2013
11.22

RCTもこわいもんです

Jones CW, et al. Non-publication of large randomized clinical trials: cross sectional analysis. BMJ. 2013 Oct 29;347:f6104.

 この論文は、衝撃的。

 RCTというのは昨今のエビデンス医学の中では重宝されていまして、これで白黒付けるべきと言われています。しかも大規模なら尚更。小規模のものやちょっとした比較試験はあんまり見向きされない傾向。さびしいもんですけどね。

 さてそんなRCTですが、この論文ではClinicalTrials.gov(色んな臨床試験が登録されているところ)を用いて、今は終了している大規模RCT(組み込み予定数が500人以上)をたくさん眺めてます。

 それらの結果が論文化されているかどうかをpubmedで頑張ってチェックしたところ、なんと29%も結果が未公表でした!!!585件のうち171件にも昇ります!



(; ・`д・´) ナ、ナンダッテー !! (`・д´・ (`・д´・ ;)



 RCTが終わっただけでまだ執筆中なんじゃない?と思うかもしれませんが、調べた論文は終了してから中央値60ヶ月が過ぎてまして、このまま放置されるRCTも相当な数になるとされます。

 しかも、585件のうち、製薬会社がお金を出している研究が468件(80%)でして、未公表な171件に限るとなんとそのうち150件(88%)!!!

 角度を変えると、製薬会社が資金提供している468件中、150件(32%)が未公表、資金提供なしの117件だと未公表は21件(18%)。製薬会社関連の研究結果の方が公表されにくいと判明しました(p=0.003)。



ここまであからさまなのか!



 大規模なRCTというのはお金がかかります。よって製薬会社がFundingをしますが、ここにやはり色んな黒いものが渦巻きます。

 すなわち”製薬会社に不利な結果になった場合、それを公表しない”ということになります。想像に難くないですね。他は、色々と統計のやり方を変えて何とか誤魔化すか。

 ここで大事なことがありまして、いわゆるガイドラインってやつ。精神科でもCANMATとかWFSBPとかありますが、そんなガイドラインはエビデンスを集積したもの。RCTが重視されます。でもそのRCTも製薬会社に都合の良いものだけが世間に公表されている可能性がちらつく。となると…?

 すごく怖いことだと思います。RCTだからといって飛び付いちゃいけません。abstractだけ眺めてオシマイではなく、どんな方法で行ったのか、資金提供はどこが行っているのかというのもしっかり見ましょう。良質なRCTは確かに数多くありますから、それを見ていく。

 若手の医者や研修医は、小規模な臨床試験や症例報告を馬鹿にしがちです。でも生きた治療経過というのは、それらに色濃く反映されますよ。

 公表されていないRCTについては残念ながら結果を知る由もないですが、公表されているRCTも疑いのマナコで吟味。最低最悪なRCTの代表は、以前このブログでも取り上げましたが、某ファ○ザーが資金提供を行ったリネゾリドのZEPHyR試験ですね。ひどいですわ、あれは。それがトップジャーナルに載るんだもんなー、やってらんねぇよ(愚痴)。

 エビデンスに支配されない様に。でももちろんエビデンスを無視して良いという訳ではありません。このおかげで標準的な治療が定まってきた部分もあるため、参考にするところはして、個々の患者さんに合った治療を選択していく姿勢が大事です。
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コメント
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dot 2013.11.23 13:00 | 編集
管理人用閲覧コメントを下さったかた、ありがとうございます。

エビデンスとDSMも悪い面だけではなく、これらをうまく活用することが重要だと思います。
昔の精神科は1人の患者さんの診断が医者ごとで全く異なっていたことも多く、地域によってもその色合いが非常に強いものでした。DSMでそれがある程度(あくまでもある程度)研究用に一致してきたので、それは進歩だと思っています。お薬による治療も、質の高いエビデンスによってずいぶんとマシになったと考えています。
いずれにせよ”盲信はいけない”ということと考えます。
神田橋先生はさすが、としか言いようがありませんね。自分も直接教えを乞いたいくらい。
m03a076ddot 2013.11.24 10:44 | 編集
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