2012
02.24

救急外来で使用する検査項目~NT-pro BNP

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 救急外来では、呼吸苦の患者さんの鑑別の1つに急性心不全がありますが、診断に有用なマーカーとしてはNT-pro BNPが挙げられます。自分の勤めている病院では、BNPはその日のうちに結果が戻ってきませんが、NT-pro BNPは30分くらいで返ってくるのが強み。臨床症状のみで診断するよりも、このマーカーを組み合わせた方がより正確な診断が出来るとされています。しかし、このマーカーは、特に年齢と腎機能に大きく影響されるということを知っておきましょう。以下は、救急外来に呼吸苦でやって来た患者さんを対象としたものです。

 年齢について、2006年のEuropean Heart Journalを参照します(1)。NT-proBNPのカットオフ値は、50歳未満、50-75歳、75歳overでそれぞれ450、900、1800 pg/mLとされており、急性心不全に対する感度90%、特異度84%なので、LR+5.6、LR-0.12という尤度比と計算され、年齢別に値を設定することで有用性が再確認されました。このマーカーだけで云々言えませんが、臨床状況と併せて考えると優秀なマーカーになってくれます。また、どの年齢でも300を除外判定とすると、この場合は感度99%、特異度60%となり、LR+2.5、LR-0.017というすばらしい陰性尤度比を誇り、ほぼ除外できます。

 腎機能障害がある場合は、解釈が非常に難しく、注意が必要であるとされています。データが不十分であり、決め手となるカットオフ値が存在しません。色々な論文が色々なことを言っている状況。1つの目安として、2006年のJournal of the American College of Cardiologyに掲載された論文を見てみます(2)。そこには、GFR<60でカットオフを1200にした場合、感度89%で特異度72%(LR+3.2、LR-0.15)となったと記載されています。個人的な意見ですが、eGFR<30の場合は強力なマーカーとして扱わない方が良いかと思います。本当に1つの参考程度にとどめておくのが無難かと。

 慢性心不全の急性増悪に関しては、以前の値と見比べることが大事となります。以前の値がない場合は、今回の結果だけで判断するのは難しいと考えておきましょう。

 また、急性心不全になるということは、その背後に基礎となる出来事があります。「心不全」というだけで安心せず、なぜこの様な事態になったのか、これを確認することで救急外来における初期治療に幅が生まれます。

 治療に頻用される利尿薬のラシックスですが、これはX線や肺エコーで肺水腫を見てすぐ使用するのではなく、きちんと心窩部走査で下大静脈が強く張っていることを確認してから使用すべきです。肺水腫は溢水のみで起こるわけではないため(意外とこの事実は知られていません)、下大静脈を見ておくという癖を付けましょう。下大静脈が張っていない状態でラシックスを使用するとあっという間に患者さんの循環血漿量が持って行かれちゃいます。

 心不全診療への目安として、Nohria分類というものがあります。一度見ておくとチェックポイントが分かると思います。


☆参考文献
1) NT-proBNP testing for diagnosis and short-term prognosis in acute destabilized heart failure: an international pooled analysis of 1256 patients: The International Collaborative of NT-proBNP Study. Eur Heart J (February 2006) 27 (3): 330-337.
2) Renal Function, Congestive Heart Failure, and Amino-Terminal Pro-Brain Natriuretic Peptide Measurement: Results From the ProBNP Investigation of Dyspnea in the Emergency Department (PRIDE) Study. Journal of the American College of Cardiology, Volume 47, Issue 1, 3 January 2006, Pages 91-97

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