2012
01.29

感染症診療 Starter & Booster:第9回~抗菌薬について知っておくこと-12

第9回目次→コチラ

12)アクが強いの?ST合剤
 葉酸合成を2段階で阻害します。ST合剤はバクタ®の1つのみです。Bioavailabilityも良く、組織移行性も良好。結構スペクトラムは広く、少し語弊があるものの大きく言ってしまえば「第3世代セフェム+細胞内寄生菌活性」でしょうか。この言い方で漏れる特徴としては、ST合剤はListeriaに効き、そしてCampylobacterとリケッチアとBLNAR型インフルエンザ菌には効かないというところ。他にはCA-MRSAやPneumocystis jiroveciに効きます。日和見感染などでたまに出てくるSPACE+αのうち、SE+αにも対処可能。変わり種ではNocardiaなど。そういえば川崎病の治療に効果があったという発表が前にありましたね。



 随分イメージと違って使えそうな印象かも?と思われたかもしれません。第3世代セフェム+細胞内寄生菌活性を考えれば尿路感染、呼吸器感染、多くの細菌性腸炎などが使えそうだなという印象になります。他の要素も加味すると、第1世代で失敗した蜂窩織炎の治療、ニューモシスチス肺炎なども。が、残念ながら耐性化、特にE. coliが問題になっています。他にはBLNAR型インフルエンザ菌やPRSPに効きません。地域の耐性具合を調べて使用しましょう。

 副作用も強いものがちらほら。Stevens-JohnsonやTEN、骨髄抑制、高K血症など。Cre上昇もありますが、これは高K血症を伴っていなければ恐れずとも大丈夫です。薬物相互作用もあり、SU薬やワーファリンなどなど、きちんと調べておきましょう。妊婦や授乳婦には基本的に禁忌です。

 上手く使えれば、面白い薬です。

☆追加
 ニューモシスチス肺炎の治療は、第一選択薬がST合剤、第二選択薬がペンタミジン(ベナンバックス®)です。しかし、HIV感染者にこれらを使うと、50%以上に副作用が出てしまって継続投与が難しくなる、ということがあります。よって、海外ではアトバコンという薬剤を使用することが多いです。これはPneumocystis jiroveciのミトコンドリア電子伝達系を選択的に阻害するという、ユビキノン類似体。
 
 そして今回、グラクソスミスクラインが、そのアトバコン(サムチレール®内用懸濁液15%)の製造承認を日本で取得した、と発表されました(2012年1月18日)。対象は「副作用により第一選択薬(ST合剤)の使用が困難な場合」と限られます。副作用が半数以上に認められ、悪心・皮疹・頭痛などなど。
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