2012
06.05

精神科薬剤治療~3つのスパイスと組み合わせ

Category: ★精神科生活
 ラモトリギン(ラミクタール®)、トピラマート(トピナ®)、プレガバリン(リリカ®)は、精神科領域でも使われる新規抗てんかん薬(この”精神科領域”に、てんかんは含めていません)。

 この3つは何らかの形でグルタミン酸系に働いてくれまして、症状の荒波を穏やかにしてくれます。それは躁うつであっても統合失調症であっても神経症であっても。この中で気分安定薬と呼べるだけの作用を持つのはラミクタールだけでしょうが、トピナもリリカも他の面を支えてくれることで良い働きをしてくれます。

 具体的には、以下の効果を持つような印象。

ラミクタール:認知機能の上昇、過敏性の緩和、抗うつ作用、強迫の緩和、器質性幻覚の緩和、気分の賦活
トピナ:依存脱却、過食の抑制、衝動性の緩和、認知機能は落としてしまう傾向
リリカ:抗不安、プチ抗うつ、強迫の緩和、疼痛の緩和、慢性疲労の緩和、認知機能は落としてしまう傾向

 ラミクタールは双極性障害の維持にも使われるように、抗うつ作用を持ちます。また、重めの単極型うつにも効果があるような印象を持っています。他は発達障害に見られる知覚過敏や強迫傾向、引きこもりにも効くのでは?と言われていますが、RCTでは発達障害に対して残念ながらプラセボと有意差が出ていません(効く人は効きますけどね…)。後は強迫性障害にも有効ですし、解離性障害やDLBの関与する幻覚などにも他の薬に付加することで効果的です。統合失調症の患者さんにおいては、表情を良くしてくれますし、自閉的な部分が改善することも。もちろん上手くいかないことも多いですが。。。文献的には、クロザピン(クロザリル®)に抵抗性の統合失調症に付加することで症状が軽くなったという報告があります(他の薬への付加では効果がなかったようですが)。三兄弟の中では副作用に最も気をつける薬剤で、特に皮疹は出たら中止にしましょう(日本での出現頻度は1割ほど)。自分は安全志向で、バルプロ酸(デパケン®/セレニカ®)を併用していなくても25mgの隔日投与から始めています。それでも皮疹が出た患者さんもいて、その時ばかりは「何やこの薬は…」と思ってしまいました。。。ちなみに、自分は皮疹が出た場合はプレドニン®を20mg飲んでもらってます(3日間くらい)。結構これで速やかに消失しますよ。

 トピナは薬物依存や過食、自傷などの衝動性に効くため”何らかを欲してグッと行動してしまう”というような状態を和らげてくれる印象を持ちます。”精神的渇望に効く”と評した先生もいらっしゃって「なるほど、上手いな」と感心してしまいました。このあたりはゾニサミド(エクセグラン®)も似たような働きでしょうか。他には過敏に反応してしまう部分を穏やかにする作用があるため、PTSDに使われることもあります(ただ、十分なエビデンスはありません)。抗うつや抗不安という点では自分はちょっと分からないため、それを狙って出すことはないです。悪化することも多いみたいですし。認知機能という点では経験的に若干悪化する感じ。比較的処方されるのは、オランザピン(ジプレキサ®)を使っていて過食ががんがん出てしまった患者さん。症状はジプレキサで上手く抑えられているから変えたくないけど、過食が、、、と言う時にトピナを噛ませることがあります。自分は家庭内暴力など衝動行為のある患者さんに使うことがあります。痛みにも効くんじゃない?と最近は言われていますね。

 一番かわいらしい名前のリリカは、抗うつ作用は軽いものの抗不安と抗強迫はすばらしい。”痛み”に効くというのは有名ですが、治療抵抗性の強迫性障害や全般性不安障害に使うと大逆転を起こしてくれることがあります。統合失調症患者さんはかなり強い不安(それも漠然としたもの)を訴えることが多いのですが、それにも効果あり。慢性疲労症候群への使用についても改善の可能性が言われています。認知機能は落としてしまい、暗算能力や注意力が散漫になります。車の運転は禁止(事故を起こすことアリ)。お年寄りなら少なめの量から開始しましょう。一般成人でも150mgから開始するのはちょっと多いため、25-50mgからが妥当でしょうか。あまり精神科医は注目しないかもしれませんが、このリリカには浮腫や心不全(!)という副作用があります。リリカ内服中で「体重が増えてきた、むくんできた、最近歩くと息切れがする」という患者さんがいたら要注意です。強迫や不安が強い患者さんには、自分ならリリカに飛ぶよりもまず漢方薬を併用することで勝負をかけてます。

