2012
02.02

輸液 Starter & Booster:第7回~救急外来の輸液

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 病棟やICUでは様々な輸液製剤を使いこなし、かつ経口摂取のできない患者さんでは栄養輸液をすることもあると思います。場所を移し急性期のfirst touchとも言える救急外来ではどうでしょう?

 実は救急外来では、特に大人であればほとんど生食のみで戦えます!後は速度の調節ですね。刹那的な出会いの場である救急外来においては、まずは今この場での状態を改善することに大きな力を注ぎます。ショックの患者さんや、そこまで行かなくとも細胞外液の減少している患者さん。彼らの循環動態をまず安定化させましょう。仮に高Na血症でも、血清Na濃度が生食の154mEq/Lを上回るのであれば、生食ですら血清Na濃度を下げますし、またそれほどの高Na血症であれば細胞外液量も相当持って行かれているので循環を立て直す意味でも生食は適切と言えます。救急外来では生食無双なんですね。

 そして、生食にはK(カリウム)が入っていません。全然尿の出ていない患者さんにKの入っている輸液をするのはやっぱり医療者として気持ち悪いものです。利尿がついて、検査データも安心できるものであれば、そこからKの含まれる輸液に変えても問題はないでしょう。

 あれ、でも前に生食だと高Cl性の代謝性アシドーシスが起こると言ったじゃないか、と思うかもしれません。確かにそうです。でも生食のみで起こるわけではなく、しかも起こるのも5-6Lなどかなり大量に入れた時。救急外来で使う量ではそうそう起こるもんじゃないのでした。

 じゃあ細胞外液がいっぱいいっぱいの代表選手、心不全はどうするんだ?と思うかもしれません。心不全なら5%ブドウ糖液を選択する様に教わっている人も多いでしょう。しかし、仮に5%ブドウ糖液を1L入れても、血管内には85mL入ります。と言うことは、5%ブドウ糖液を60mL/hrで落とすことと生食を20mL/hrで落とすことは同じことなのです。確かにNaは排泄されにくいのですが、心不全の患者さんではADHが過剰なことが多く、救急外来に来るような急性期では尚更です。よって、水排泄もなかなかされません。ということは、低張液を投与すると低Na血症になることが非常に多い、ということになりますね。「心不全=5%ブドウ糖液」と判で押したように対応させては時として足をすくわれかねません。

 非常に汎用性の高い生食。救急外来では速度を調節しながら使っていきましょう。
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