2012
01.25

感染症診療 Starter & Booster:第9回~抗菌薬について知っておくこと-10

第9回目次→コチラ

10)名脇役?クリンダマイシン
 細胞内のリボソームに作用します。このクリンダマイシン(ダラシン®)は、黄色ブドウ球菌用セフェムに対嫌気性菌効果を加えたものという認識で良いと思います。言い換えれば、MSSA、連鎖球菌、横隔膜上下の嫌気性菌をターゲットにします。MSSAは使っている最中に耐性を示すことがあるので、そこは注意。これに関連して、マクロライド耐性のMSSAはクリンダマイシンにも耐性を示しやすいということがあります(誘導型MLSB耐性)。よって、マクロライド耐性のMSSA感染症でクリンダマイシンを使いたい状況になったら、検査室にD-testという検査をお願いしておきましょう。連鎖球菌に関しては、S. pneumoniaeには一定しておらず、地域によってはPRSPにも効くこともあります。嫌気性菌ですが、横隔膜下、特にBacteroides fragilis groupは耐性化が進みつつあるので、患者さんが重症であればこれを最初に用いるというのはちょっと躊躇ってしまいます。腸球菌には効かず、GNRにも効きません。

 β-ラクタム系にアレルギーを持つ患者さんにとって良い代替薬となり、特に蜂窩織炎や咽頭炎で使われます。骨への移行性も良いので、骨髄炎にも適しています。嫌気性菌カバーの強みを生かして、口腔内感染症や肺膿瘍などにもどうぞ。

 他にはGAS(S. pyogenes)の毒素産生を抑えるという理由から、TSS(毒素性ショック症候群)や壊死性筋膜炎にはβ-ラクタム系と併せて使うこともあります。本当にこれが意味あるのかどうかはきちんとした大規模スタディがないため謎ですが。

 副作用は、メジャーなものに下痢があります。20%ほどに生じるので、そこがこの抗菌薬を使いづらくさせています。この下痢のためか「偽膜性腸炎といえばクリンダマイシン」と国試を受ける医学生にすり込まれている感じ。偽膜性腸炎は確かにクリンダマイシンの副作用として有名ですが、他の抗菌薬でももちろん発症するので(セフェムはクリンダマイシンと発症リスク同等です)、これに限らず抗菌薬使用中に発熱を見たり炎症反応上昇を見たりした時には必ずこの疾患を鑑別を加えましょう。
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