2012
02.28

感染症診療 Starter & Booster:第13回~感染症診療の原則とは?-2

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3)検体の理解
 原因となる菌を捕まえるためには、検体が必要。しかし、その理解が正しくなければ、原因は覆い隠されてしまいます。検体はとっても大切で、とっても解釈が難しい。まずは、軽く勉強してみましょう。

 まず、検体の種類。これには、無菌検体非無菌検体の2種類があります。前者は本来であれば菌はいない状態、後者は菌が元々いる状態です。

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 無菌検体には血液、髄液、胸水、胆汁、羊水などなど。何事もなければ、そして採取方法が適切であれば、通常は菌がいません。ということは、理想的な採取方法という前提では、検出された菌が原因菌と考えてよさそう。ただし、ドレーン等が入っている場合、そこから取った際にドレーンにいる菌を拾うことは十分にあるので注意。このことから、ドレーン排液には培養検査をする意味はない、とも言われます。

 非無菌検体には喀痰、便、皮膚スワブなど。これには菌が通常でもわんさかいます。原因菌もいればただただ住み着いている菌も。当然、検出される菌が原因菌とは限らず、この解釈が難しくなりそうですね。

 このように、検体と言っても最初から菌が住み着いているかどうかで分かれます。そして、検体を見る時には質と目的を考えます。見えた菌は感染なのか、ただそこに住んでいるだけなのか、はたまた混じっちゃったのか。そして何故この検体を培養に出すのか。自問自答が必要です。

 検体の質について言うと、例えば喀痰でも、下気道から喀出された純粋な痰と、唾液の混じった痰とでは質が全く異なります。培養は極端に言えば”とりあえず、そこにいる菌を増やしたもの”。質が悪い検体を培養したら、色んな菌が生えてきます。どれが原因なのか…?なかなか難しい時もあります。こういう時は、グラム染色。これは培養の持つ欠点を補ってくれまして、その質と菌の勢いを見せてくれます。

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 質で例を挙げると、有名なのが喀痰のGeckler分類(1977)と思います。これは成人の市中肺炎のためのもので、高齢者の誤嚥性肺炎には適応しづらい部分もありますが、肺炎一般における喀痰の品質評価として広く浸透しています。誤嚥性肺炎なら、きちんとした膿性痰でも扁平上皮が結構見えるので、Geckler分類では格下げされてしまうんですよね。白血球による貪食像も評価が難しいことがあります。S. pneumoniaeなど莢膜を持っていたら原因菌であっても貪食されにくいこともありますし、白血球が原因菌ではない菌を食べてしまうこともありますし(特に吸引痰)、免疫抑制なら指標になりにくいですし。貪食している=原因菌、貪食していない≠原因菌、とは一概に言えず、常に患者さんの状況とにらめっこすることになります。

 その培養の良いところは、少数しかいない菌も検出できること(これは前述のように短所にもなりますが)、グラム染色で推し量った菌名が分かること、そして薬剤感受性が出る、ということがあります。グラム染色だけでも不安ですし、培養だけでも不安。理想的には、グラム染色で大体の予想を付けて、培養で裏付け。無菌検体では、適切に採取されたと言う条件下において、グラム染色で菌が見えなくても培養検査で検出されたら、原因と考えておくことが重要です。本来は無菌なはずですから。

 グラム染色は怠る先生がいますが、簡便さリアルタイム性は培養には無い特徴です。治療効果を見る時も、検体を染めることで菌の勢いが衰えていくのが見て取れます。こういった利点は活かしましょう。ただ、評価に耐えうるグラム染色の標本を作るには練習が必要です。中途半端に染めて菌を見誤ってしまっては大変。頼りになる先輩にきちんと見てもらいながら繰り返し練習することが大事です。

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 目的。検体はむやみやたらに培養に出せばいいと言う訳でもありません。病変部位でないところの検体から、疾患とは無関係な菌が偶然検出された場合、間違ってそれを治療ターゲットとしてしまうことがあります。きちんと原則に従って、問題となっている解剖/臓器を探し出して、そこから検体をとりましょう。目的を意識しないと、その培養結果に振り回されてしまいます

