2013
02.27

いつの間に変わったんですか

 この前気づいたのですが。。。



CKDのステージ分類が改訂されてたんですね!!!



 しかも去年(2012年)の6月…。

 ホントにこのところ時流に追いつけないのが悲しいです。ARDSの診断基準が変わったのもしばらく知らなかったし、そして今回の。。。このまま専門バカになってしまうのでしょうか。お恥ずかしいことです。

 ということで、ガイドライン(PDFで無料で見ることができます→コチラ)をちょろちょろっと眺めてみました。

 まずはCKDの定義。

・尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか。特に蛋白尿の存在が重要。
・糸球体濾過量(GFR)<60mL/min/1.73m2
このいずれか、または両方が3ヶ月以上持続する。

 となっています。普段の臨床では0.15g/gCr以上の蛋白尿とeGFR<60で診断することが現実的ですね。

 もともとCKDの分類はGFRのみで評価されてましたし、自分が精神科医になる前もそれに基づいて診ていました。ただ、蛋白尿の重要性はしきりに言われており、研修のローテで回った腎臓内科では「次は蛋白尿を入れたものになる」と教えられました。そこで今回の改訂。CGA分類(Cause, GFR, Albuminuria)という、原因、腎機能、蛋白尿(アルブミン尿)に基づいたもので評価されることになったようです。このステージのうち、ステージ3はGFR45でG3aとG3bの2つに分かれてます。

CKD.jpg
(『CKD診療ガイド2012』より)

 また、専門医への紹介は以下の時。

・尿蛋白0.50 g/gCr 以上 または検尿試験紙で尿蛋白2+ 以上
・蛋白尿と血尿がともに陽性(1+ 以上)
・GFRでは
40歳未満~GFR<60
40歳以上70歳未満~GFR<50
70歳以上~GFR<40


 血圧管理も結構ハッキリしており、CKD患者さんの目標は、診察室での血圧が130/80mmHg以下となりました。高齢者では140/90mmHgを目標にまず下げて、腎機能悪化や臓器の虚血症状が見られないことを確認してから130/80mmHg以下にしなさい、と言ってますね。降圧薬は、糖尿病合併例および蛋白尿0.15g/gCr以上(アルブミン尿30mg/gCr以上)ではRAS阻害薬(ACEIもしくはARB)が第一選択。ただし、尿蛋白正常の糖尿病非合併CKD患者では降圧薬の種類を問わない、ということになりました。ここが大きなポイントだと思います。

 血圧コントロールは自分も行うのでまだ勉強しています。なので少し長めに。

 ARBはお値段が高いですね。咳が出ないならACEIで行きたいところです(個人的には)。ONTARGET試験でもARBとACEIの有意差はなかったですし。製薬会社の口車に乗って勉強もせずにARBを出すなんてことはしたくない。高価な薬剤は売れば売るだけ製薬会社は儲かります。おエラいさん達が「ARBはACEIより良いよ~」と言えばそれだけ宣伝になりますし。そういうのにだまされずに適切に使いたいもんでございます。

 しかしやっぱり切れ味が一番なのはCa拮抗薬。アムロジピン(アムロジン)とかシルニジピン(アテレック)とかは良く使います。「臓器保護効果とか何とか言う前に、下げりゃあ良いんだろ!?」的な。ま、血圧を下げること自体が臓器保護になるので、やっぱりCa拮抗薬は素晴らしい。太ってない患者さんではアムロジピンが心血管を守ってくれるという報告がLancetに載っていましたしね(Effects of body size and hypertension treatments on cardiovascular event rates: subanalysis of the ACCOMPLISH randomised controlled trial. Lancet, 2013; 381: 537-45)。

 サイアザイド系利尿薬で使われているものは、各薬剤の個性が無視されてヒドロクロロチアジド(hydrochlorothiazide)ばっかりですね。エカードとかプレミネントなどの合剤で出てますが、どうかしらと思います。効かんよ!とする意見が大勢と思っていますが(Antihypertensive Efficacy of Hydrochlorothiazide as Evaluated by Ambulatory Blood Pressure Monitoring A Meta-Analysis of Randomized Trials. J Am Coll Cardiol, 2011; 57:590-600)。サイアザイドではクロルタリドンが確実な作用がありますが、日本では販売中止になりました。。。使うならインダパミド(ナトリックス)でしょう。自分が降圧治療をする時は、利尿薬ではインダパミドにしています。ヒドロクロロチアジドなんざ効かん効かん。

 補足(2013年3月24日):と思っていたら、クロルタリドンとヒドロクロロチアジドの有効性は高齢者の高血圧治療において同じという論文が発表されましたね。。。副作用はクロルタリドンの方が多かったとしています。ただ、追跡が最長5年で心不全・脳卒中・心筋梗塞による入院or死亡というのをプライマリアウトカムにしています。これをどうとらえるか?によって変わってくるでしょうか(Dhalla IA et al.Chlorthalidone Versus Hydrochlorothiazide for the Treatment of Hypertension in Older Adults: A Population-Based Cohort Study. Ann Intern Med. 2013;158(6):447-455)。

 病態によっても異なりますが、基本的にはCa拮抗薬を使ってACEIを使って、たまに釣藤散や八味丸も、というような感じにしています。あと、血圧は厳格に下げる必要はない、と思ってます。医者の中には120以下を厳守だ!という人もいますが、そんなにせんでもねぇ。なので今回のガイドラインで降圧目標が130/80mmHgと示されたのは良かったなと思います。

 補足(2013年3月24日):ちなみにですが、ADA(アメリカ糖尿病学会)は、糖尿病患者さんの降圧目標を130/80mmHgから140/80mmHgに緩和しました。日本では端野・壮瞥町研究が行われていて、130/80mmHgを目標としています。こればっかりは人種差もありますから何とも言えない。厳格すぎる降圧というのはイケナイというのが今のトレンド?ではあります。

 家庭で測る血圧ってのもちょっとどうかと思うところがあります。特に高齢女性は大変ですよ。自分は精神科ですから良く遭遇しますが、1日中血圧を測ってるんですもん。タイマーでも使ってるのかと言うくらい、1時間ごとの詳細な血圧のグラフを作っている人もいますし。QOL削ってまですることなかろうに。。。1回でも150を超えたら「高くなった!」と言って気分が悪くなる患者さん…。中にはそれで救急外来を受診する人もいます。高齢女性は心気的になりやすいところがありますから(全員じゃないですよ)、そういう患者さんに家庭用の血圧測定機なんてもうなんかすごいことになります。こんな患者さんの不安には加味帰脾湯が奏功することが多いですね。

 減塩も大事でしょうけど、いかんせん自分が減塩生活できる自信がなくてですね。。。おせんべい大好きです、料理の味も濃いめにして怒られます。自分が出来ないことを患者さんに勧めるのも気が引けて、ちょっと押しが弱い。ラーメンやおそばのおつゆは飲んじゃいけませんよというのは最低限言えます。あとはカリウムを使った減塩のお醤油とかお塩とかがありますよね。あれで高K血症になることがあるようなので、勧めはしますがそれでもあんまり使わないでねと言います。減塩のしすぎも良くないと言いますし、難しいもんです。

 と、最後は降圧治療のボヤキみたいになりましたが、こんな感じにCKDガイドラインの改訂部分を振り返ってみました。
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