2012
04.13

心電図は馬鹿にできん

 JAMAから、心電図異常は冠動脈心疾患の優秀な予測リスクになりますよ、という論文。

Association of Major and Minor ECG Abnormalities With Coronary Heart Disease Events
JAMA.2012;307(14):1497-1505.

 心電図は広く行われ、安くて、安全。3拍子揃った検査です。従来のリスク評価(the Framingham coronary heart disease prediction scores)では、高齢者のリスクをうまく評価できませんでした。

 この論文では70-79歳の心血管系に異常のない人たちを対象に12誘導心電図を取り、更に4年後にもう一度。その2回の記録で異常があるかどうかを見ています。平均フォローアップ期間は6.4年。

 この異常にはMajorとMinorの2つを定義しています(MC:Minnesota Codeの略)。

☆Criteria for major prevalent ECG abnormalities
・Q-QS wave abnormalities (MC 1-1 to 1-2-8)
・left ventricular hypertrophy (MC 3-1)
・Wolff-Parkinson-White syndrome (MC 6-4-1 or 6-4-2)
・complete bundle branch block or intraventricular block (MC 7-1-1, 7-2-1, 7-4, or 7-8)
・atrial fibrillation or atrial flutter (MC 8-3)
・major ST-T changes (MC 4-1, 4-2, 5-1, and 5-2).

☆Criteria for minor prevalent ECG abnormalities
・minor ST-T changes (MC 4-3, 4-4, 5-3, and 5-4)

 参加者は正常、ベースラインのみ異常、4年後に出現した異常、ベースラインに異常があり4年後も続く異常、の4つに分類されました。

 ベースラインで異常のある参加者は、冠疾患になるリスクが高いとされました(Fig.1,2)。

ecg.jpg

 4年後に新たに異常が出現、異常が持続するという参加者はこれまた冠疾患のリスクが高まりました(Table4)。死亡率についてはあんまり有意差は出てないですね。

table4.jpg

 心電図は上述のように3拍子揃った検査です。特に高齢者においては、従来のリスク評価が上手く使えないという欠点があるため、心電図異常というものに目を光らせましょう、というのを教えてくれる論文でした。安価で非侵襲的っていうのがポイント高いですよね。




☆心電図についてちょっと一言
 QRSとSTっていうのは心室の電気の走り具合を見るためには丁度良いと思います。V1-6までQRSが滑らかなら「お、いい感じに電気走ってるな」と感じますし、V1-3でRが立ち上がってこないと「前壁さん元気ないのかしら」と思います。QRSがちょっとギザッてなってたら「ん?少し伝導路が傷ついてるのかな?」という印象を持ちます。V1-2でSが元気良すぎてV5-6でRの元気が良すぎる、かつST変化があると「左心室の力が強すぎるかな?」という感じ。ST部分も上昇や低下というのがあると「ちょっと心室内での流れが乱れているのかしら?」と漠然と考えます。こんな感じで心電図を見ながら電気の流れる様子をイメージできると何となくスクリーニングになりますね。

 ちなみに、右房拡大とか左房拡大を心電図のP波で判定するのは全くもって無駄です。心室肥大もQRSだけで判断すると過剰診断。必ずST変化を伴っているかを見ます。心電図で心臓の形を判断しようというのは、エコーのない時代の残滓と思っても過言ではないでしょうね。形を知りたければやっぱりエコー。電気の走りに関しては心電図は大きな武器で、これがないと始まらない。
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