 さて、精神科の薬剤というものは、モノアミン(ここではセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン)に関与する薬剤が抗精神病薬・抗うつ薬として存在します。どれを増やすか/減らすか、脳のどの部位にどう作用するかといった個性を精神科医は気にします。例えばオランザピンはドパミン受容体の拮抗薬ですが、5-HT2cの阻害により前頭前野ではドパミンを増やしてくれます。精神科の疾患はモノアミンだけでは説明が付きませんが、それでもモノアミンが脳の部位によってアンバランスになっているという考えは必要です。

 抗精神病薬は基本的にはドパミン(D2)を抑える働きですが、その中でアリピプラゾール(エビリファイ®)はパーシャルアゴニストと言われており、抑制の一辺倒ではありません。ただ、ドパミンで全て解決するというわけではなく、最も優れているというクロザピンは色んな受容体にくっつきます。ドパミンへの作用はあまり強くなく、実に不思議な薬剤。ドパミン拮抗だけじゃいかんよという事実を覚えておくのは重要なところです。他に抗精神病薬の切り口としては、”重い”か”軽い”かで分けるのも良いかもしれません。オランザピンは多くの受容体にビタっとくっついて重い感じ。リスペリドン(リスパダール®)はそれほど多くないですが、長い間くっついているのでこれも重い感じ。クエチアピン(セロクエル®)は多くの受容体にくっつきますが、すぐ離れるためそんなに重くないです。ハロペリドール(セレネース®/リントン®)も少量ならそんなに重い印象を自分は持っていません。軽いのはペロスピロン(ルーラン®)、ブロナンセリン(ロナセン®)、アリピプラゾール(エビリファイ®)などでしょうか。こういう軽いのは受容体の敏感な患者さんにも使いやすい部類に属しますし、他にも軽いもの同士や重い薬剤と併用することもします。抗精神病薬は単剤にしろと言われていますが、単剤でゴリ押しするよりもある程度の視野を持って何種類か組み合わせるという考え方もあって良いのではないかなと思います。

 抗うつ薬に関して言うと、薬剤によってセロトニンにより関与するかノルアドレナリンにより関与するかというので分けられることが多いです(効果はあまり変わらないですが)。古典的な三環系はセロトニン・ノルアドレナリンの再取り込み阻害では説明の付かない”奥行き”というのを持っており、それが三環系の効果の強さを示しており、まだまだ活躍の場を保っています。残念ながら日本にはドパミン系を賦活するような薬剤が少なく、うつ病治療の広がりが乏しい印象。いわゆる新型うつと呼ばれるタイプはドパミンをぐぐっと上げる薬剤が有効ではないかと言われており、日本にはないMAO阻害薬が一定の効果を示すのもそれを裏付けるものと言われます。そういう点では、日本で治療するならデュロキセチン(サインバルタ®)とオランザピン少量の併せ技が効くかも(両者とも前頭前野でのドパミンを賦活します)。ミルタザピン(リフレックス®/レメロン®)は再取り込み機序を持たない薬剤でして、これもドパミンを上げてくれますが長持ちせず、それが腰折れ現象に関係しています。

 抗精神病薬と抗うつ薬の併用。これはうつ病に主に使われますが統合失調症でも最近は研究が進んでいます。機序が反対というイメージがあるので、この2つの併用と聞くと「何をしたいんだ?」と他科の先生は思うかもしれませんが、これは前頭前野を何とかしたいという考えから来ています。統合失調症であれうつ病であれ、前頭前野の機能不全がその陰性症状、意欲低下につながっています。ここのドパミンを増やしたいというのがイメージとしてあります。例えばサインバルタとジプレキサの併用を上で挙げましたが、これはサインバルタのNET/NAT(ノルアドレナリントランスポーター)阻害作用とジプレキサの5-HT2c阻害作用の相乗効果を狙っています。非定型抗精神病薬にリフレックスを加えるのは、リフレックスの持つα2の阻害作用や5-HT1A結合促進作用をプラスすることを考えて行われています。こういうのを考えると、ジプレキサにリフレックスを加えることでクロザピンの受容体プロフィールに近づくことが分かりますね。

