2012
10.26

毎日いるところ

Category: ★精神科生活
 本日は診察室の物理的環境。自分が勤めているのは総合病院なので、精神科の診察室だからといって何か特殊な装置があるとか、そんなことはありません。むしろベッドとか血圧計とかがなく、あっさりとしております。精神分析をされる先生のクリニックですと様々な工夫が凝らしてありますが、ここは他の科と同じ仕様。家具とか絵画とかはないのでした。ちょっとカスタマイズしたくなります。

 診察室は大体こんな感じ。精神科10番診察室の風景です。

PA0_0380.jpg

 我々精神科医が気にするのは、患者さんとの”あいだ”です(木村敏的な意味合いでも)。そこはやっぱり精神科医にとって重要。これに配慮しない精神科医は皆無といっても過言ではありません。その”あいだ”を考えると、診察室の風景も大事な意味を持ってきます。

 まずは、患者さんとの距離。これについては、自分は1.5-2.0mくらい取るでしょうか。近いのもナンですし、遠すぎるのも。面接者によって適切な距離は異なると思いますし、もちろん面接する患者さんによっても微妙に距離を変えてはいます。

 そして、患者さんと向き合う時の角度。お見合いみたいに完全に向き合うと圧迫感があるので、いわゆる90度法に近い感じにしています。更に、2人の物理的境界となるようなものは間に挟みません。意図的に間にデスクを入れる先生もいますね。どちらが良い悪いというのはないと思いますし、スタイルの違い。

 後、自分は椅子の高さも調節しています。基本的には一番低い状態にして圧迫感を与えないようにしていますが、患者さんによっては少し高くします。椅子の高さは大事だと思っていて、圧迫感を使うか使わないかというのも考えます。椅子の高さといえば、チャップリンの”独裁者”を思い出しますね。

 椅子については、患者さんの椅子はあまり動かないようなもので、かつ背もたれのあるものを採用。背もたれは、座ってガチガチに緊張しないために、動かないようにしているのは、患者さんの心がふよふよと動いてしまわないように。ある程度のリラックスがあった状態で面接に集中してもらえるようにと思ってそうしてます。

 カルテ記載については、自分の主に勤めている病院は電子カルテなのでパソコンを使いますが、その画面はややこちら向きにしておいて、患者さんに説明する画面を出す時に向きを変えるようにしています。でも最初から患者さんに対してオープンにしている先生もいますね。そして、面接者はパソコンやキーボードを眺めないように、打っている時も患者さんの方を向くためブラインドタッチは必須の技術。ただ、分析的精神療法を行うのであれば電子カルテに打つのではなくてメモに最低限を書きながら面接に集中した方が好ましいと思います。

 目線は、ずーっと患者さんを見ているとさすがに威圧してしまうところもあるので、適度に画面に移したり少し上の壁に移してみたり。ここぞって時はじーっと患者さんの眼を見るときもありますが、そこは面接者によって異なるのでしょうね。

 で、なぜ10番診察室を例として出したかというと、この診察室と6番診察室は精神科には珍しく、”ベッド”があるからなんです!

PA0_0381.jpg

 自分が寝るわけじゃないですよ(寝たいですけど)。。。

 カウチの真似事をするということでもありません。

 自分は漢方屋でもあるので、”腹診”をするのでした。精神科でお腹を触るなんてのはちょっと患者さんも意外でしょうけど、予め断ってから。「あたしゃ漢方も使うもんでしてね、漢方はお腹を触った感じが結構大事なんですわ」と添えます。若い女性の場合は、おへその場所を教えてもらって服の上から触るようにはしています。見えないとなかなか精度は保てませんが。

 診察室の雰囲気は10人医者がいたら10通りのものがあるでしょうし、特に精神科医はそれにうるさい。診察室は患者さんと医者の2人の空間でもありますし、ともすると患者さんの内的世界を映し出す場にもなります。患者さんと我々との”あいだ”、患者さん自身の”あいだ”、そこで何が起こっているのか?出来るだけノイズを少なくしてそれをつかむように、精神科医は腐心するのでありました。そのスタイルも千差万別ですし、患者さんによってはフレキシブルに対応。今回出したのはあくまでも自分の基本スタイルでございました。
トラックバックURL
http://m03a076d.blog.fc2.com/tb.php/1561-d4b98062
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top