2014
02.13

主婦手湿疹の治療

 以前にも主婦手湿疹の記事を挙げたことがありますが、今回はそれにちょろっとプラスしております。

 手荒れは女性の大敵。主婦手湿疹は洗い物をする主婦の皆さんの職業病かもしれません。洗剤なんかで手の脂が落ちてしまって、ガサガサになってしまいます。脂分は毛嫌いされますがとても大事なものでして、皮膚の防御の役割をしっかりと果たしてくれますよ。手を洗いすぎたりとか洗顔しすぎると逆に良くない。多くの皮疹は脂分を落とし過ぎることも悪化の要因です。名前は”主婦”手湿疹ですが何も主婦の方々に限ったことではなく、美容師さんなど手を良く洗って皮脂を落とすことが多い方々の手はその傾向が強いです。

 自分の外来に、うつ病で来ている女性がいました。他の先生からの引き継ぎだったんですが、寛解状態を保っておりお薬をゆっくりと減らしていきましょうか、という感じの状態。引き継いで2-3回目の外来の時、患者さんの手がガッサガサになっていることに気付きました。

自分「あれ、この前は気づきませんでしたけど、手、どうしたんですか?」
患者さん「あ、洗剤に弱くて。皮膚科通ってるんですけどあんまり良くならないんです」
自分「何かお薬飲んだり塗ったり?」
患者さん「皮膚科でアンテベート(very strongのステロイド)をもらって塗ってるんですけど…。他にクリームを塗っても良くならないんです」

 なるほど。そうでしたか。主婦手湿疹はワセリンで湿潤を保つのが治療のメインでございまして、ステロイドはそんなに出番がないような気もします。皮膚科の先生には申し訳ないですが…

自分「これは乾燥が一番悪くてですね」
患者さん「はい」
自分「ワセリンってありますでしょ。アレをしっかり塗るのが大事なんですよ」
患者さん「ワセリンですか?」
自分「口に入れても目に入れても大丈夫なものですから安全。手が乾燥しない様に、1日に3回くらい塗りこむと良いですよ。安いし」
患者さん「はい」
自分「あと、寝る前もしっかり塗りましょう。お布団とかがベタベタになるので、綿の手袋をしてカバーします。これで結構良くなってくるはず」
患者さん「分かりました」

 ということで、ワセリンも処方。あと1つ、重要な質問をします。

自分「ちょっと思い出してもらいたいんですが、生理の前とか痒くなったり悪化したりしませんか?」
患者さん「生理ですか?あ、そういえばそうですね。痒くなってイライラしてそれで掻いちゃいます…」

 にやり。

 この質問は女性の手湿疹には大事なもの。「そんなことないと思います」というお返事でも「次の生理が来る前に、ちょっと注意してみて下さい」とお伝えしておきます。

 この患者さんは返答が「Yes」だったので、加味逍遥散を2包処方しました。これはすぐ効くことはないんですけど、数か月気長に飲んでもらうと段々と良くなってきます。しかもその患者さんは月経前にイライラするとのことで、加味逍遥散は合いますね(柴胡と山梔子の作用)。

 そして更に

自分「手のガサガサには亜鉛が良いんですよ。サプリでもありますでしょ」
患者さん「はい」
自分「気が向いたら飲んでも良いと思いますよ」

 ということで、亜鉛のサプリメントもオススメ。医者が処方箋切って出すものではポラプレジンク(プロマック®)という胃粘膜保護剤。1錠に17mgの亜鉛が含まれているんです。

 次の外来は2週間後としました。結果は…?

患者さん「随分と良くなりました」
自分「おー、良いですね。この前は結構白くなってましたもんね」

 好感触でございます。今度は1ヶ月後。

自分「あれ?少し悪化してますか?」
患者さん「ワセリンを塗るのをちょっとさぼっちゃって」
自分「良くなってくるとちょっと忘れちゃいますよね」

 ということで、しっかり塗ることが大事。更に、加味逍遥散に四物湯(血虚用の漢方薬。女性の内分泌機能を整えます)を2包プラスしました。

 2週間後。

自分「あ、良いですね」
患者さん「はい。だいぶ良いです」
自分「塗ってますか?」
患者さん「はい」
自分「忘れずに塗ると手に優しいですよ。漢方薬も飲めてますか?」
患者さん「はい。大丈夫です」

 ということで、以降もそれを続けて手湿疹は改善したわけでございます。

 まとめとしては、主婦手湿疹の治療はワセリンによる湿潤環境を保つことが最も大事です。そして、月経の関与がありイライラもしてるなと思ったら加味逍遥散は時間がかかるものの有効なことが多いです(イライラなしなら逍遥散でしょうか)。亜鉛も良いですよ。

 さて、それ以外の漢方薬では、ガサガサ系なら十味敗毒湯が結構効きます。自分はちょっと多めに出しますが(4包を朝夕食後あたりに)。ただ、十味敗毒湯は少し痒みを抑える力が弱いので、痒みが強かったりガサガサの中にも少しジュクジュクしている部分があるなら、少し消風散を足します。赤くなって痒い!というのなら黄連解毒湯、むくみが強くてなお赤いのなら、越婢加朮湯を足します。漢方薬を2剤以上使うことを否定する先生もいますが、自分は生薬の組合せを考えて必要があれば併せます(考え方の違いですね)。

 この辺りの武器で勝負。なかなかひどい全身の湿疹とかアトピーとかは苦手で治療成績は芳しくないんですが…。どうも自分は皮膚科関連の漢方治療は他のに比べてまだまだ甘い。
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コメント
先生 雪は大丈夫ですか?
私もワセリン派です。職場にもあの巨大な容器置いてます。お化粧全般が合わずリップもそれ・・・です。色気無くてスミマセン。指を突っ込んでましたがよろしくない?

漢方は抑肝散をリクエストして眠れるようになったのですが筋肉痛が出て断念。残念。いろいろ試したいけれど主治医の先生はあまり使われないようです。

本日 人間ドックでした。安定剤注射無しで胃カメラできました~。萎縮性胃炎らしいです(初所見)。「ゆっくり噛んで食べてね,30回」こんなもんでしょうか? 肺年齢は実年齢より10歳若い45歳。なぜか技師さんが嬉しそうでした。エコーが例年より長かったような。何かあるのかなぁ。眼底写真は先生の記事を思い出していろいろ質問。動脈は静脈より細いんですね。耳鳴りが少々あり聴力は微妙。詳しい結果は文書で届きます。

と いうことで今日から減薬実験再開します。
あ,会計の時チョコいただきました。帰り 主人に購入いたしました・・・。決して忘れてた訳ではありませぬ。 

anna@雪も霰も霜も見たこと無い
annedot 2014.02.14 14:47 | 編集
>anneさん

ありがとうございます。
今日は始発で勤め先に向かったので無事に着きました。
ワセリン良いですよね。指で取って塗っても大丈夫です。
抑肝散で筋肉痛が出たんですか。それは残念でした。無理して飲み続けないのが安全の秘訣と思います。
胃炎とのこと、お大事にしてください。
m03a076ddot 2014.02.14 22:08 | 編集
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