 後は、クロニジン(カタプレス®)といったα2アゴニストは衝動性や過緊張症状の改善に一役買ってくれます。脳を冷ましてくれる、というイメージ?ADHDや精神遅滞の突発的な暴力行為、PTSDにおける緊張症状といったものを改善しますね。幻覚妄想といった副作用を来すこともあるのでそこは注意を要しますが。

 モノアミンに作用する薬剤は、抗うつ薬、抗精神病薬という分け方もありますが、再取り込み阻害・各種受容体遮断/刺激といった視点で分けて考えてみるとまた一味違ってきます。

 こういった神経伝達物質に作用する薬剤の他に、気分安定薬と言われるリチウム(リーマス®)、バルプロ酸(デパケン®/セレニカ®)、カルバマゼピン(テグレトール®)といった面々が存在します。彼らは抗精神病薬と抗うつ薬とは違ったメカニズムで脳に作用するため、併用することで更なる効果が期待出来ます。気分安定薬はGABAやNMDAやAMPAといった受容体を介し、グルタミン酸による作用を調節してくれるのではないか?と言われています。リチウムは謎(GSK-3への関与がメインらしいです)。クロナゼパム(リボトリール®/ランドセン®)はベンゾジアゼピン系ですが、気分安定薬として機能する部分も。

 そこに新たに加わったのが今回取り上げた三兄弟。彼らもグルタミン酸に関与しますが、古典的な気分安定薬とはちょっと違う雰囲気。同じグループにはなかなか入らない印象を持っています。上述の効果を意識して、必要に応じて付加という形。新規抗てんかん薬を入れることで大きなBreakthroughが生まれることもあります。

 更に漢方について言及すると、個人的な印象では特に柴胡剤は気分安定薬的な働きをしてくれます(たぶん。桂枝や半夏も穏和な気分安定化作用があるかも)。機序は不明ですが。。。補中益気湯や十全大補湯といった補剤は穏和な抗うつ薬のような印象。不安の強い患者さんには、良く「四逆散+柴胡加竜骨牡蛎湯」の組み合わせを用いますし、抑うつ的な患者さんには「四逆散+半夏厚朴湯/香蘇散」を使います。四逆散は柴胡剤の1つで、自分は精神科の漢方治療ではベースとして用いることが多いです。他には多訴的な患者さんでは加味逍遥散もベースにします。ポイントは投与量を多くする、でしょうか。エキス剤の3包/dayではなかなか効果が。。。

 他のサプリメントはちょっと不勉強で分かりませんが、亜鉛は何やら良い働きをしてくれるみたいですね(The efficacy of zinc supplementation in depression: Systematic review of randomised controlled trials; Journal of Affective Disorders, Volume 136, Issue 1, Pages e31-e39, January 2012)。プロバイオティクスですとか、統合失調症ではD-セリンとかも研究されています。サプリは怪しげな印象を持つかもしれませんが、効くのであれば、そして身体に害がなければ、使っても悪くないような気がします。

 最近の話題ではHPA系(視床下部-下垂体-副腎皮質)や海馬神経新生、炎症性サイトカインなど。抗副腎皮質ホルモン剤であるミフェプリストンが精神病性うつの治療に効果的ではないかと言われていますし、リチウムは海馬の神経新生に関与している可能性が示唆されています。サイトカインも熱心に研究されていますね。治療抵抗性の統合失調症にセレコキシブ(COX-2阻害薬)を加えたり、スタチンやEPAの持つ抗炎症作用が期待されたり。これからは何らかの進展が生まれそうです。

