2014
01.06

研修医のための救急用画像の本は?

Category: ★本のお話
 今回は画像関係の本をご紹介。と言っても自分は研修医の頃は救急専門でやって来たようなものなので、それ用になってしまいます。

 画像はレントゲン、超音波(エコー)、CT、MRIでございます。

 レントゲンについてですが、腹部レントゲンはあまり有用性が高くありません。勉強はしましたが、実際に救急の現場で役立つかと言われると、かなり限定されると思ってます。超音波に取って代わられたと考えて良いでしょう(でも自分でしっかりと勉強はしてみてください。その上で判断はするものです)。腸管においても同様ですね。消化管エコーは是非やってみてください。

 救急のレントゲンといえばやはり胸部だと思います。何か1冊読んでおくに越したことはなく、それは大体どれも似たような内容だったりします。革新的な胸部レントゲンの本には出会ったことがないなーと思っていましたが、この本は基本から応用まで無理なく学べる良い本だと考えています(2014年に改訂)。

胸部X線診断に自信がつく本 第2版 (「ジェネラリスト・マスターズ」シリーズ 1)胸部X線診断に自信がつく本 第2版 (「ジェネラリスト・マスターズ」シリーズ 1)
(2014/10/02)
郡 義明

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 これで勉強したら、あとは何冊も読むことはせずに読影練習! その際は、シルエットサインに十分な注意をしましょう。救急での見逃しは多くがシルエットを追わないことによる、と経験的に言えます。大動脈や心臓や横隔膜のラインには十分すぎるほどの注意を。他の注意点は肺尖部でしょうか。そして撮るなら、見逃しを少なくするためにも正面像と側面像が欲しいところ。側面像の威力は結構強力ですよ。

 ちなみに、胸部も超音波が非常に有用。特に気胸や肺水腫は良く分かります。自分は肺炎に応用したことはないんですが、最近は肺炎の検出も出来るとする論文が多く出てますよ。

 外傷のレントゲンなら、これが分かりやすいかも(2014年に改訂)。自分はあんまり外傷得意じゃなくてですね…。

救急・当直で必ず役立つ! 骨折の画像診断 改訂版〜全身の骨折分類のシェーマと症例写真でわかる読影のポイント救急・当直で必ず役立つ! 骨折の画像診断 改訂版〜全身の骨折分類のシェーマと症例写真でわかる読影のポイント
(2014/04/16)
福田 国彦、 他

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 そして、超音波やCT/MRIは、臓器を立体的にイメージできるかというのが求められます。臓器の三次元的な位置関係を覚えていれば超音波で描出もしやすいですし。「平面で覚えても良い」という先生もいますが、立体で覚えたほうが圧倒的に描出が速いですし、応用が利きます。

 その立体的な記憶については、この本を読んでみる。

3D anatomy―腹部エコー・CTを立体的に読む3D anatomy―腹部エコー・CTを立体的に読む
(2003/04)
加藤 高明

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 実に良い本だと思ってます。これを読んで超音波の練習をヒマがあったらする、この繰り返しが身につくポイント。超音波で描出ができるようになると、CTの読影も臓器の位置関係がつかめてきてレベルアップ。

 超音波については、実際の手順なんかは結局どの本も似たようなことを書いているので、肌に合ったものを選びましょう。自分は”持ち運びしやすいもの”という点で選びました。

ひと目でわかる腹部・消化管エコー実習テキスト『基礎編』ひと目でわかる腹部・消化管エコー実習テキスト『基礎編』
(2009/04/02)
杉山 高

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ひと目でわかる腹部・消化管エコー『実践編』ひと目でわかる腹部・消化管エコー『実践編』
(2009/04/02)
杉山 高

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 『基礎編』が正常解剖で、『実践編』が病態像。消化管エコーが少しですが載っている点と、あとは薄くて小さいというのが利点。これじゃなきゃダメということは全くありません。

 消化管エコーは自分が研修医2年次の時にとてもハマりまして、この2冊を読みました。

消化管エコーの診かた・考えかた消化管エコーの診かた・考えかた
(2004/04)
湯浅 肇、井出 満 他

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新超音波検査 消化管新超音波検査 消化管
(2006/05/25)
関根 智紀

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 他にも何冊か出てますが、自分が読んだのはこの2冊。。。どちらか1冊でも良いので読んでみてください。

 その消化管エコーは、まずは腸閉塞から入門すると良いですよ。めちゃくちゃ分かりやすいですし、レントゲンでは分からないようなgasless abdomenも超音波ならしっかり見えます。これで消化管エコーの威力を実感してみましょう。

