2012
04.10

栄養療法 Starter & Booster:第5回~栄養剤の種類

目次→コチラ

 さて、前回は長々と述べましたが、ここでざざっと中心静脈栄養の流れを復習。

・栄養評価をして栄養療法の適応と判断
・投与経路の決定
・必要エネルギー量のアタリを付ける
・アミノ酸投与量の決定
・脂質投与量の決定
・残りのカロリーを糖で賄う
・NPC/N比を確認して微調整
・必要水分量の決定
・必要電解質量の決定
・ビタミン、微量元素を添加
・キット製剤とにらみ合い

 このような順番で考えてみましょう。繰り返しですが、重症患者さんにおいては、内因性エネルギー供給としての異化を既存の予測式では考慮していない(できない)ということは要注意です。

 ここで、製剤について少し。

 中心静脈用のキット製剤はいくつかあります。糖質がグルコース以外のものが入っていたり、アミノ酸の成分が異なっていたり、電解質のバランスが少し違っていたり。ちょろちょろっと違うのがあれこれと出ているので、何が良いのか困ってしまいます。院内に採用されているキット製剤を勉強するのが一番手っ取り早い。

 キットには糖質、アミノ酸、電解質は含まれています。ここにビタミンと脂肪乳剤、微量元素を加えるのですが、キットによってはそれらがあらかじめ含まれているものも。

・脂肪乳剤が入ったのがミキシッド®
・ビタミンが入ったのがフルカリック®、ネオパレン®
・ビタミンと微量元素が入ったのがエルネオパ®

 色々なものが入っている出来合いのものというのはありがたいですが、逆に「これいらんなー」というものを抜くことも出来ません。こちらの自由度が低くなってしまいますね。

 ある程度こちらが電解質やアミノ酸などをオリジナルに設定する必要性が出てくることも多いのです。そういう時は、ハイカリック®RFというのを使うことも考慮。これにはKとPが入っておらず、NaとClも少なめ。更にアミノ酸が入っていません。肝不全や腎不全の患者さんには、これに病態用のアミノ酸製剤を加えて使うことが多いです(肝不全では低芳香族アミノ酸、腎不全では低アルギニンのものなど)。

 末梢静脈栄養ではアミノ酸製剤と脂肪乳剤で何とかしのぐ。その間に患者さんの状態を改善させ、経口摂取もしくは経腸栄養に繋げて行きましょう。末梢静脈では浸透圧の関係上、どうしてもブドウ糖を多く入れられないため、投与できるエネルギーは少なくなってしまいます。

 経腸栄養剤についても述べますが、基本的には上述の流れを踏襲。第4回でも脇道でお話ししましたが、分類としては成分栄養剤、消化態栄養剤、半消化態栄養剤というのがあります。ほとんどの経腸栄養剤は半消化態。

 経腸栄養剤は何を選ぶか、ですが、患者さんの消化吸収がどうかをまず考えます。経腸栄養は出来るけれどもちょっと消化管の動きが、、、と言う患者さんには成分栄養剤や消化態栄養剤を。もうばっちりですよ、という患者さんには半消化態栄養剤を選択。製剤によってたんぱく含有量が異なってくるので、第4回でお話ししたアミノ酸、脂質、糖質の分配の考え方がここでも生きてきます。次に、病態別栄養剤の適応かどうか、です。

 病態別栄養剤には、糖尿病、腎疾患、肝疾患、呼吸不全など各病態に対応したものや免疫を高めるもの、さらにたんぱく質、食物繊維、ビタミン、微量元素などを強化したもの、脂質の組成をいじっているものなど、これも様々出されています。

 選択が終わったら、水分!一般的に経腸栄養剤は80%が水分という換算をします。あまり水分負荷したくないな、という患者さんには、mL当たりのカロリーが多いものを選択(そりゃそうだ)。他には塩分にも気を配りましょう。栄養剤の塩分は少ないので、適宜補う必要があります。

 後はですよね。。。自分はエンシュア®とラコール®を飲んでみたことがありますが、ラコール®はめちゃくちゃ不味い。エンシュア®も甘くて甘くて恐ろしいですが(特にバニラ味)、ラコール®の不味さは何とも言えないものがありますし、特に子どもはそれで吐いちゃうことも。それとラコール®とツインライン®は何故かビタミンKが多くてワーファリンを飲んでいる患者さんは避けるべきでしたが、どちらもビタミンKを減量したNF製剤というのが出て、これまでの無印ラコールと無印ツインラインが製造中止となりました。一安心ですね(ただ、静脈栄養の脂肪乳剤はビタミンK多いので注意を)。

 そして、経腸栄養といえば下痢嘔吐、というくらいに下痢と嘔吐は多くなります。下痢の原因には様々あり、全てが栄養剤のせいではないというのがまずは大事な視点。栄養剤によるものですと、浸透圧や注入速度というのが大きな原因になります。他には自分がそうなのですが、乳糖不耐症。これで下痢します。嘔吐の原因は匂いや味がやっぱり眼に付きますが、他にはほぼ液体という点や、NGチューブの位置、注入速度など。嘔吐対策には、栄養剤にトロミを付けてあげると意外に良い感じになります。NGチューブの位置ですが、特にICUに入る様な患者さんの急性期では胃が動いていないので、出来るだけ小腸の方へ持って行くのが大切。漢方的には、下痢に五苓散や真武湯、半夏瀉心湯を、嘔吐にも半夏瀉心湯や六君子湯を混ぜて注入するとだいぶ違う印象があります。

 ただ、この下痢に関して一言。腸管浮腫のあるような患者さんに経腸栄養剤を投与すると、小腸から余分な水分を引っ張り出してこの浮腫を改善させることが出来ます。それにより便の水分が多くなり下痢に。なので、下痢は全て悪ではなく、この時のものはある程度許容しましょう。
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