 向精神薬を選ぶ時は、こういった視点を持って複数のお薬を組み合わせていくというのが時に必要かと思います。抗精神病薬も”多剤=悪”のような考え方はいかがなものかと。組み合わせることでかえってCP換算が低く抑えられることもありますし。もちろん副作用がバリバリ出てそれによって患者さんが苦しんでいるのなら話は別ですが。

 モノアミンを考えて、その中でも併用の可能性を考えて、そして気分安定薬、新規抗てんかん薬、漢方といったものを考えて(将来的には免疫/抗炎症の軸?)。複数の思考の軸を持っておいた方が、治療が手詰まりになる可能性は低くなるのではないかと考えています。



☆三兄弟についての参考文献
Lamotrigine therapy for autistic disorder: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial; J Autism Dev Disord. 2001 Apr;31(2):175-81.
Lamotrigine augmentation of serotonin reuptake inhibitors in treatment-resistant obsessive–compulsive disorder: a double-blind, placebo-controlled study; J Psychopharmacol. 2012 Feb 20.
Pregabalin augmentation in treatment-resistant obsessive-compulsive disorder; Int Clin Psychopharmacol. 2011 Jul;26(4):221-4.
Adjunctive therapy with pregabalin in generalized anxiety disorder patients with partial response to SSRI or SNRI treatment; Int Clin Psychopharmacol. 2012 May;27(3):142-50.
Clozapine plus lamotrigine in treatment-resistant schizophrenia; Arch Gen Psychiatry. 1999 Oct;56(10):950.
The efficacy of lamotrigine in clozapine-resistant schizophrenia: a systematic review and meta-analysis; Schizophr Res. 2009 Apr;109(1-3):10-4. Epub 2009 Jan 30.
Lamotrigine as add-on therapy in schizophrenia: results of 2 placebo-controlled trials; J Clin Psychopharmacol. 2007 Dec;27(6):582-9.
Augmenting antipsychotic treatment with lamotrigine or topiramate in patients with treatment-resistant schizophrenia: a naturalistic case-series outcome study; J Psychopharmacol. 2001 Dec;15(4):297-301.
Topiramate treatment for SSRI-induced weight gain in anxiety disorders; J Clin Psychiatry. 2002 Nov;63(11):981-4.
Topiramate for prevention of olanzapine associated weightgain and metabolic dysfunction in schizophrenia: A double-blind, placebo-controlled trial; Schizophr Res. 2010 May;118(1-3):218-23. Epub 2010 Mar 7.
Augmentation with pregabalin in schizophrenia; J Clin Psychopharmacol. 2010 Aug;30(4):437-40.
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コメント
質問させていただいてよいでしょうか

リリカと漢方薬で併用禁止の物ってありますか?

麻黄成分の多い漢方薬と併用して大丈夫か気になります
たなはdot 2013.02.27 20:55 | 編集
>たなはさん 
コメントありがとうございます。
リリカと漢方薬ですが、添付文書上において併用禁忌となっているものはありません。
麻黄の主成分はエフェドリンですが、それを含むいわゆる西洋薬にも禁忌となっているものは今のところないようです。
ですが、漢方薬は成分が多く、併用するものによってはひょっとしたら相互作用を有するものがあるのかもしれません。
こればっかりは何とも言えませんが、”現時点で”という但し書きが許されるなら問題は確認されていないようです。
ちなみに、自分も”リリカと五積散”、”リリカと桂枝湯合麻黄附子細辛湯”など、麻黄を含む製剤を併用することがありますが、それで相互作用が見られたというのは経験していません。
ただし、麻黄はそれ単独で副作用をもちます。リリカを使うにせよ使わないにせよ、そこには配慮が必要と思われます。漢方薬には副作用がないと言う医者もいますが、それは大きな間違いです。注意して使用しましょう。
m03a076ddot 2013.02.27 23:56 | 編集
そうなんですね

教えていただきありがとうございます
たなはdot 2013.02.28 08:18 | 編集
>たなはさん 
どういたしまして。
なかなか漢方はしっかりとしたデータがないので曖昧になってしまいました。
m03a076ddot 2013.02.28 14:18 | 編集
初めまして

