2012
02.24

救急外来で使用する検査項目~くも膜下出血に対するCT

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 くも膜下出血(SAH)は見逃したくない疾患の大御所です。さて、どうすれば良いのか…と思うもの。

 少し古いですが、2000年のNEJMでは、SAHに対するCTの感度は、発症から24時間以内では95%、3日で74%、1週間で50%、2週間で30%、3週間では殆ど0%という結果になりました(1)。

 時は移り2011年のBMJ。発症から1時間以内に頭痛がピークとなった患者さんを対象にして第3世代のCTで撮影した試験をしています。そこでは、発症6時間以内に撮影された場合、感度と特異度ともに100%となることが示されました(2)。ただし、読影は十分に訓練を受けた放射線科医が行っています。そして、6時間以降ではCTの感度が落ちることも記載されています。いくら検査機器が進歩しても研修医や救急医では見逃しうるということは肝に銘じておきましょう。

 CTが空振りだった時の腰椎穿刺(LP:ルンバール)はどうでしょう。2008年のMayo Clinic Proceedingsでは、肉眼的なキサントクロミーは感度93%、特異度72%としています(3)。ここでは、肉眼とspectrophotometryとで見て、両者とも空振りなら帰宅、肉眼的に綺麗でもspectrophotometryで陽性なら赤血球のカウントをしなさい、と言っています。ちなみにここでも読影は放射線科医。

 同じく2008年のAnnals of Emergency Medicineでも、同じような結果。CTとルンバールを併せるとSAHに対する感度100%、特異度67%となっています。SAHと動脈瘤をエンドポイントにしても感度98%、特異度67%と十分な値。偽陽性が多いのは、ルンバールでの赤血球カウントでの陽性を5×10^6 RBCs/Lとしており、traumatic tapも陽性判定になるため。やはりCT空振りでも疑わしければルンバールを厭わない姿勢が大事。ルンバールの適応は、「しようかどうしようか」と迷った時点です。困るのがCTで空振ってルンバールで微妙な時。この時は安全のためにもSAHあり、と判断して専門医にコンサルトすべき。

 林先生のStep Beyond Residentには、キサントクロミーを肉眼で見ると半数は見逃す、とありますね。やはりカウントまで持って行くのが良いと思います。髄液を採取する試験管も1本のみでなく3-4本にするのが適切で、traumatic tapなら段々血の赤い色は薄まってきますが、SAHなら一貫して同じ色となります。そして、SAHでは何らかの心電図異常が80%の患者さんに出ると言います(特に有名なのがcerebral T waveです)。意識障害で心電図異常があっても、原因は頭ということもあるんです。同じ様に、SAHが原因による神経原性肺水腫という病態もあります。意識障害でレントゲン撮ったら肺水腫と来たら「心不全」と言いたくなりますが、意外な落とし穴になります。

 最近はMRIを撮ることもありますね。微量の出血ではFLAIRが有用では?とも言われていますが、これは今後の検討が必要。FLAIRにはCSF artifactがあるため、それがSAHへの感度と特異度に干渉します。しかし、新しいCube-FLAIRがそのアーチファクトを抑えるため、それによりその問題を解決できるかもしれません(5)。ただ、安全に除外するにはMRIにせよCTにせよ、空振りでなお疑わしければルンバールは絶対に必要でしょう(患者さんの安全にも、医療者の安全にも)。ただ、亜急性期や慢性期に入るとMRI、特にT2*が有用と言われます。

 画像以前の段階で否定するにはどうするか?2010年のBMJにちょっとしたルールが掲載されており、このブログでも扱っているので、ご参照ください。


☆参考文献
1) Avoiding pitfalls in the diagnosis of subarachnoid hemorrhage. N Engl J Med. 2000;342(1):29-36
2) Sensitivity of computed tomography performed within six hours of onset of headache for diagnosis of subarachnoid haemorrhage: prospective cohort study: BMJ 2011;343:d4277 doi: 10.1136/bmj.d4277
3) Thunderclap Headache and Normal Computed Tomographic Results: Value of Cerebrospinal Fluid Analysis: Mayo Clin Proc. 2008; 83(12):1326-1331
4) Is the Combination of Negative Computed Tomography Result and Negative Lumbar Puncture Result Sufficient to Rule Out Subarachnoid Hemorrhage?: Ann Emerg Med. 2008 Jun;51(6):707-13. Epub 2008 Jan 11.
5) 3D Fluid-Attenuated Inversion Recovery Imaging: Reduced CSF Artifacts and Enhanced Sensitivity and Specificity for Subarachnoid Hemorrhage: AJNR Am J Neuroradiol. 2011 Dec;32(11):2054-60. Epub 2011 Sep 15.
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