2012
02.01

輸液 Starter & Booster:第6回~Na濃度異常はどうするか

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 これまでNa濃度に関しては、それが細胞内液に影響すること、そして血漿張度はNaが左右すると言う点を述べてきました。更に、輸液ではKが無視できない量なので、それも張度を形成することを学びました。それらを念頭にNa濃度異常を学んでみましょう。

 健康な人は飲水量を意識して変えてみても、血清Na濃度は一定の範囲内にあります。これは、尿の濃さを変えていることによりなされること。もっと言うと“尿の張度”を調節することで血清Na濃度を保っているのです。実は、輸液と血清の他にも、尿にも張度があるのです。尿は細胞外液からつくられるため、尿の張度は尿排泄後の細胞外液の張度変化を知る際に非常に重要になってきます。尿中のKは無視できないくらい多いので、尿張度は2×[Na+K]で考えます。そして、この尿の張度をメインでコントロールするのがADHなのです。水分や食事で入ってくるモノの張度と、尿として出て行くモノの張度が引っ張り合いをして、上手く均衡状態にあるのが普段の私たちなんですね。たくさん飲んだらたくさん出して、あまり飲まなかったらあまり出さない。



 そのバランスが崩れると血清Na濃度が乱れてきます。低Na血症では患者さんによっては他の病態、特に消化管からの喪失なども参加してきますが、大きくは「口や輸液などから入ってくるモノ」と「尿として出て行くモノ」の2つで、とりわけ後者の異常が原因として大きなものを占めます。その中でも、この尿の張度の張節異常は“ADHの作用異常・腎機能障害(尿の希釈と濃縮)・利尿薬”の3つが注目すべきもの。例えば入院患者さんに低Na血症が多いのは、ストレスなどでADHが不適切に分泌され自由水が出て行かず、かつ口渇によらない水分摂取としての低張輸液の多用が大きな原因になっています。





 低張性低Na血症の症状は、張度が低下するため細胞内へ水分が移行して細胞が浮腫になることで出現します。特に脳細胞の浮腫による症状が出ますが、慢性の低Na血症ではあまり出てきません。これは、脳細胞が浸透圧物質を細胞外に水とともに追い出すメカニズムを持っているからと言われます。よって、症状が出るのは急性のものか、慢性でも高度のもの(Na<120mEq/L)、進行スピードの速いものになります。頭痛や嘔吐、脱力、傾眠、痙攣、昏睡などの“水中毒”症状が出現してきます。

 高Na血症の症状は慢性であれば軽い焦燥感、傾眠傾向など。高度でかつ急性のものであれば、細胞萎縮が高度になり高熱、過換気、易刺激性、痙攣、昏睡や脳出血、くも膜下出血などが見られてきます。

 治療は各種原因疾患によって異なりますが、どれにも共通して言えることは、尿所見を常に参照しながら行うと言うことです。特に大事なのは“尿の張度”です。これを血漿張度、輸液しているのなら輸液中の張度とも見比べてこの先どうなっていくかの予測を立てて行きます。原則としてはこの様な感じです。

張度

 ピタッと正確なものではないのですが、大まかな指針にはなりますし、何よりも簡便。低Na血症で注意しなければならないのは、仮に生食を入れても低Na血症が進行することもある、ということです。SIADHでは尿のNa濃度が異様に高い時があり、尿の[Na+K]が生食の[Na]154mEq/Lを超えることもあります。この場合、生食を入れても次の日採血したら血清Na濃度が下がってしまう憂き目にあいます。
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