2014
10.29

ころころつるり

 便秘は多くの患者さんが悩むもの。医者が出す下剤といえば、腸管を刺激して便意を催させるセンノシド(プルゼニド®)やピコスルファート(ラキソベロン®)、便を軟らかくする酸化マグネシウム(マグラックス®/マグミット®)、腸管運動を促進するらしいパンテチン(パントシン®)などが有名どころでしょうか。機序がこれらとまったく異なるルビプロストン(アミティーザ®)という下剤も出ましたね。ちょっと薬価が高く、嘔気が出やすいのが難点ですが…。8μgのカプセルが出たら良いなぁと思っています。ちなみに酸化マグネシウムの下剤は腎機能障害のある患者さんにはちょっと注意。漫然と出しているとたまーに血清Mg値が上がって高Mg血症になっていることがあります。

 そんな便秘は精神科につきものでございます。精神科で使う薬剤には腸の動きを落としてしまうものがあり、便秘になりやすくなってしまいます。また精神疾患と便秘は関連があるようで、出すようにしてあげると精神症状も良くなるなんてのは経験します。すっきり出ると気持ちもすっきり。便はしっかりと出してあげるのが精神衛生上も良くてですね、配慮は是非しましょう。漢方的には、下すくらい駆瘀血剤で便を出させることが大事だなんて言われます。

 入院患者さんも便秘なことが多く、高齢化も相まってその割合が増しておりますね。特にお年寄りはコロコロっとした便で、下剤を使ってもちょっと難しいことも。そんな時には、漢方薬の出番。“お年寄り+コロコロうんち”なら、麻子仁丸(ましにんがん)か潤腸湯(じゅんちょうとう)がバッチリ合うことが多いです。麻子仁や杏仁が生薬として含まれますが、これらは油で、要するに便が滑りやすくなるんです。飲むグリセリン浣腸みたいな? 潤腸湯には当帰や地黄という腸を潤す成分が入っているので、全体的にカサカサ乾いてそうな患者さんに使います。腸が運動しなくて出すような力のない高齢者には、これらに補中益気湯を合わせて。筋肉を引き締めてくれます。

 ここで実際に出した例を。70代の患者さん。便秘がひどくて、他院で上記のプルゼニドとマグラックスとパントシンが出されていたものの出ず、訪問看護に来る看護師さんに摘便をしてもらってました。

自分「何とか出る時はウサギの糞みたいにコロコロッとしたのが出てくるんですか?」
患者さん「そうだね。ポロポロっと硬いのが出るね」

 なるほどなるほど。カサカサした感じはないため、麻子仁丸を選択して3包/dayでお出ししました。すると1週間後

患者さん「飲んで3日くらいから、普通に出るようになったよ。看護師さんも喜んでた」
自分「おー、効果てきめんじゃないっすか」

 他の下剤もちょろちょろと減らすことが出来て、飲む負担が軽くなりましたよ。しかもちょっと下痢になったので、2包/dayに落としました。

 ということで非常に役に立ちます、これらの下剤。滑りを良くするという視点は面白いもので、是非使ってほしいと思います。頓服として、出ない時に2包を使うなんてやり方でもO.K.です。桃核承気湯は滑りを良くしてかつ腸の動きも刺激するタイプで、日本漢方では実証向きと言われています。自分は実証とか虚証は考えないので、麻子仁丸でもなかなか出ない時はこの桃核承気湯を補気剤や補血剤と合わせてみることもあります。

 漢方の下剤はかなり種類があり、いろいろ対処できるんじゃないだろうか、と思ってます。ただ、色んな漢方の下剤を使っても出てこなくて、アミティーザを出したらあっという間に良くなったという患者さんが1人いました。これは何とも漢方屋としては残念(?)。自分が漢方を学び始めてから時間が経っていない頃だったので、今なら上手く行くかも?と、負け惜しみ。
トラックバックURL
http://m03a076d.blog.fc2.com/tb.php/1704-9425a120
トラックバック
コメント
先生 おはようございます*・ωq


ウサギのフンは コロコロ万歳:.゜ヽ(*´∀`)ノ゜:。+
コロコロ命!! でございますが 人間の場合は コロコロですと便秘ですので困ったことになりますよね。

私も 子どもの頃から便秘になりやすい体質で おとなになってからはカイベールCを常用せざるをえない時期などもあったりします。

下剤の種類のことですが 私の場合はコーラックは合わなくてキツい腹痛と嘔吐におそわれます

成分はカイベールCとさほど変わらなかった気がしますが 合う合わない、体質の違いなどは
ほんとに不思議ですよね。


漢方薬も便秘の改善に効果があるのですね


ですが 最近 漢方薬についてイメージが悪くなってしまいました。

それは ウサギが前にお世話になっていた動物病院で 不正咬合の症状改善に的外れな胃腸の漢方薬を処方されていたからです。

処方されていたのは『六君子湯』と『平胃散』でして 牧草を食べれるようになるどころか
野菜を食べるペースなどもかなり落ちて ヨダレや湿性皮膚炎による脱毛も改善せず『口の中の粘膜の炎症や膿は このくらいならウサギは自分で治せる』と
むちゃくちゃなことを言われ さすがにおかしいと思い 病院を探し直して転院をし
抗菌剤と整腸剤を処方していただいて 歯のトリミング処置をしていただきました。

