2012
01.06

輸液 Starter & Booster:第1回~体液の組成を覗いてみる

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 今回は第1回。まずは自分たちが持っているものから知ることにしましょう。何をやるにしても己れを知るということがやっぱり大事。

 体液は、私たちの身体が何らかの形で持っている液体のこと。体重の60%(男性で60%、女性で50%ほどとされます)が体液とされています。その容積の2/3が細胞内液、1/3が細胞外液。細胞外液の更に3/4が細胞間質、1/4が血漿量。ということは、容積比は細胞内液:細胞間質:血漿量=8:3:1ですね。こんな感じで覚えましょう。体液のうち血管の中にある分は印象としてめっちゃ少ない感じ。



 そして、輸液に欠かせない水移動の知識。水は細胞膜を移動しますが、これは細胞膜を挟んだ両側にある溶質が作る浸透圧の勾配に従います。浸透圧は溶質モル濃度の総和で、水を引っ張る力のことと理解しましょう。浸透圧の差があれば、高い浸透圧の方がよいしょっと水をどんどん引っ張ってきて、両者の浸透圧が同じになったら同じ力で引っ張り合うことなので外見上は平和です。細胞内液の溶質は細胞外液の2倍あると言います。ということは、水も2倍あることが分かります。だからさっき出てきた体液量も、細胞内液が細胞外液の2倍ということに。

 成分は水ばかりじゃありません。細胞外液にある主な溶質はNaで、細胞内液ではKです。細胞膜にあるNa/K ATPaseがNaを細胞の外へ押しやって、Kを中に入れておこうとしています。これはかなり厳密に行われていることに注目しましょう。細胞外液はNa、細胞内液はKです。



 実際に細胞内外の電解質濃度を覗いてみると、以下の様になっています。これを見ても、きっちりとNa/K ATPaseが仕事してるなーと感じますね。


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コメント
とても勉強になります。ところで浸透圧や張度(主な構成成分)を溶液に溶けている物質の数と考えると電解質の電化数はともかく、今回の講義での細胞内液の陽イオン濃度と陰イオン濃度を足すとはるかに310mOSMを超えて先の電化数を考慮しても細胞内液浸透圧は細胞外液浸透圧を凌駕する計算になります。ごく一部のテキストにて細胞内イオン濃度を細胞外イオン濃度を組成は違ってもほぼ同様?と書いてあるのを見つけましたが、殆どのテキストは先生と同様です。どのように考えるとよいのですか?約1ヶ月、勉強しています。H27年8月10日金井秀行
金井秀行dot 2015.08.10 12:10 | 編集
>金井秀行先生

ありがとうございます。
自分は全くその辺りを気にしたことがなかったので、改めて調べてみました。
ポイントは単位なのだと思います。mEq/LとmMの違いなので、数字のみの比較では分からなくなるのだと感じました。
ある本の解説では

”mEq/Lで表した細胞内液と細胞外液の電解質の電荷濃度(電荷の数)にはかなりの差がある。これは2価以上に荷電した物質(Ca, Mg, 蛋白など)が存在するためであり、細胞外液と内液での浸透圧物質の数をそれぞれのコンパートメントの水分量で割った総モル濃度(mM)は等しい。”

とあるため、それが先生へのお返事になるかもしれません。細かい計算は自分が苦手で分からないのですが…。すみません。
上記は柴垣有吾先生の『より理解を深める! 体液電解質異常と輸液』という本の記載ですが、この本が和書の中では最も詳細に書かれてある電解質の本かと考えております。2007年でちょっと古く、glycocalyxを考慮した改訂版スターリングの法則については記載がありませんが、張度の概念などとても優れていると思います。
改訂スターリングの法則はこの文献でサポートしてみると良いでしょうか。

Woodcock TE, et al. Revised Starling equation and the glycocalyx model of transvascular fluid exchange: an improved paradigm for prescribing intravenous fluid therapy. Br J Anaesth. 2012 Mar;108(3):384-94.
m03a076ddot 2015.08.12 10:09 | 編集
お礼を言いたくてメールをしました。なお文献は検索中です。実はほぼもなか先生と同じ考えでした。ただし細胞内液の電解質濃度はtextによってかなり違います。2価以上電荷の考慮してもmEq/LとmOSM/Lの値の差がかなり大きくなるような先生の記載とそうでない記載など色々あります。したがって細胞内にはもしかして浸透圧に関与しない電荷があるのでは?とも思いつつ、1週間調べていました。差が少ない例)Wikipedia: Na+ 12mOSM/L、K+ 140mOSM/L、Mg2+ 0.8mOSM/L、Ca2+ <0.0002mOSM/L、Cl- 4mOSM/L、リン酸(HPO4 2- 35mOSM/Lなどです。結論には至っていません。勉強を続けます。さらなる専門家の話を聞きたいですね。
金井秀行dot 2015.08.17 10:49 | 編集
>金井秀行先生

ありがとうございます。
wikipediaの出典を見ると、単位が総モル濃度になっていました。
総モル濃度では細胞内外は同じになるため、差が殆ど無いように見えてしまう可能性があるかと感じました。
本やサイトによっては、mEq/LやmOsm/Lになっていたり総モル濃度になっていたりとバラバラであるため、その辺りでこちらが「??」と思ってしまう部分もあるかもしれません(もちろんそれが全てではないのだと思いますが)。
しかし、なかなか難しく頭がこんがらがってしまいそうです…。
m03a076ddot 2015.08.18 12:19 | 編集
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