質問させて下さい

2型躁鬱病を患って15年程になります。
軽い躁と鬱を繰り返している状態ですが、ラミクタールを飲むようになって、(3年くらい前から)比較的落ち着いている感じです。

劇鬱からパキシルで躁転し、躁鬱病に診断が変わりました。


現在 慢性疼痛で整形外科でのリリカもしくはトラムセットの服用を勧められてますが、精神科にかかっている事は言っていません。 出来るなら言いたくありません。

飲んでいる薬はリーマス100㎎を2錠、ラミクタール25mgを3錠、デパケン100㎎を2錠です。

精神科の先生からは、私の飲んでいる薬での飲み合わせの悪い薬はないと言われていますが…

正直 怖いです。 

先生のお考えをお聞きしたいです。

よろしくお願い致します。
らみりdot 2013.10.07 11:33 | 編集
>らみりさん

ありがとうございます。
飲み合わせで言うのなら、らみりさんのお薬ではリーマスだと思います。
日常的なお薬では、高血圧のお薬、NSAIDsという種類の痛み止め(ロキソニンやボルタレンなど)がリーマスの血中濃度を上昇させるので、注意が必要です。
ただし、らみりさんのリーマス服用量は200mgというかなり少ない量なので、頓服として痛み止めを少し飲むくらいでは血中濃度が中毒域まで跳ね上がる可能性は低いとは思います(確証は持てませんが…)。
それ以外で、飲み合わせで非常に危ないというのは日常診療で用いるお薬では殆ど無いと考えられます。
蛇足ですが、ラミクタールを今後増量するのなら、デパケンを服用されていることもあるため皮疹出現には十分に注意して下さい。
m03a076ddot 2013.10.08 01:12 | 編集
コメントありがとうございました。


先生のアドバイスでは、リーマスの血中濃度が上がる事に気を付ける事が必要なのですね…

ラミクタールは今のところ増量する予定は有りません。

トラムセットやリリカ等で躁転の可能性が有るのかが、とても心配です。 
セロトニンに関係するお薬のようなので、パキシルの時の躁転がとても辛かったので…

重ねての質問で申し訳ないのですが… 

教えて頂けないでしょうか…?
らみりdot 2013.10.09 18:22 | 編集
>らみりさん

ありがとうございます。
トラムセットというお薬は、トラマドールというお薬とアセトアミノフェンというお薬が合わさったものです。トラマドールはオピオイド受容体というところにくっついて痛みを抑える作用を持ちますが、もう1つのメカニズムとして、SNRI的な働きをするということが挙げられます。
SNRIはセロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害する抗うつ薬(日本にはトレドミンやサインバルタがあります)でして、SSRIの仲間と思っていただいても差し支えありません。このSNRIは抗うつ作用のほかに、痛みを調節する神経に働きかけて鎮痛作用をもたらします。
トラマドールは抗うつ薬よりも効果は弱いものの、そのセロトニンとノルアドレナリンへの作用があります。
以上の様なメカニズムだけで考えると、躁うつ病の患者さんにこれを使うと躁転を起こすかもしれない、となります。
では実際にそういったことが起こるのか?というところですが、ごく少数ながらその様な報告があります。古くは1997年に、1人の患者さんがトラマドールを服用して躁転したのではないか、という論文が出ています。他は、SSRI(パキシルなど)とトラマドールを併用してセロトニン症候群(セロトニンがたくさん出過ぎることで身体と心に症状が出ること)と躁転をきたしたという報告が少し見られました。
ごく少数なので、これをもって絶対にトラムセットを使ってはいけないとはなかなか言えないのが難しいところです。身体の痛みが強くて生活に支障がある、そしてトラムセットがその痛みをかなり軽くしてくれる、この2つが満たされるかどうかによって変わってくるかと思います。
天秤にかけて、としかなかなか言えないのが歯がゆいところですが…。
対してリリカは躁転のリスクが極めて低いと思います。作用機序からも否定的ですし、今のところ躁転したと言う報告はありません。むしろ治療の難しい躁うつ病の補佐として使用したという報告があるくらいです。ただ、添付文書通りの150mg/dayから開始するとふらつきやめまいが多くの患者さんで出現しますので、25-50mg/dayから始めるのが無難と思います。
m03a076ddot 2013.10.09 19:31 | 編集
先生 丁寧なコメント本当にありがとうございます。

