2013
11.26

見て学ぶ

Category: ★精神科生活
 昨日(11/25)は、山梨県立北病院に行って来ました。なぜって?



多飲症への取り組みのためでございます




 電車と新幹線を使って、片道3-4時間くらい。出張とはいえ経費節約のこのご時世、日帰りですよ日帰り…。帰ったらすぐ寝てしまった。。。しかも写真を撮るのをすっかり忘れてしまいましたよ。

 その病院には1人で果敢に挑んだわけでなく、看護師さん3人と作業療法士さん1人と自分の計5人。多飲症チームのメンバーでございます。

 多飲症と言っても、特に統合失調症患者さんのものをお勉強。不思議でしてね、1日に10L以上水を飲んでしまう患者さんもおるのです。それで亡くなってしまう人もおり、また多飲が軽くならないと退院も難しいという人もいます。

 原因は不明。お薬のせいだ、とする意見もあります。確かに一翼を担っているでしょう。お薬の抗コリン作用で口が乾くとか、お薬を洗い流すために水を飲んで排泄するとか。でも多飲の報告は抗精神病薬出現前から行われており、お薬だけで説明がつく問題ではありません。原因はともあれ、多飲症の患者さんは、飲水が”嗜癖”になっているんじゃないかな、と思っています。行動としての拡がりが乏しくて、すぐに結びつくのが飲水。

 ちなみに自分も、他にすることが無かったり受けている講義が暇だったりイライラしたり、なんて時は飲水量が増えます。「あれ?こんなに飲んだっけ…」と思うくらいに短時間で2Lのペットボトルの中がものすごく減っているなんてこともあります。

 解決策としては”美味しく安全に水を飲んでもらうために、一緒に考える”ということ。特に何十年と入院している慢性期の患者さんだと、こちらが患者さんの持つ能力を過小評価してしまいがち。でも患者さんにはやれば出来る力が必ずあって、それを引き出しながら、信じながらこちらも取り組んでいくことが大切でございます。見学に行った山梨県立北病院もそのようなスタンスでチームを立ち上げたという昔話を聞きました。うちの病院はチームを立ち上げてまだ3年なので、これからの成長に期待でございますね。でもこの3年の取り組みで1年のうちほとんどを隔離ですごさなければいけない患者さんがほぼ隔離ナシになったり、そうでなくても激減したり、効果は出てきております(水を飲み過ぎると死亡してしまうことがあるので、やむなく身体の安全上隔離して水から離さねばならないことがあるんです)。

 職業柄、やっぱりお薬のことを考えます。見学に行った山梨県立北病院はクロザピン(クロザリル®)が使える病院。これは多飲症にも効果大とのこと。うちの病院も使えるようにならんかな。他は、抗コリン薬を減らしたり単剤化と減量を試みたり。自分は”嗜癖”という観点からトピラマート(トピナ®)を使うことが多くてですね、まぁまぁ効果があるんじゃないかなと思っています。

 漢方的には、五苓散が効いた患者さんが1人、清心蓮子飲が効いた患者さんが1人。効かない患者さんのほうが多いのは言うまでもありませんが…。こういった”渇き”に注目する以外にも、例えばイライラした際の対処行動としての多飲ならそのイライラを抑えるもの(抑肝散とか)を使っても良いんだと思います。

 そんなこんなで、山梨県立北病院はこんな多飲症の本を出しています。精神科の医療スタッフで多飲症に関わる方は、目を通しておくと良いことだらけ。

多飲症・水中毒―ケアと治療の新機軸多飲症・水中毒―ケアと治療の新機軸
(2010/02/01)
不明

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