 そして、培養ではどうしても耐性菌に過敏になってしまうことがあります。患者さんが抗菌薬を使っても良くならない。喀痰培養したらMRSAが出てきた!バンコマイシンに変更したけど良くならずにまた培養出したら緑膿菌が出てきた!あわててメロペンに変更したけどさっぱり良くならず。。。こんな感じにはまり込むことがあります。抗菌薬投与中に培養を撮ると、それに耐性を持った菌が検出されることは当然です。でもその耐性菌は「そこにいるだけ」の定着であることが多いのです。きちんとこれまでの治療を振り返り、診断が間違っていないか、抗菌薬が到達しにくい病態があるのではないかなど、原則に戻って原因を見直していきましょう。

 これらからお分かりのように、培養で検出された菌が原因菌とは限りません。そしてもちろん、原因菌が培養で生えてこないということもあります。その時は患者さんの背景や状況、そしてグラム染色の結果などから類推することになります。そして、そもそも嫌気性菌は培養で生えづらいということもあります。嫌気培養をこちら側できちんとオーダーすることが大事ですし、そうであっても培養にたどり着くまでに嫌気性菌が採取管内でお亡くなりになることもあります。臨床的に嫌気性菌の関与が疑われたら、培養で生えて来なくても抗菌薬は嫌気性菌を狙ったものが必要です。

 さて、血液培養では、コンタミか真の原因菌かの判定が重要となります。

 S. aureus、S. pneumoniae、E. coli、K. pneumoniae、Enterobacter、Serratia、P. aeruginosa、Candida albicans、Candida non-albicansなどは、血液培養で検出された場合、真の原因菌の可能性が高いと言われます。逆に、Bacillus、Corynebacterium、CNS、Propionibacteriumなどはコンタミの可能性が高いです。

 しかし、そうは言っても2セット取って2セットともに生えたら、やっぱり疑わしいなぁ、、、と思ってしまいますね。患者背景ももちろん大事で、中心静脈カテーテルや脳室シャントなどが入っていると、CNSやPropionibacteriumは原因菌として可能性が高まり、一概にコンタミと言えなくなります。

 血液培養の話が出てきたので、その採取についてお話しします。血液培養採取の適応とタイミングですが、以下が主なもの。

・菌血症を疑う症状がみられる(発熱・悪寒/戦慄・頻脈・頻呼吸など)
・原因不明の低体温や低血圧
・突然変調を来した高齢者もしくは小児
・免疫抑制患者での原因不明の呼吸不全・腎不全・肝障害
・昏迷などの意識の変調(特に高齢者)
・説明のつかない白血球増多や減少、代謝性アシドーシス
・抗菌薬の変更時

などです。どうしようかな?と思う/迷うことそのものが適応と言っても良いくらい。これは腰椎穿刺と同じですね。日々是血培と念じましょう。

 採取するセット数と血液量もとても大事になってきます。

 採取するセット数は、必ず最低でも2セット!つまりはボトル4本!検出される菌にもよりますが”1セットのみの血液培養に大きな診断的意義はない”と考えておきましょう。1セットのみでは、菌が検出された場合、皮膚常在菌のコンタミネーション(汚染、混入)か真の原因菌かの判定が難しくなってしまうのです。原因菌の検出感度は70%くらいとも言われます。特にグラム陽性球菌なんかが生えた日には困りモノ。ですが、2セット採取して2セットとも同じ菌が出れば、よっぽど下手でなければ恐らくコンタミネーションではないだろうな、真の原因菌だろうなと考えられるのです。2セットだと90%以上の検出感度。

 そして、各セットの採取血液量は20mLを目標としましょう。2セット取るなら合計40mLが必要です。もし頑張って採っても20mLに足りなければ、好気ボトルを優先させましょう。例えば15mL採取なら、嫌気5mLと好気10mLというように。この採取量が大事でこれは死守するくらいの勢いで。

 子どもであれば、ルーチンでの嫌気ボトルは必要ありません。以下に示すように採取量は体重に依存し、最低1mLの血液は必要とされています(Frequency of low-level bacteremia in children from birth to fifteen years of age. J Clin Microbiol. 2000; 38:2181-2185)。

