2013
07.29

やるならうまく

Category: ★研修医生活
 研修医の頃、とっても偉い感染症の先生のWeb講演会がありました。

 研修医とICTの先生が一室に集まって、それを聴いていたのであります。

 だいたい講演会ってのはどこかの製薬会社の後ろ盾でやっていまして、演者はちょろっとその製薬会社の出しているお薬をお勧めするような形。バイアスがかかっているから、誰も本気で聴きはしないんですよね。ご飯が出るから行こうかなー的な。

 その時はフィニ○ックス®というカルバペネム系の抗菌薬を売っている塩○義製薬さん提供のものだったと記憶しています。研修医向けということで、お題は確か市中肺炎治療に用いる抗菌薬みたいな感じ。

 グラム染色の話もして、さて治療薬選択の話になりました。すると講演している先生は




「治療ですけど、ま、フィニバッ○スで良いと思います」




 おぉっ!?



 聞いていた一同、失笑。

 ICTの先生も「こりゃいかんな…」とポツリ。

 えげつないなぁ○野義製薬さんは、と思わせるに十分でございました。てか、話の持って行き方が雑過ぎませんかね。自分も講演する身分なので気持ちは分からなくはないですが、もうちょっと上手くやるでしょ、ふつう(エビデンスをある程度出すとか)。

 そんなこんなで、その先生の書いた本を見る度にちょっと記載が信用できなくなったのでございます。

 ちなみに、なぜ市中肺炎治療にドリペネム(フ○ニバックス®)を選ぶと失笑の的になるかと言いますと、まずこの薬剤は緑膿菌のカバーがあると言う点が挙げられます。一般的な市中肺炎の治療でこの薬剤や他のカルバペネム系を選んだら、打ち首と思って良いレベル、というか研修医やめてもう一回医学生からやり直せや、とスゴまれても仕方ありません。仮に院内肺炎であっても「ま、カルバペネムでしょ」とかいう思考は投げ飛ばされるくらいひどいもの。あくまでも原因を見定めて抗菌薬は選択するもの。他には、状況から言ってレジオネラが疑われるような場合に使ったってそれもギロチンです(細胞内寄生菌に効きませんからね)。更に、ドリペネムに限って言えば、VAP(人工呼吸器関連肺炎)の臨床試験で何とイミペネム・シラスタチン(チエナム®)に負けてしまい、試験が中止になりました。これを踏まえ、FDAは肺炎に適応がないことを改めて強調しています。そんなこんなで、そんな薬剤を第一選択でドンッと使うのはいかがなものか、ということで皆さん笑ってしまったのであります。

 講演会って言うのは話半分に聞くものですね。そんな好例でした。
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