2012
03.29

ハロペリドール予防投与???

 ICUでのせん妄でコンサルトを受けることが度々あります。状況が状況なだけに内服が出来ない患者さんが多いです。。。液剤のリスペリドン(リスパダール®内用液)やバルプロ酸のシロップ(デパケン®シロップ)が使えればそれを使っていますが、無理であればハロペリドール(セレネース®/リントン®)の注射薬の出番。EPSやQT延長に注意して使うことは言うまでもありません。点滴で落とすのと内服とではEPSの出現率が異なる印象がありますが(総量が同じでも点滴の方が出にくい?)、それがきちんと示されているかは不明。

 そんなこんなでICUのせん妄は困りもの。基礎疾患のコントロールが何よりも大事で、後は原因や増悪となりうる薬剤を出来るだけ止めてもらいます。Critical Care Medicineで、ハロペリドールを予防的に入れることで高齢者のせん妄が予防できないか?というアグレッシブな論文がありました。

Wang, Wei, et al.
Haloperidol prophylaxis decreases delirium incidence in elderly patients after noncardiac surgery: A randomized controlled trial
Crit Care Med. 2012 Mar;40(3):731-9.

 457人の患者数。65歳以上で非心臓外科の手術後にICUに入室した患者さんを対象としてます。ハロペリドールを0.5mg静注して、その後は0.1mg/hrで12時間持続投与する群(n = 229)もしくはプラセボを投与する群(n = 228)に分けて開始。プライマリアウトカムは術後初期7日間でのせん妄発症。セカンダリアウトカムはせん妄発症の時期、せん妄を起こしていない日数、ICU在室日数、全死因28日死亡率、副反応。せん妄はICUにおいてthe confusion assessment method(いわゆるCAMってやつです)を用いて評価。このCAMは非常に優れた質問法なので、目を通しておくことをお勧めします。
 
 さて結果ですが、術後初期7日間でのせん妄は、ハロペリドール群で15.3%、プラセボ群で23.2%でした(p=0.031)。せん妄発症までの平均期間とせん妄を起こさない日数は有意にハロペリドール群で長く、そのためICU在室日数はハロペリドール群で有意に短かったとしています。全死因による28日死亡率には差が無かったとのこと。ハロペリドールによる副反応は見られなかったようです。

 この論文の結論としては、非心臓外科手術後の高齢患者さんがICUに入る時、短い間だけ低用量のハロペリドールを流すのは有意に術後せん妄の発症を減らす、というもの。

 全員にもう入れちゃおうという発想が「攻め」を感じます。総量は1.7mgですよね、ハロペリドールが。確かに量は少なめ。ただこれを流したからと言って全身コントロールを疎かにして言い訳ではないので、するにしてもやっぱり補佐としてという考え方がいちばん(この論文でも35人は発症してる訳ですから)。

 この論文だけで「じゃあ持続で行こうぜ!」とはなりにくいかもしれませんが、こういう試みは面白いものだと思います。
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