前の病院の先生は 間違ったことを堂々とおっしゃいますし 漢方薬の勉強や家事なども忙しいらしく
診察には 火曜日・木曜日の午前診しか出ておられないので タイミングが合わなかったりと 困ったりもしました。

エキゾチックペットの診察をしていますと 看板をあげている動物病院なんですけどね。


その先生は中医師を目指しておられるそうです。

今は転院して 日・祝も午前診のみ受け付けていただけて 夜間救急もあって
専門的な知識や治療技術がある先生方がおられ 設備も整っている病院に巡り会えて ほんとによかったと思います´ω`*


電車を乗り継ぎ1時間くらいはかかる場所にありますので ウサギにかなりストレスはかかると思いますが
おかしな治療をされると かえってたいへんに困ったことにもなりますのでね`ε´*


長々と書いてしまいまして 失礼いたしましたm(_ _)m

こんひゅすぱいdot 2014.10.30 09:04 | 編集
わたしも 便秘ですが 先日試しにと出された加味逍遥散で 水様便でて、速攻中止になりました^^;

あさがおdot 2014.10.30 13:45 | 編集
>こんひゅすぱいさん

ありがとうございます。
漢方薬もお薬なので、やはり副作用はありますね。
平胃散というのは内臓の”冷え”が原因で食べられなくなっているという時に使います。
炎症(熱)が強い時に出すとあまり良くない処方ではあります。
どんな治療も害になることがある、というのは全ての医者が認識すべき事実だと思いました。
m03a076ddot 2014.10.31 06:27 | 編集
>あさがおさん

ありがとうございます。加味逍遥散も便秘に効果がありますね。
効き過ぎるのなら1日に1包にしたり1日おきに飲んだりという調節もあるかもしれません。
西洋薬でかなりの量の下剤が出ていてもなかなか便秘の患者さんが、少量の漢方薬で意外にもものすごく出るようになることも経験します。もちろん漢方薬が全然効かない患者さんもいますが。
いずれにしても、するっと気持ちよく出るのが一番ですね。
m03a076ddot 2014.10.31 06:31 | 編集
こんにちは。
いつもブログで楽しく勉強させてもらっています。

お聞きしたいことがあったのですが適切な場所がわからずこちらにコメントさせていただきます。

上記記事にも記載があるように、麻子仁丸ないし潤腸湯に、補中益気湯を併用して便秘のコントロールがついた方がいたとして、潤腸湯+補中益気湯だといずれにも甘草が入っていることになるかと思います。入院中なら電解質の確認も比較的容易かと思いますが、外来や往診といった採血フォローに期間がかなり空きうるような場合に、こういった甘草が重複するような処方を行ったりすることはあるのでしょうか?

漢方は最近勉強し出してわからないところだらけですが、とても参考になります。
これからも記事を楽しみにしています。それでは失礼いたしましたm(._.)m
万年研修医dot 2015.06.06 00:05 | 編集
>万年研修医先生

ありがとうございます。
確かに甘草の問題は無視できません(麻子仁丸には甘草が含まれていないので、そこは安心できるでしょうか)。
潤腸湯と補中益気湯だと、それぞれ3包で甘草1.5gのため、合計3gになります。
目安として甘草は2.5-3g/dayを超えないようにと言われているため、そこに気をつけねばならないでしょう。
潤腸湯+補中益気湯ならそれぞれ2包/dayにすると、甘草が2g/dayになりますね。
もしくは、普段は補中益気湯にして、便秘が強い時に潤腸湯を頓用として1回2包を使うという形でも良いかもしれません。

自分は漢方薬の併用をよく行うので、処方してから2週間で採血を行ない、そこでいったんチェックをかけます。
患者さんにもだるさや筋肉痛が出たらすぐ中止するようにお伝えしています。
あまりにも甘草の含有量が多くなるような併用処方はしないようにしていますが…。
ただ、患者さんによって抑肝散2包/dayで著しい低カリウム血症をきたしたというのを自分の同期が経験していますし、どれだけ漢方薬を乗せてもカリウム値がまったく動かなかったという患者さんもいます。
甘草による偽性アルドステロン症の出現頻度は甘草の量だけでなく患者さんの体質によってかなり異なってくるのだと思っています。

漢方は流派や日本漢方と中医学などによって考えかたが異なるため、なかなか難しいところがあるかもしれません。でも役に立つことも多いので、ぜひ勉強を続けてみてください。
m03a076ddot 2015.06.07 11:24 | 編集
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top