2012
02.24

救急外来で使用する検査項目~脳梗塞に対するMRI

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 脳梗塞ischemic strokeを疑った時に、MRIを撮るべきかどうか?撮って空振りなら脳梗塞はないと言えるのかどうか?という問題はいつでも出てくるものです。大きく言うと、脳梗塞に対するMRIやCTの感度特異度はどのくらいか、ということ。知っておいて損はない知識と思います。

 2007年Lancetにある、有名な報告を引っ張り出してみます(1)。

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 この図からも分かるように、急性脳梗塞に対する尤度比は、発症3時間以内でCTはLR+∞、LR-0.88であり、MRIはLR+9.1、LR-0.3と言う結果でした。よって、MRI(拡散強調を含む)を撮ってもLR-0.3という数字からは全く除外に向かないことが分かります。12時間以内に広げてもMRIのLR-0.2であり、12時間以降でやっとLR-0.08となり、ようやくLR-<0.1を弾き出せます。全時間を通して、CTのLR-は全く使えません。たまに「発症から6時間経ったらCTでも見つかるだろ」という人もいますが、それは残念ながら真実ではありません(もちろん、見つからない可能性はゼロとは言いませんが)。しかもこの論文ではテント上下を併せた脳梗塞を扱っているので、テント下の脳梗塞であれば更に数字は悪いものになるでしょう。ちなみに、脳出血に対する感度特異度は、MRI81%と100%(LR+∞、LR-0.19)、CT89%と100%(LR+∞、LR-0.11)となっています。

 この論文では、MRIの方が数字的に優位なので脳卒中を疑ったらMRIを撮れ、と結論付けていますが、それは間違いかもしれません。私たちは、脳梗塞はMRIでは決して除外できないと知るべきでしょう。救急外来ではコンサルト先から撮るように言われるので撮っても良いですが、臨床的に脳卒中が疑わしく低血糖を除外しCTで脳出血がなければ“臨床的に脳梗塞である”という判断を下しましょう。これはMRIが空振りでも不変。特に画像検査は盲信してしまいますが、決してそうではなく、臨床的に思考することが求められます。病歴と診察で出血性脳卒中と虚血性脳卒中とをどの程度アタリを付けられるかは、2010年のJAMAに掲載されています。あまり強力な因子はありませんが、一度ご参照ください。

 脳梗塞のCTと言えばearly CT sign(脳実質所見としては皮髄境界消失、レンズ核の不明瞭化、脳溝の消失がある)ですが、非可逆性の目安として注目されています。しかし、客観性はやや劣り、読影者間での判定のばらつきが比較的大きいことが問題。熟練医と研修医とではかなり差があります。熟練医では感度61%、特異度65%であるのに対し、研修医では感度46%、特異度56%との報告もあります(2)。


☆参考文献
1) Magnetic resonance imaging and computed tomography in emergency assessment of patients with suspected acute stroke: a prospective comparison. Lancet 2007;369:293.
2) CT and diffusion-weighted MR imaging in randomized order: Diffusion-weighted imaging results in higher accuracy and lower interrater variability in the diagnosis of hyperacute ischemic stroke. Stroke 2002; 33:2206-2210.
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