やっぱり躁転の危険性もあるのですね…

正直に整形外科の先生に話せれば良いのかも知れませんが…

自宅近くの病院の為、躁鬱病の事を話す勇気がありません。

また今の精神科の先生も、あまり親身になって相談に乗ってくれる感じではないので…

この様なサイトに巡り会えた事に感謝致します。

本当にありがとうございました。
らみりdot 2013.10.09 21:06 | 編集
>らみりさん

ありがとうございます。
可能性は低いんでしょうが、”絶対に躁転する/しない”とはなかなか言えず…。難しいところでございます。
痛みは非常に辛いものと思います。トラムセット以外のお薬(漢方薬など)で効くのがあると良いですね。
お大事にしてください。
m03a076ddot 2013.10.09 23:23 | 編集
管理人用閲覧コメントを下さったかた、ありがとうございます。

ベンゾは頓服として使うならば良いお薬だと思います。抗うつ薬は毎日の服用が前提です。
症状の緩和具合も見てみる必要があるでしょう。
どちらが優れているとは一概には言えません。
受診をしてみて医者の助言やご本人の考え方を総合して決めるものと思います。
m03a076ddot 2014.04.10 08:21 | 編集
管理人用閲覧コメントを下さったかた、ありがとうございます。

タンドスピロンは確かに安全性が高いですが、実感として”あまり効いた感じがしない”というのがあります。
シャープな切れ味でない分、離脱症状なども少ないのかもしれません。全く出ないかと言われると分からないのですが、安全性ではトップクラスです。
中には効く患者さんも確かにいます。効果発現まで時間がかかり即効性はありませんが、60mg/dayまで上げて使っていると楽になることも。
ただ、実際に診察する医者の判断もありますから、タンドスピロンが処方されるかは何とも言えませんが。
m03a076ddot 2014.04.11 08:24 | 編集
脊椎間狭窄症でリリカをすすめられ飲み始めました。変な夢はみるし、背中に湿疹もでますが痛みが軽減するのも事実です。正直、リリカ飲み始めるまではかなり抵抗がありました。軽いうつ症状でも処方されることがあるというので。ただ、飲んでいる量は50㎎/日です。やはりやめたほうがいいのか迷っています。体重増加も否めません。食欲はむしろあまりないほうです。
よしかわdot 2015.01.13 17:10 | 編集
>よしかわさん

ありがとうございます。
諸症状を主治医の先生にお伝えして、服用を続けるかどうかというのをしっかりと相談したほうが良いかもしれません。
効果と副作用をてんびんにかけて、焦らずじっくり考えてみることをお勧めします。
m03a076ddot 2015.01.14 22:23 | 編集
そうですよね。ご丁寧な返信お忙しい中ありがとうございました。
よしかわdot 2015.01.16 08:56 | 編集
>よしかわさん

ありがとうございます。
しっかりと相談をしてみることが第一歩だと思います。
m03a076ddot 2015.01.20 00:34 | 編集
管理人用閲覧コメントをくださったかた、ありがとうございます。

記事では言葉足らずな部分がありました。
四逆散+柴胡加竜骨牡蛎湯も、合うだろうと思う人に使うというのが大事です。
場合によってはさらに患者さんを疲弊させることがあります。
四逆散についてですが効果も人によりけりなところが大きいので、効果のある人もいればない人もいる、かつ使用する量も人によるとしかお答えできないのでした。。。
どんな漢方薬にも言えることだとは思います。
m03a076ddot 2015.06.27 09:36 | 編集
強迫の治療について調べています。

本文中の

治療抵抗性の強迫性障害や全般性不安障害に使うと大逆転を起こしてくれることがあります。

この部分はどういう意味ですか?

治療抵抗性の強迫性障害が大きく改善するほどリリカが有効という意味ですか?
もしそうだとすると、不安が抑えられるという意味か、強迫観念が抑えられるという意味かどちらですか?
例えば、ドアノブに触れない人が、抵抗なく触れるようになったとかそういう目に見える改善もありますか?

