2013
06.07

イヤなものはイヤ

Category: ★精神科生活
 本日、講演をして来ました!



 と言っても、前座ですけどね。



 病診連携のお偉いさんのお話があったので、ついで的な?でも一応は特別講演扱いにしてくれました。

 前座はある意味楽で、突っ込みどころがあっても、聴いてくれるみなさんも気を利かせてか温かい目で見てくれます。

 そんな環境下、自分は統合失調症の急性期治療について、精神病理学と薬理学とエビデンスとを結びつけるという無謀(?)な試みをしました。中井久夫先生を引用して、かつWFSBPや急性期で薬剤を使用した文献などを眺めました(Hatta K, et al. Olanzapine orally disintegrating tablet vs. risperidone oral solution in the treatment of acutely agitated psychotic patients. Gen Hosp Psychiatry. 2008 Jul-Aug;30(4):367-71.など)。上手く行ったかどうかは不明ですが。。。

 内容としては以下の様な感じ。

 統合失調症親和的な人々は、持ち前の微分回路的認知で生きています。でも、その能力が社会の要請と上手くかみ合わなかったために、現実認識の失調をきたします。ごく僅かな変化を先取りしてしまい、それ故にちょっとしたノイズにも大きく振り回されてしまいます。そうなると体験から“偶然”が消えていき、何らかの危険な“意味”を持って迫って来ます。それぞれの物事がそれぞれの危険な意味を持ち、それが頭のなかでざわめきます。すると、意味にふりまわされ、また別の意味にふりまわされるという状況に。

 これは傍から見ると支離滅裂な振る舞いとなり、錯乱状態となります。その中にいる患者さんはいかに恐怖に満ち満ちていることでしょう。私たちの統合された世界の認識・意味が音を立てて崩れていきます。

 我々が目にする幻聴や妄想などは、その中で患者さんが現状を何とかしようと奮闘した産物なんです。どこかでざわめきを安定させなければ、なんとか収拾を付けなければ、そのような努力の果てに創りだした対処。外から聞こえる声になってくれれば、頭の中の恐ろしいざわめきではなく、外部の世界からのものとして意味付けできます。自分を保つためには、内部にある未曾有の恐怖を外に位置づけねばなりません。

 ということは、陽性症状(幻覚・妄想)は患者さんが紡ぐヴェールです。何の配慮もなくヴェールを払うことは、患者さんを恐怖に直面させることになります。陽性症状そのものに深く切り込むよりも、陽性症状を柔らかく解きほぐしつつ、かつより生理的な鎮静(静穏)を施すことこそ重要なんだと思います。恐怖を緩和することが、結果的に安心して陽性症状を緩める準備のできる状態をつくると考えられます。

 そういう基礎知識的なところと、急性期に用いられる薬剤のエビデンス、そして”静穏”を目標にした薬剤治療を組み合わせてお話ししました。

 でも講演というのは何回やっても慣れないもんですね。もともと多くの人を前にするのが苦手なので、ドッキドキでございます。自分も静穏が必要ですわ。

 で、今帰ってきておそうめん(揖保乃糸!)でも茹でて食べようかしらと思っています。今日は当直開けでしてね、サスガに疲れました。
トラックバックURL
http://m03a076d.blog.fc2.com/tb.php/1627-24d2933a
トラックバック
コメント
管理人用閲覧コメントを下さった方、ありがとうございます。

対人場面で緊張するのは、日本人ならままあることですよね。自分は眼を見て話すのは苦手です…。ちょろっと前は大勢の人の前でお話しする時はプロプラノロール(インデラル)や抑肝散を内服していました。今はやっとそういうこともなくなりましたが。。。
III音については、沢山先生は”オッカサン”と表現してますね。自分でオッカサン、オッカサンと言いながら心音を聞くと、確かにそのリズムで聞こえてきます。オッカサンの”オッカ”がIとIIで”サン”がIIIです。ちなみにIV音は”オトッツァン”と聞こえるみたいです。”オ”がIVで”トッ”がIになり、”ツァン”IIです。
オッカサンとオトッツァンだなんて、トニー谷みたいですね←古い
m03a076ddot 2013.06.14 17:27 | 編集
管理人用閲覧コメントを下さったかた、ありがとうございます。

ちょろっと徐脈傾向なんですね。さすがスポーツ心臓。自分は少し歩くだけで心拍数が100/minを超えてしまいます…。
緊張する場面というのはイヤですよね。。。これからは否が応にもそういう場面が多くなってきますよ。プレゼン然り講演然り発表然り。なかなか生きづらい世の中ではありますが、まぁしゃーないなと思って諦めています。
生物学的に立派な心臓をお持ちですので、きっと乗りきれると思いますよ。今後の健闘をお祈りします。
m03a076ddot 2013.06.18 10:35 | 編集
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top