいですね。
鬱って…麻薬系良いんでしょうかね?
是非、アモバンの苦みはどういう苦みなの?と聞かれて、胃散の酸っぱいの抜いた苦みと答える私の感受性に期待して(バカ)治験してくれないかしら??
うたdot 2014.07.19 23:09 | 編集
こんばんは。

こちらの記事で養生訓を初めて知り、検索してみたら現代語で全訳されていました。
読んでみるとやはり大切なことは昔も今も変わらないなと再認識。
医師の心構えなども成るほどと思うことがとても多かったです。
全部が全部正しいとは思いませんが、十分に現代にも通用する文章ですね。
匿名dot 2014.07.22 18:55 | 編集
>うたさん

ありがとうございます。
麻薬の中でもガチガチのもの、例えばLSDなんてのはもちろんいけませんが…。
ケタミンから上手く安全なお薬がつくられればそれが一番良いのかもしれませんね。
アモバン、確かに激苦です。。。その表現はすっとフィットしました。確かにあんな感じの苦みですよね、ゆすいでも全然変わらないし(血の中に入ったアモバンの分解産物が苦味成分を持つのでゆすいでも残念ながら…)。
m03a076ddot 2014.07.24 06:58 | 編集
>匿名さん

ありがとうございます。
昔から同じことが言われていますね。特に初期仏教の考えは現代ではACTなど第3世代認知行動療法の1つの要素として登場しており、まさに温故知新だなと感じます。
m03a076ddot 2014.07.24 07:23 | 編集
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