2013
05.21

呼吸器内科のテキスト

Category: ★本のお話
 自分は研修医1年次で呼吸器内科をローテし、グラム染色部隊として働いていた記憶があります。ずっと前にも記事にしていましたが、患者さんの病室に突撃して痰をせがんでおりました。。。


自分「痰出ますかっ!?」←猪木風
患者さん「あ、いや今は…」


 そんな感じ。大体ゴミ箱に痰を包んで捨ててあるティッシュがあるので、


自分「これもらって良いですかっ!?」←猪木風
患者さん「え、あ、はい…」


 ご迷惑をおかけしたかと思います…。

 研修医時代の自分にとって、大学病院の呼吸器内科は専門性の強い患者さんが多く、ちょっと手出ししづらいところがありました。でも肺炎のグラム染色と肺がんの緩和ケアを中心に勉強し、今に活かされていると考えています。人工呼吸器は最後まで良く分からなかった。。。

 そんな反省を含めて、呼吸器内科の本はどういうのが良いかしら?と思って挙げてみます(2015年7月24日に内容を改めています)。

 入門中の入門としては”ねころんで読める”シリーズでしょうか。倉原優先生の『ねころんで読める呼吸のすべて』。”すべて”ではありませんが、とっつきやすさを考えると、寝っ転がって読めるこの本を推薦。

寝ころんで呼吸

 そして、漠然とした知識が入ったところでお薬の使い方を。『呼吸器の薬の考え方、使い方』をしっかりと読み込むと視界が晴れてくるかと思います。考え方というよりは使い方に重点が置かれている気がします、この本。肺高血圧など専門的な内容もありますが、呼吸器疾患はコモンなものも多く、読んでみると良いのではないでしょうか。

呼吸器の薬の

 お守りとしてのマニュアルは何か欲しいよ! という研修医の先生には『ポケット呼吸器診療』を。毎年改訂されるそうですが、研修医としてであれば、最新を追い求めなくても良いかもしれません。

ポケット呼吸器診療

 ここまで倉原先生の本ばかりになってしまいましたが、若手の先生なので研修医の眼線を保ってくれているのがとてもありがたいです。上から偉そうに難しいことを難しく書くのではなく、研修医のところまで降りてきて導いてくれるような。

 あとは人工呼吸器! 呼吸器内科ローテ中やICUローテ中に勉強してしまった方が、頭が呼吸器モードなのでやりやすいかも。呼吸生理というのが大事になるのですが、自分はまったくもって苦手でして。。。良くワカランまま精神科医になり呼吸器に触ることもなくなり。。。ちょろちょろっとこの前眺めた時点では、『世界でいちばん愉快に人工呼吸管理がわかる本』が最も導入的です。

呼吸管理

 これで大枠を掴んだあとに、田中竜馬先生の2冊(『人工呼吸に活かす! 呼吸生理がわかる、好きになる』『Dr.竜馬の病態で考える人工呼吸管理』)に進むとだいぶ見通しが立つような気がします。

 ここに挙げた本以外では、もちろん感染症とグラム染色の典型的な像は別枠でお勉強が必要です。医者は他人様の命を預かるような職業ですから、それなりにきっちりしっかりと学ぶというのが大事になってきますね。一生勉強でございます。

 最後に1冊。その勉強というのを、患者さんとの出会いを通して教えてくれるのが亀井先生の『私は咳をこう診てきた』。

亀井先生

 コモンな咳という主訴を1つの題材として、亀井先生の診断の道筋というのがたどれます。序盤は診察や検査のエビデンスを、McGeeやJAMAのRational Clinical Examinationを参考にして示してくれています。エビデンスだけだとリアリティが欠けるんですが、やはりこの本のすごいところは”悩む”というところ。曖昧なところをしっかり悩んで、診断への筋道を修正していき、そしてまた考えていく。診断は決して単純ではないことや、時間軸を用いるという重要性も教えてくれます。終盤は在宅ケアについての章があり、そこでは患者さんの生き方、そして死に方への関わりが丁寧に記されています。私たち医者が患者さんの最期に対して出来ることは実に少ないのですが、どんな状態の患者さんであれ、看護できない患者さんはいません。この本は、”診る”ことと”看る”こと、この2つの視点がしっかりと、優しく書かれてあります。1人の臨床医として活躍された亀井先生の等身大の姿が、そこにはある、そんな気分でした。
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