体重1kg以下:2mLを1セット(計2mL)
1.1-2kg:2mLを2セット(計4mL)
2.1-12.7kg:3mLを2セット(計6mL)
12.8-36.3kg:10mLを2セット(計20mL)
それ以上:成人と同様。

 採取手順ですが、イソジンを使う場合「(採取部位をアルコール綿で消毒→)イソジンで2回消毒→清潔手袋はめる→採取」とします。手袋をはめる前にイソジンで採取部位を消毒するのは、イソジンが殺菌効果を発揮するまでに1分ほどかかるため。その間を利用して手袋をはめましょう。手袋は清潔手袋を使用するとコンタミが50%減ると言われます。ですが、やっちゃいけないんでしょうけど、自分は明らかに「取れる!」と判断できるほど良い血管であれば清潔手袋使いません。採取部位に触れなければ良いので。皆さんはマネしないで下さい。。。

 培養ボトルの口は消毒するのが通例となっています(エビデンスがあるのかは不明)。そして、血液を入れるのは嫌気ボトル→好気ボトルの順。嫌気ボトルに空気が入らないようにするためです。空気が入ると嫌気性菌が死んじゃいますからね。この時、穿刺に用いた針をそのまま使って構いません。翼状針(トンボ針)であれば、ルート内の空気を考慮して好気ボトルを先にします。

 用いる消毒薬ですが、必ずイソジンでなければならないということではありません。自分は血管が良く見えて失敗しないだろうなと思える患者さんでは、アルコール綿でごしごしごしごし消毒して、ささっと採取しています。

 各種消毒薬の利点欠点は以下の様(「臨床に直結する感染症のエビデンス」より)。

1. イソジン
 利点:持続性+、穿刺に手間取っても雑菌混入のリスク上昇しない
 欠点:即効性-、穿刺までの時間を十分取らなければならない
 推奨される臨床場面:穿刺まで十分時間をとれる、術者の習熟度問わない

2.アルコール
 利点:即効性+、すぐ穿刺可能、コスト安い
 欠点:持続性-、穿刺に手間取ると雑菌混入のリスク上昇
 推奨される臨床場面:穿刺時間かけられない緊迫した状況、術者がベテラン

3.クロルヘキシジン
 利点:即効性+/持続性+、すぐ穿刺可能、穿刺に手間取っても雑菌混入のリスク上昇しない
 欠点:コストが高い
 推奨される臨床場面:コストが許せばさまざまな場面で使用可能

 静脈血を採るのか動脈血を採るのかという問題。これは、2セットとも静脈血が望ましいです。片方の腕にルートが入っているから、、、ということで1セットを鼡径から取ることもありますが、採取部位さえ異なれば同じ腕で取っても大丈夫。鼡径で取る際には、最初のアルコール消毒を執拗なまでに行いましょう!鼡径は汚染が著しいことをお忘れなく。

 培養を出した後のことも知っておくと勉強になります。

・嫌気ボトルと好気ボトルのどちらが先に陽性になったか
・提出後どれくらいの時間で陽性になったか
・ボトル内のガス産生所見はあるか

 こういったものも大きな情報です。例えば好気ボトルのみ陽性になったグラム陰性桿菌、なんて来られたら、真っ先に緑膿菌を代表とするブドウ糖非発酵菌を思い浮かべましょう。奴らは嫌気の環境が苦手で、嫌気ボトが陽性になることは珍しいのです(なので、嫌気ボトルが先に陽性になったGNRなら、何となく安心しますね)。Clostridium,Bacteroides,Fusobacteriumといった偏性嫌気性菌は嫌気ボトルのみが陽性になる傾向にあります。ボトル内のガス産生所見というのは、腸内細菌と嫌気性菌に特有の現象です。大腸菌は産生がやや弱いですが、Klebsiella, Enterobacterで強く見られます。培養陽性になる時間については、臨床的に重要な菌は殆ど培養開始から3日以内で検出可能とする報告があります(Routine incubation of BacT/ALERT FA and FN blood culture bottles for more than 3 days may not be necessary. J Clin Microbiol. 2005;43:2506-2509)。元々の菌数がコンタミなら少なく原因菌なら多いという至極尤もな現実を反映してますね。ただし、感染性心内膜炎などではじっくり生えてくる、栄養要求の厳しい原因菌もいます。臨床状況からそういう菌が疑われたら「検査室に長めに培養しておいて下さい」と一言かけるのが良いでしょう。

