2014
03.13

褥創の治療をひっそりと

 入院患者さんの褥創(床ずれ)を治療することがあります。

 今勤めている病院は寝たきり患者さんはほとんどいない(はず)んですが、外来患者さんが家で倒れていて発見された時には前胸部や膝に褥創をつくっていることがありました。訪問看護のスタッフさんが運よく見つけてくださって、総合病院で身体的な治療が済んだ後にかかりつけの当院に。褥創は残っておるので引き続き治療を行なうことになります。

 やっぱり患者さんがたも高齢化が進んできまして、身体面にも強い配慮を常にしておかなければならないなーと感じた場面。倒れたって聞いた時はびっくりしました。

 で、褥創はできるだけ自分で治療しようという考えを持っています。黒色壊死組織があると「うーん…」と思ってしまいますが、それ以外なら非専門医でも頑張ってみる。

 何故かというと、研修医で大学病院にいた頃、形成外科とか皮膚科とかに治療を任せることがあったわけでございます。するとゲーベン®クリームにソフラチュール®とか、残念な治療がなされるのでありまして…。他の創傷や熱傷でも消毒がっつり+ユーパスタ®にガーゼとか、こりゃまた凄いのが出てきます。

 当然のことながら褥創にゲーベンやイソジンガーゼを埋め込むような治療法では良くならなくて、業を煮やした先輩がラップ療法(開放性ウエットドレッシング療法)に切り替えたところ治ってしまったという過去があります。それを見た自分は結構感動しまして、褥創のラップ療法(開放性ウエットドレッシング療法)と創傷/熱傷の湿潤療法を勉強しました。

 自分は精神科医とはいえ医者なので、基本的な部分においてやっぱり研修医レベルは出来ていたいものであります(負けず嫌い?)。そんなこんなで、褥創治療もその1つ。治っていく過程はやはり良いものです。

・消毒? いえいえ、しませんよ。
・洗浄? 水道水で十分ですよ。
・手袋? 未滅菌でO.K.
・ゲーベン? そんなもの使いません。
・お風呂? どうぞどうぞ、入ってください。

 壊死組織を柔らかくするためにワセリンを塗って、その上にオプサイト(フィルムみたいなもの)を貼ります。そしてその上にガーゼを多めに乗せます。これは浸出液を吸うため(浸出液が多いと紙おむつの吸水力に頼ります)。オプサイトを貼ったら閉鎖になるんじゃないの?と思うかもしれませんが、ワセリンが広がるのと浸出液が出るのとで意外に剥がれやすくなります(ほぼラップの代わり)。要はほどよい湿潤環境とガーゼが直接傷に触れないようにするため。

 看護師さんの中には「オプサイトを貼ってその上にガーゼ? ガーゼを貼ってその上にオプサイトじゃないんですか?」と聞くかたもいますが、ガーゼを傷に直接貼るのは乾燥をもたらして、かつ傷とくっついて剥がす時に痛い。

 で、壊死組織が柔らかくなったらこまめにチョキチョキと除去。これで浸出液の流れが良くなります。概して感染は”異物”や”液たまり”があると発生しやすいので、それを避けます←ここ重要

 それを繰り返してると、良性の肉芽が出来てきます。よしよし、と思いながら治療を続けると治るのでございますよ。

 あとは自分が漢方屋であることも活かして(?)、十全大補湯を飲んでもらいます(2-4包/day)。褥創のある患者さんは気虚と血虚の両方(気血両虚と言います)が絡んでいると解釈できるので、これを飲んでもらうと治りが早いような…? そんな気がしています。ちなみに漢方薬にも塗り薬があって、その名も紫雲膏と言います(紫色)。でもこれは夏井睦先生がご自身で人体実験をして、皮膚を傷つける作用があると仰ってます。だから使わない。高いし。

 ということで、研修医の先生は褥創のラップ療法と創傷/熱傷の湿潤療法は勉強して下さいまし。まだ否定的な意見を述べる先生もいますが、やっぱり違いますよ。でもやるからには正しい知識でやりましょう。「要は濡らしときゃ良いんだろ?」みたいな安易な考えでやると失敗します。

 褥創なら鳥谷部俊一先生の本、創傷と熱傷なら夏井睦先生の本を。そして、医療者じゃなく一般のかたもいわゆる”キズやヤケド”の治療に詳しくなっておく必要があるかと思います。それには夏井睦先生の『キズ・ヤケドは消毒してはいけない―治療の新常識「湿潤療法」のすべて』という本を読んでみてください。目から鱗でございますよ。

褥創治療の常識非常識―ラップ療法から開放ウエットドレッシングまで褥創治療の常識非常識―ラップ療法から開放ウエットドレッシングまで
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鳥谷部 俊一

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