 何かポケットマニュアルがあった方が安心、という方には、技師さん向けですがこれでしょうか。

腹部超音波ポケットマニュアル腹部超音波ポケットマニュアル
(2011/11/29)
不明

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 超音波は第2の聴診器でもあります。研修医の行う超音波の感度は恐らくかなり低いと思いますが、誰だって最初はゼロからのスタート。「見逃しは多い」と認識しながら練習を重ねていきましょう。研修医の時の思い出として、自分とあと1人の同期とで患者さんの超音波をやって「よし、胆石はない!」と思っていた患者さんがCTを撮ったら思いっきり詰まってたなんてことがありました…。消化器内科の先生は「これは分かりづらいよ」とおっしゃっていましたが、当時は「結構練習したはずなのに。。。」と2人とも意気消沈した記憶があります。ナカナカ難しい。

 肺の超音波(肺エコー)は残念ながらあまり多くを記述したテキストがありません。自分はChestに掲載されている論文を見ながら「ナルホドナルホド」と実践していました。他には林先生の『Step beyond resident』にちょろっと書かれてますね。初めて肺水腫のB-lineを見た時、そして気胸のseashore sign陰性を見た時は感動しました。懐かしい。

 →と思っていたのですが、2015年に肺エコーの本が出ました! 時代は進んだのだ。

こんなに役立つ肺エコー−救急ICUから一般外来・在宅までこんなに役立つ肺エコー−救急ICUから一般外来・在宅まで
(2015/03/27)
鈴木 昭広

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 心臓の超音波も定性的な見方が精一杯だと思います。描出力が乏しい時にあんまりEFとか出そうとするとかえっておかしくなる。とある病院の循環器の先生は「研修医がやった心エコーは参考にしない」と言っていた記憶が。本は何でも良いと思いますが、なるべく図が多くて薄いのがオススメ。自分はこれを使いました。

ビジュアル基本手技 7―カラー写真とシェーマでみえる走査・描出・評価のポイ 必ず撮れる!心エコービジュアル基本手技 7―カラー写真とシェーマでみえる走査・描出・評価のポイ 必ず撮れる!心エコー
(2008/04/28)
鈴木 真事

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 超音波全体について、手前味噌で恐縮ですが『こうすればうまくいく! 臨床研修はじめの一歩』という本には超音波の章があります。研修医の現実的なレベルを想定しながらも、消化管エコーや馴染みの薄い肺エコーについても触れているので、立ち読みで良いので眺めてみていただければ。

 さて、CTは急性腹症と脳血管障害、そしてMRIは脳血管障害でしょうか。

 基本的な臓器の位置関係は上述の『3D anatomy』と練習で把握でき、それがCTの読影にもつながります。その上で、急性腹症のCTではこちらを。

ここまでわかる急性腹症のCT 第2版ここまでわかる急性腹症のCT 第2版
(2009/08/29)
荒木 力

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 脳血管障害は、CTもMRIもこれで。

ここまでわかる頭部救急のCT・MRIここまでわかる頭部救急のCT・MRI
(2013/02/28)
井田正博

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 これっくらい読めば知識は十分だと思います。あとは実践あるのみ!

 ただし、この『ここまでわかる~』の2冊の厚さに「うーん…」となって読むのにたじろぐのなら、まずは『画像診断に絶対強くなるワンポイントレッスン』という本が、会話形式で薄くて、研修医の入門書として優れていると思います。頭部・胸部・腹部の救急的な疾患をメインに解説してますし、脳の血管支配域から肺や肝臓の区域も載っています。

画像診断に絶対強くなるワンポイントレッスン 〜病態を見抜き、サインに気づく読影のコツ画像診断に絶対強くなるワンポイントレッスン 〜病態を見抜き、サインに気づく読影のコツ
(2012/04/02)
堀田 昌利、土井下 怜 他

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 ここで大事なことですが、検査というのは頭のなかにある程度の鑑別があってのうえでのこと。ある疾患の像を画像が映し出していても、見る医者がその疾患を想定すらしていなければ容易に見逃してしまいます。きちんと鑑別を立てて検査前確率を設定しておくことが、見逃しを減らす最重要の策であります。つまり「あるんじゃないの?」と疑って画像を見るのが大切。

 あと、全く救急とは関係ありませんが、認知症の画像というのも解読しなきゃいけない場面が研修中にちょろっと出てくるかと思います(神経内科/精神科/老年科など)。そういう時に参考になるものを1つ。

ここが知りたい認知症の画像診断Q&Aここが知りたい認知症の画像診断Q&A
(2013/09/30)
松田博史、朝田隆 他

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 これは”薄い!””安い!”というのが大きな魅力。200ページちょっとで、かつお値段も3000円台。フルカラーでQ & A方式なので、読みやすく分かりやすいと言うのも利点。自分は、認知症の診断において画像はあくまでも参考という立場ですが(しかも今勤めている病院は画像検査出来ないので)、撮ったら撮ったで正しい解釈をしなければなりません。SPECTの読み方も良く分からずにオーダーし、読みは放射線科医任せというのは御法度でございます。そういった意味で、この本はコストパフォーマンスに優れておりお勧めできます。

 最後ですが、超音波は研修医1年次のうちからガンガンやりましょう。自分の身体を使ったり同期で練習しあったり、回数をこなせばこなすほどうまくなっていきますよ。
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