 2008年の岩田健太郎先生の論文では、ルーチンの嫌気培養は不要であり、偏性嫌気性菌の感染が疑われ、免疫機能が落ちていて、直接の培養検体が取れない場合には取る意味がある、としています(Is anaerobic blood culture necessary? If so, who needs it? Am J Med Sci. 2008 Jul;336(1):58-63.)。こういう、当然と思っていたことに切り込むのは斬新で面白い姿勢ですね。

 蛇足ですが、胸水や腹水を培養する際は、血液培養ボトルに入れると検出感度が上昇するので、ぜひ活用して下さい(胸水はBlood culture bottle culture of pleural fluid in pleural infection. Thorax 2011;66:658-662. 腹水はInoculation of blood culture bottles with ascitic fluid. Improved detection of spontaneous bacterial peritonitis. Arch Intern Med. 1987 Jan;147(1):73-5.)。

 ここからは、特殊な状況として「感染性心内膜炎を疑う時」「CRBSI(カテーテル関連血流感染症)を疑う時」の2つを述べます。これらはいずれも血管内感染の代表で、血液培養が何度も陽性になる際には疑わねばなりません。

☆感染性心内膜炎
 感染性心内膜炎が鑑別に挙がれば、24時間以内に間隔を空けて、最低3セットは血液培養を採りましょう。持続的にグラム陽性球菌が検出されれば、それは感染性心内膜炎を強く示唆します(カテ入ってれば別ですけど)。感染性心内膜炎は決して稀な疾患ではありません。「心雑音+発熱=心内膜炎」として考え、コモンな意識を持ちましょう。

 ちなみに経胸壁心エコー(TTE)の疣贅vegetation検出に対する感度は約70%とされているので、TTEで疣贅が見つからなかったからと言って、感染性心内膜炎は否定できません。疑った場合は、経食道心エコー(TEE)も必要となります。TEEの感度は、施行者にもよりますが90%以上とされています。疣贅は僧帽弁前尖に出来やすいので、ごもっとも。問題なのが、TEEも空振りだった時。診断の洗いなおしをして本当に疑わしければ、やはり感染性心内膜炎として対処することとなっています。

 診察所見(Janeway lesions, Osler nods, Roth spots, splinter hemorrhage, conjunctival petechiaeなど)は恐ろしいまでに感度が低いので、診察で所見が無いからと言って否定してはいけません。その代わり特異度は異様に高いので、見つけたらほぼRule inとなります(いつ出るか分からないので、毎日繰り返し診察すること)。

 血液検査ではRFが陽性になったり補体が低下したりすることがあります。関節痛も出ることがありますし、不明熱の原因としても良く出てきます。なので、何となく捉えるなら、感染性心内膜炎の症状や所見というのは「悪性腫瘍+膠原病」の雰囲気としておくと良いかもしれません。

☆CRBSI(カテーテル関連血流感染症)
 いわゆるカテ感染ですが、これを考えた時、1セットはカテから、もう1セットは末梢から取ります。そしてカテを抜いた場合は、そのカテ先も培養に提出(カテ先培養の感度は低いです)。

 カテから取った血液培養が陽性判定となる時間が、末梢から取った血液培養が陽性判定となる時間よりも2時間以上早ければ、非常にカテ感染らしくなります(検出される菌はもちろん同じという前提で)。

 ちなみに、カテ刺入部の発赤は出ない方が多いので、発赤がないことはカテ感染の否定材料には全く使えません。そもそもカテ感染は、いったんカテーテルを刺入した後は、皮膚側からの細菌侵入が稀とされています。細菌の侵入ルートは「ルートの継ぎ目」です。すなわち三方活栓の使用時や点滴差し替え時、側管からの薬液注入時。これらの操作をする際は、無菌操作と厳密な消毒が必要となります。

 治療は「カテ抜去+抗菌薬治療」の合わせ技が基本。どうしてもカテを抜きたくない時は、菌によっては抗菌薬ロック療法というのがありますが、ICTや感染症に詳しい医師などに相談しましょう。

