2013
10.12

何と言えばいいのやら

 健康診断のバイトなんぞをすることがあります。「そういや、健診と検診の違いって何なんだ?」と今さらながら疑問に思ったので調べたら


検診:病気の有無を確認するために行うもの。早期発見早期治療を目的にする。公衆衛生で言う二次予防的。

健診:健康であるかどうかを確かめるもの。病気のリスクを見つけることを目的にする。公衆衛生で言う一次予防。


 へー。全く知らなんだ。。。学生の時に公衆衛生学で勉強したはずなんですよね、たぶん…。

 検診は”がん検診”とかありますもんね。そんなこんなで、本日は検診について。

 がん検診は、コスト面なんかで本当に必要かどうかがよく議論されます。がんの種類とか、または家族歴が濃厚といった部分で強弱を付けて行う必要があると欧米各国で盛んに言われております(日本はそうでもないですが)。がんの中でも、転移もせず死につながらないおとなしいがんも実はいて、そういったがんを早期に見つけて治療するというのはマイナスに傾きます。悪さをしないものを、患者さんの身体に侵襲を加えて取り出すわけですから。

 下記の論文は、がんの種類によって検診がどれだけ意味があるのかしらを調べてます(もちろんデータはアメリカのものですが)。こういったことはどんどんしておかなあかんですね。下部消化管がんと子宮頚がんは検診のベネフィットが大きいので、これには力を入れるべき。


・がん検診
Esserman LJ, et al. Overdiagnosis and overtreatment in cancer: an opportunity for improvement. JAMA. 2013 Aug 28;310(8):797-8.


 ピンクリボンキャンペーンを行っている乳がんは、検診により早期発見がめちゃくちゃ増えましたが、進行期となった状態の乳がん診断数は、実は減少しておりません。下の論文では、新しく乳がんと診断された31%が過剰で、腫瘍そのものが致死的なのかどうかもはっきりしませんという結論。むやみやたらに乳がん検診を推奨するのはちょっと「??」が付きます。


・乳がん検診
Bleyer A, et al. Effect of three decades of screening mammography on breast-cancer incidence. N Engl J Med. 2012 Nov 22;367(21):1998-2005.


 前立腺がんのPSA検診も同じく。臨床的に影響を及ぼさない前立腺がんはかなり多くて、一生おとなしくしているタイプが結構います。下の論文では「前立腺がんを減らすには、PSA検査をやめるか基準値上限を上げなさい」という、ちょっと皮肉の入った報告になってます。


・前立腺がん
Wilt TJ, et al. Prostate cancer screening and the management of clinically localized disease. BMJ. 2013 Jan 29;346:f325.


 なかなか難しいもんです。検診でがんが見つかって本当に”命拾い”した人も中にはいるでしょうし、発見したがんが実は大人しいタイプで、早期発見早期治療がかえって身体的にきつかった(結果的に不必要な医療介入だった)という人もいるでしょうし。うーん。理想的には、がんの種類によって攻め方を変えるべきだと思います。自分の父方の家系は直腸がんが多発してますんで(しかも同じ部位!)、また直腸がん検診は検診のメリットが大きいとされている数少ない(?)検診ということもあり、自分は直腸がんの検診だけはしておきたいですね…。他はいいや、しなくても。

 がんに限らず、CKD(慢性腎臓病)検診や糖尿病検診なんかも「意味無いよ!」という論文もかなり多い。下記参照。


・CKD検診
Moynihan R, et al. Chronic kidney disease controversy: how expanding definitions are unnecessarily labelling many people as diseased. BMJ. 2013 Jul 29;347:f4298.

・糖尿病検診
Simmons RK, et al. Screening for type 2 diabetes and population mortality over 10 years (ADDITION-Cambridge): a cluster-randomised controlled trial. Lancet. 2012 Nov 17;380(9855):1741-8.


 高齢者の骨粗鬆症検診(骨密度測定)も残念ながら意義が薄いのではと言われております。なんとなんと。


・骨粗鬆症検診
Sarah D. Berry, et. al. Repeat Bone Mineral Density Screening and Prediction of Hip and Major Osteoporotic Fracture. JAMA. 2013;310(12):1256-1262.


 過剰診断は不必要な治療/介入につながり、例えばお薬の副作用や生活習慣の見直しによるストレスや患者さんの不安惹起などにつながります。こうやって振り返ると、検診って不必要なものが多いんじゃ…。多くの医者はそう思っていますが、いかんせん行政の方が「やれば良いんや!」みたいな感じになっておりまして、またマスコミが検診大好きですよね…。あれだけ医者嫌いなマスコミが健康番組でわんさか検診を推奨垂れ流し。不思議なもんです。

 ということで、今回挙げた論文は学生や研修医のみなさんは、ぜひ読んでみてください。
トラックバックURL
http://m03a076d.blog.fc2.com/tb.php/1670-ef0fc602
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top