2012
01.10

診断推論 Starter & Booster:第8回~検査前確率と検査後確率を知る

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 病歴前確率から診察前確率に発展し、そしてこの様な流れを組んで、次にすることは診察。想定する鑑別疾患群で行うべき診察を行い、それが終了した時点での確率が、検査前確率となります。救急外来など時間のない現場では、それまでに挙げた鑑別疾患をRule in/out(確定/除外)の方向に持ち込むような診察項目を選んで行うことになります。

 更にその確認のために行うのが、検査です。検査の終了した時点での確率が、検査後確率。その確率の最も高い鑑別疾患が、恐らく患者さんの抱えている疾患なのであろうと判断します。原則として検査は疾患を見つけるためのものではなく、確認のために行われるべきものです。ただし診察までの時点で有用な情報を得にくい患者さん、例えば高齢者や意思疎通の取りづらい患者さんでは検査は疾患発見的意義を持ちます。状況によっては検査に頼ることも必要なのです。「問診と診察が~」とは良く言われますが、それに拘泥するのも良くありません。検査を生かすも殺すも問診と診察次第。それらを正確に行うのであれば、その上に置かれる検査は重要なものなのです。

スライド16

 診察で、思いもしない所見が見つかったなら、必ず病歴と患者背景に戻ります。同じく、検査で「えっ!?」と言うような結果が出たら、必ず診察と病歴と患者背景に戻ります。ミスの原理の1つである「想起されない」というものに、この段階で気づくことがあります。病歴と診察を取り直すことで、聞いていなかった症状などが出てくることも。嘔吐の鑑別に心筋梗塞がすっぽり抜けていて、血液検査をしたらCKがめっちゃ上がってた、などは好例ですね。また、診察や検査を行ったその結果次第では、更に追加で行うべきものも出てくるでしょう。

 問診でもそうでしたが、ここにおいても自分たちと患者さん側とでの”あいだ”で診断は組み立てられて行くものです。患者さんと何度も何度も接触することで診断は生まれてきます。こちらが閉じこもってカルテと向かい合っていても何も生まれませんよ。

 この診察と検査で大きな役目を果たすのが、感度/特異度、そして尤度比となります。今している診察や検査にはどんな意味があるのか、その意味合いの強さを数値化してくれるものです。病歴に関してもこれらの知識は非常に役立ちますが、良く研究され王道となっているのは検査について。この重要な項目は、章を改めて説明することにしましょう。

 このレクチャーでは似顔絵捜査官の例えをしています。この主訴ならこれこれの容疑者(鑑別疾患群)の書いてあるリストを頭の中から引っ張り出して、というもの。問診までである程度の似顔絵は出来てきます。診察と検査は「犯人の目星は付いているのでそのウラを取りたい」「問診だけでは絞りきれないから、より細かい特徴を見ていこう」という位置づけ。次に学ぶ感度や特異度は、容疑者の特徴の有無を際だたせるための知識だと思ってみては如何でしょう??


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