そもそもリリカは強迫性障害には適応外処方になりますよね?
そういう患者がリリカを飲みたい場合、保険ではなく自費で処方してもらうしか方法はありませんか?
パッポポdot 2017.03.09 19:56 | 編集
>パッポポさん

ありがとうございます。
グルタミン酸神経伝達の阻害によって、リリカがたまーに効くことがある、という意味合いです。
第一選択の使用法ではないので、当たる確率は低いと思っています。
抗不安効果を介して強迫が減少するのかもしれませんし、強迫そのものにストレートに効くのかもしれませんが、詳細は残念ながら不明と言わざるを得ません。
適応外なので、保険病名を付けて使用することになるでしょうが、「適応外だから使わない」という立場の医者もいると思いますし、自費で処方もすることはないと思います(自費診療を売り物にしているごくごく一部のクリニックを除いて)。
m03a076ddot 2017.03.12 12:21 | 編集
ご返答感謝します!

強迫にグルタミン酸が関与しているという説がありますから、効いてもおかしくないですね。と思ったのですが、
www.nanbyo-study.jp/?p=2800
を読んだら、なんか怖い薬に思えました。。

妄想様病態で一般生活が困難になっても強迫性障害は統失ではないので、抗精神病薬は保険適応にならず、SSRI増量で効かない場合、有効な薬がまったくないのが現状でして、それで治療薬の情報を調べています。
ネットでは少量の抗精神病薬を使うといいとかよく書いてあり、その場合、事実はともかく病名は統失ということにしてもらえれば保険で使えるのですね。

SSRIとの併用で、エビリファイ少量が強迫に効くという説はよくありますが、抗精神病薬は、短期的に強迫にも効くことがあるが、長期的にはデータ不明or悪化する可能性があるとも聞きます。

強迫にはいろんなタイプがあるので一概には言えないかもしれませんが、こちらのブログの過去記事でもエビリファイを評価されているようですので、ご存知でしたらお聞きしたいのですが、エビリファイを1年以上飲んだ強迫症患者で、最初は良かったが、段々と強迫が再発したり、長期使用したことでアカシジアなどの副作用が途中から出て中止したという例はありませんでしたか?
もしエビリファイが効いても、止めたら強迫は再発すると考えたほうがいいですか?
パッポポdot 2017.03.13 03:19 | 編集
>パッポポさん

ありがとうございます。
エビリファイが有効な患者さんではそのようなことはなかったように記憶しています。
効いた場合、まずは生活のゆとりを味わってもらい、そこからセルフヘルプ本でも良いのですが、認知行動療法的な取り組みを行なってもらいます。
症状が激しい時はなかなかその取り組みの余裕がないのですが、お薬で楽になってもらい、そこからどうやって症状と距離を取るかの練習をしてもらいます。
それをきちんと経た後であれば、お薬を減らしてやめていってもひどくぶり返すことは少ないのではないでしょうか。
ただ、どのくらいの期間服用したら漸減中止すればいいかというのはあまりコンセンサスがないかと思います。半年から1年の服用はやはり必要かと感じています。
m03a076ddot 2017.03.17 10:43 | 編集
汚染恐怖型の強迫の場合、症状が激しいほど、外出困難になったり、大病院よりも小さなクリニックへ行くことでやっとですから、有効な薬が無いと、自発的な行動療法ができるまでかなり時間がかかります。
SSRIは発症からの期間が短かったり、軽症段階の人なら効くのかもしれませんが、多くの強迫症患者には無効に等しく、何か増強する薬があればと調べていたのですが、エビリファイは比較的安全だと考えて良さそうですね。
製薬会社はお金をかけてまで強迫症適応にしようとはしないかもしれませんが、強迫のうつ状態への適応として他の抗精神病薬よりは使いやすそうです。

具体的な情報に感謝します。
パッポポdot 2017.03.18 00:34 | 編集
>パッポポさん

ありがとうございます。
エビリファイは低用量で効果を示し、腰折れしないという印象です。
もちろん薬剤治療だけではないですが、色んな選択肢を知っておくのは大切だと思っています。
m03a076ddot 2017.03.20 22:48 | 編集
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