 これまでの話は中心静脈カテーテル(CVカテ)においてのものですが、末梢カテ感染(PV-CRBSI)というのも存在しますので、注意が必要です。そして末梢カテ感染では、刺入部より中枢側に膿瘍などを形成することもあるので、硬結所見が無いかもチェックが必要。

4)抗菌薬の理解
 抗菌薬については、これまでのお話でおおよその使い方が分かったかと思います。嫌気性菌用とP. aeruginosa用の抗菌薬を別々に覚えておくことが第一となり、これらは特別な薬剤と言う意識を持ちましょう。当然ながら、耐性菌をカバーする抗菌薬も覚える必要があります。こういうスペクトラムの他に、臓器移行性と、各病院での抗菌薬感受性の違いを考えます。

 患者背景と感染臓器から原因菌を推定し、適切な検体を採取した後に、推定した原因菌をカバーする抗菌薬を投与。この際、患者さんの状態が芳しくなければ、広域に構えることを躊躇ってはいけません。検体をしっかり採ってあれば後で狭めることが可能ですから、外したらやばい時は最初から狭域で攻めるというのは恐い。そして、十分量を十分期間使用することが大切です。感染臓器によっては移行性の問題などがあるのでそれも考慮しなければいけませんし、腎機能や肝機能によって投与量の変更を迫られることも多々あります。頻用する抗菌薬の移行性は覚えておかねばいけません。

 そして、抗菌薬感受性。いわゆるlocal factorというものも考慮しましょう。ちょくちょくとお話ししてきましたが、ここで少しまとめて。菌も生き物でして、住んでいる地域、住んでいる病院によって性格が異なってきます。この病院にいる大腸菌は第2世代セフェムが効くのに、あの病院にいる大腸菌には全然効かない。。。などなど。前いた病院ではゾシンが緑膿菌に効いたのに今の病院の緑膿菌には効かない!とか。院内感染でも市中感染でも、この情報は非常に大事になってきます。自分が勤めている病院、そして住んでいる地域で、主な最近の感受性パターンを知っておくと抗菌薬選択の際に、有力な情報となります。

5)疾患経過の理解
 対処している疾患がどういう振る舞いをするのか、をしっかり知りましょう。良く例に出される腎盂腎炎ですが、これは適切な治療を開始しても24-48時間は全く解熱しないこともあります。それを知識として知っておかないと、妙に慌ててせっかく当たっている抗菌薬をもっと広くしてしまったり、培養をやたらめったら提出したり、果ては診断を変えてしまったり。。。また、治療経過で頼りにするのは患者さんの所見です。それは症状であったり診察項目であったり、もっと漠然とした食事量とか全身状態とかも参考になり、例えば、ぐったりしていた患者さんが、座っている時間が長くなってきたり、段々毎朝新聞を読むようになってきたりするのであれば大きな進歩。患者さんの振る舞いも日々とらえることが大事であって、発熱やCRP、プロカルシトニンのみを頼りにしてはダメなのです。検査値は使いようによっては良い武器になりますし、患者さんの意思疎通が難しいなどの理由があれば参考にすべきもの。しかし、値の変化は積分的なとらえ方をするのが肝要。CRPがどんどん高くなってくるのなら「何かあるのか?」と考えますが、1回だけちょろっと上がったからと言って大あわてはしないこと(診察をしっかりしてみようという動機付けにはなると思います)。出来るだけ患者さんの状態とセットで考えましょう。

 これで長く続いた感染症の原則・総論もお仕舞いになります。おつかれさまでした。感染症を診療する時は、まずは敵とも言える微生物の臨床的な知識、そしてこちらの武器である抗菌薬の知識、それらを正しく得た上で、この13回目でお話しした”原則”に基づくことが大事になります。もっと詳しく知りたいという方は、青木先生の「マニュアル」、大曲先生の「ロジック」「がん患者の感染症診療マニュアル」、大野先生の「レクチャーノーツ」、藤本先生の「レジデントマニュアル」などを読んでみて下さい。自分の記事も、多くはこの先生方の本を勉強したことで出来ています。
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